仮面女子がテロを題材にした社会派映画に初挑戦!『Candle For Minority』
深夜22時30分、秋葉原の店の多くが閉店する中、パセラリゾーツに続々と人が入っていく。彼らが向かうのは、8階の仮面女子CAFE。この日、新年のオリコンチャートで2位を獲得したアイドルグループ「仮面女子」の所属するアリスプロジェクトが製作した映画の鑑賞会がここで行われるのだ。
近年、アイドルのメンバーが映画に出演する機会は増えているとはいえ、アイドル事務所が自ら映画の製作に乗り出すケースはまれ。ましてや、その本数がすでに12本を数えるというのだから、尋常ではない。外部の監督を招聘し、自社のアイドルが出演する「アリスフィルムコレクション」は、これまで家族ドラマからコメディ、バトルものなど、多様なジャンルの作品が作られ、いずれも30分前後の尺となっている。
深夜の遅い時間だというのに、会場には多くの客が詰めかけ、大盛況だった。
今回の鑑賞会で上映されたのは、テロを題材とした社会派映画『Candle For Minority』だ。2015年に自爆テロが起こった直後にパリの街角で出会い、結ばれた日本人女性とバングラデッシュ人のカップル。そんな2人がテロによる精神的なトラウマを抱えながらも、自分たちなりに犠牲者を追悼したいという思いから、音楽と写真、それぞれの表現で行動に移そうとする様子が描かれる。グループ内で演技力に定評がある、桜のどかが主演を務め、月野もあ、窪田美沙といった人気メンバーが脇を固めた。
アイドルが出演する映画とは思えないほど硬派な題材だったが、太田信吾監督はこの作品を撮った動機を次のように語る。
「2015年11月、レバノンのベイルートで舞台をやるため、現地に滞在していてたんですが、劇場へ向かう際、テロに巻き込まれ、一命を取り留めました。その後、パリへ行ったときも大きなテロがあった。本当に呪われてるんじゃないかというぐらいに、行く先々で災難に見舞われたんですね。ですが、そのとき、お客さんたちは『テロリストに対する抵抗だ』と言って、舞台を見に来てくださった。そんなお客さんの姿を見て、自分たちも他人事ではなく、テロに対して、何かしらのアクションを起こすべきだと思ったんです」
一方、出演者たちも、それぞれこの映画について考えるところがあったようだ。
「以前は、テロというのはどこか他人事といいますか、外国で起こっていることだという認識があったんですけど、この作品と出会って、みんなで考えなきゃいけない身近な問題だと思いました。(テロによって恋人と結ばれたという)私の役柄は、このテロというものの上に成り立っている幸せであって、その幸せが続いていいものだろうかという葛藤を抱えています。ぜひこの作品を見て、それを感じていただければと思います」(主演の桜のどか)
「今回テーマがテーマなので、難しかった部分もありました。普段、仮面女子は音楽に常に携わっていて、この映画においても音楽が重要な位置付けとなっています。音楽を通して、どうストーリーが変わっていくのかを見てもらえたらと思います」(窪田美沙)
なお、本作はアリスプロジェクトからDVDで好評発売中。国内外の映画祭で賞を獲得するなど、意欲的な作品を生み出し続けているアリスフィルムコレクション。今後の作品も注目だ。
●『Candle For Minority(キャンドル・フォー・マイノリティ)』
本編 26分33秒
特典映像14分41秒
DVDご購入はこちら
(https://www.alice-project.biz/goods?data=2051)