「パンドラ映画館」の記事一覧(12 / 15ページ)

体罰&モラハラの洗礼から真の芸術は生まれる? サディスティック教師の流血指導『セッション』

<p> ムチで打たれたような衝撃がある。映画でここまでの体験をしたのはいつ以来だろうか。映画『セッション』の原題は『Whiplash(ムチ打ち)』。パワーハラスメントやモラルハラスメンなんて言葉はここには存在しない。弱肉強食、体罰上等! それでもOKなヤツだけ徹底的に鍛えてやるぜ。そんなサディスティックな鬼教師と音楽の世界で名前を残すことを願う野心満々な青年との狂気の師弟関係を描いたドラ</p>

麻薬王が賛美されるメキシコ無法地帯の叙事詩! 『皆殺しのバラッド』に見る麻薬カルチャーの現実

<p> さかしまの世界がスクリーンに映し出される。警官は覆面を被って顔を隠し、麻薬の密輸で成功を収めたギャングたちは英雄として賛美され、彼らを主人公にした歌や映画が大ヒットしている。そして、街にはギャングたちの抗争の巻き添えをくらった罪なき市民たちの死体が犬や猫のように転がっている。街の人たちは血に染まった路上の清掃で忙しい。近未来のディストピアを描いたSF映画かと勘違いしてしまいそうだが、そうではない。『皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇』は歴然としたドキュメンタリー映画だ。毎年1万</p>

修羅場経験者ウディ・アレンが語る“恋愛の極意”奇術師の恋『マジック・イン・ムーンライト』

<p> 恋愛とは男女の騙し合いである。恋する男と女はそれぞれ男優と女優であり、アドリブで筋書きのない芝居を演じ続ける。簡単に馬脚をあらわすのは三文役者であり、名優になればなるほど相手に心地よい夢を見させてくれる。ウディ・アレン監督の最新作『マジック・イン・ムーンライト』は、恋多き人生を送ってきたウディ・アレンが79歳にして辿り着いた恋愛観を主題にしたコメディ。ウディ・アレンの分身役を英国の実力派男優コリン・ファースが務め、米国の若手女優エマ・ストーンと恋に堕ちていく様子を描いている。<br />
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ハリウッドを熱くした日本発の18禁アニメって? 美少女系殺し屋のルーツ作『A KITE』が再リリース

<p> 栗山千明がびゅんびゅん鉄球を振り回す『キル・ビル』(03)のGOGO夕張、クロエ・グレース・モレッツ演じる『キック・アス』(10)のヒットガールは薙刀が得意、シアーシャ・ローナンは『ハンナ』(11)で殺人マシン、『天使の処刑人 バイオレット&デイジー』(11)では尼さんコスプレの殺し屋に扮した。ハリウッドの監督たちは美少女系殺し屋が大好き。そんな彼女たちのおねーさんに当たるのが、日本発のアダルトアニメ『A KITE』のヒロイン・砂羽だ。1998年に梅津泰臣監督のオリジナル作品としてリリースされた『A KITE』は、海外でカルト的な人気を誇る作品。ハリウッドで実写化された映画『カイト/KITE』が4月11日(土)から劇場公開されるのに合わせ</p>

世界の終わりに咲いた、世界でたったひとつの花 モキュメンタリーの終着点『コワすぎ! 最終章』

<p> 現実とフィクションの間には明快な境界線はあるのだろうか? そしてもし、現実とフィクションを隔てている境界線が消滅してしまったら、一体どうなってしまうのか? 白石晃士監督がライフワークとしている『コワすぎ!』シリーズの第7弾となる『戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 最終章』を見ながら、そんなことを考えた。低予算のホラー作品ながら、モキュメンタリー(フェイクドキュメンタリー)としての面白さを追求する白石監督の情熱と奇想ぶりでカルト的な人気を博してきたオリジナルDVD『コワすぎ!』シリーズ。『戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版』(14)は連日にわたって上映館が満席となり、ニコニコ動画でのシリーズ一挙上映の視聴者数</p>

いじめ、暴行、闘病からの逆転人生『がむしゃら』女子レスラー安川惡斗は逆境でこそ存在感を増す

<p> 2月22日、女子プロレスを久しぶりに観戦しようと思い立ち、後楽園ホールに向かった。ビジュアル系レスラーが多いとされるスターダムの大会だ。大会前や休憩中には、その日のメーンイベントに出場する安川惡斗の主演ドキュメンタリー『がむしゃら』の予告編が大型ビジョンに何度も流れていた。チャンピオンベルトを賭けたメーンイベントで挑戦者の安川が勝てば、彼女がスポーツ紙やプロレス誌に露出する機会が増えて、『がむしゃら』のいいPRになるな。そんなことを思いながら観戦していた。試合前からベルト保持者である世IV虎と調印書にサインするしないで揉める。2人が以前から犬猿の仲であることを強調する、プロレス用語の“アングル”だろうと</p>

普通じゃないからこそ、世界はこんなにも美しい! 天才学者の数奇な生涯『イミテーション・ゲーム』

<p> 数式の力を使って、死んだ人間を甦らせたい。ホラー映画の話ではない。アラン・チューリング(1912~1954)は実在した英国人数学者だ。23歳にして数式を解く人間の頭脳の論理を模した仮想上の機械「チューリング・マシン」を考案し、このアイデアは現代に至るコンピューターの礎となっている。ベネディクト・カンバーバッチ主演の『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』はアラン・チューリングの数奇な生涯を追い、彼が人工知能の研究に尋常ならざる情熱を注いだ秘密に迫っている。<br />
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アイドルは「さよなら」の代わりに映画を残した 銀幕越しの温もり『世界の終わりのいずこねこ』

<p> アイドルと映画は、コドクな人間に優しい。映画は単に物語を提供するだけでなく、コドクな人間に観客という役割を与えてくれる。現実社会に居場所を見つけることができなくても、映画館の入場券さえ持っていれば、1時間半から2時間前後の時間を誰もが客席に座って過ごすことができる。アイドルもまた、コドクな人間にファンという役割を与えてくれる。アイドルを応援し続ける限り、そのアイドルはコドクな人間に</p>

人はなぜ働くのか? 人気監督が導き出した答え『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』

<p> 地元の人たちに長年愛されてきたソウルフードが一堂に会するB級グルメの祭典「B-1グランプリ」がきっかけで、富士宮焼きそばや八戸のせんべい汁はずいぶんメジャー化した感がある。太平洋を挟んだ米国でも、似たようなB級グルメブームが起きている。ミシュランで紹介されているような高級レストランよりも、公園や街角に停まっているフードトラックのランチメニューが人気を呼んでいるのだ</p>

イーストウッド監督が描く“イスラム国”誕生前夜 悪魔と呼ばれた男の正体『アメリカン・スナイパー』

<p> 映画というメディアの特性のひとつに、複眼的な視野を内包していることが挙げられるだろう。小説のほとんどはひとりの作家によって書かれるが、映画は監督だけでなく、脚本家、プロデューサー、カメラマン、キャスト……様々な視点が盛り込まれることによって、作品の世界観に立体感と奥行きを持たせることができる。監督にそれらの視点を束ねる力量がなければ、単なる駄作で終わってしまうわけだが。現在84歳となるクリント・イーストウッド監督による『アメリカン・スナイパー』は、その点での心配はない。なにせ、イーストウッド監督は映画界の現人神である。『アメリカン・スナイパー』の原作本『ネイビー・シールズ最強の狙撃手』(原書房)は4度にわたってイラク戦争に従軍したクリス・カイルの一人称で語られる回顧録(要所で妻タヤの証言が入る)であり、スナイパーライフルのスコープから覗いた戦場の生々しさが描かれ</p>

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