古来から、日本人は酒に神秘の力が宿ると信じてきた。正しく利用すれば、殺菌作用を持ち、血行を促進させ、精神から不安感を取り除き、ストレス解消にもなる。その効能から、あたかも魔法のような力を持つ酒は、洋の東西を問わず宗教的な儀式に欠かせないものとなっている。
アルコールの力によって、人は無防備になれる。心が解き放たれ、判断は大胆になり、日常の窮屈なこだわりから開放されるのだ。そして、まるで神懸かりのような状態になったため、SMAPの草なぎ剛は全裸になり公然わいせつ罪の現行犯で逮捕され、涙の記者会見。市川海老蔵は灰皿テキーラを飲ませようとして殴られ、笑福亭鶴瓶は27時間テレビで泥酔の上股間を露出し放送事故、長野五輪金メダリストの里谷多英は酔った勢いでVIPルームで性行為……と、数々の失敗がアルコールの力で巻き起こされてきたのだった。
だが、アルコールが生み出すのは失敗ばかりではない。そこにはエロいチャンスも転がっている! いわゆる「お持ち帰り」というやつである。酔っ払って気持ちが大きくなった男女は、アルコールを言い訳にして終電を逃し、繁華街のホテルへと消えてゆく。とはいえ、女子と一緒にお酒を飲めるだけでも奇跡なのに「※ただしイケメンに限る」から漏れてしまった男たちにとって「合コンでお持ち帰りしちゃった」「酔った勢いでそのままホテルに……」といったシチュエーションなどは夢のまた夢……。けれども、そんなボクらにだって、アルコールに飲まれたしどけない姿の女子を眺める眼福に預かってもいいはず。いいはず!!
というわけで、フェチ写真集の刊行で名高いマイウェイ出版による最新ムックが『ほろ酔い女子』だ。居酒屋で、バーで、海で、旅行先で、オフィスで、ラブホテルで……と、さまざまな場面で頬を赤らめながらアルコールを嗜む女の子たちが写し出された本書。もちろん、フェチ写真集のプライドとして、女性たちは一切裸を見せることはない。ここには、パンツ、ブラ、谷間などのチラリズムがあるのみだ。
余計な文章は一切挟まれることなく、写真だけで展開される”ほろ酔い女子”たちのストーリー。アルコールが周ってとろ~んと潤んだ瞳、バーカウンターに上半身を預けながらこちらを見て、彼女はいったい何を期待しているのだろうか? 汗ばんでいるからって、そんなに薄着になって大丈夫なの!? おいおい、浴衣の裾がはだけて下着が見えているじゃないか! 本書を眺めていると、酔いの勢いに任せて大胆になる女の子たちを、覗き見しているような感覚になってくる。酔っ払った彼女たちのリアルな姿が写し出されているからこそ、読者とほろ酔い女子たちとの距離はグイグイと近づいていくのだ(あくまで妄想の上だけど……)。
ユニコーンが実在しないように、麒麟が古代中国人による想像の産物であるように、非モテ系男子にとって、お持ち帰り可能な”ほろ酔い女子”はファンタジーの世界に住んでいる生き物。こんな女の子たちと一緒に美味しいお酒を飲んで、こんなシチュエーションを味わいたい……と思うけど、冷静に考えてみれば、これまでそんな経験は一切なかったボクらの人生において、こんな女性たちに巡りあうことはまずないと考えたほうが懸命だろう。
だから、本書を読みながら妄想と股間を膨らませつつ、来世に期待しよう!
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