「12プレミア」の記事一覧(10 / 15ページ)

ディズニーによって作られた祭りと群がるメディア…広告大量投下でゴリ押し『スター・ウォーズ』の虚像

――このほど公開された映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』。第1作の公開が約40年前とあり、年季の入ったファンが多い同作。本作からディズニーが配給となり興行成績の記録を更新すると意気込み、世間でもお祭り状態だ。一方で、そうした記録を目論むあまりに、強引な営業や不自然すぎるヨイショPRも目立った。果たして、スター・ウォーズは、それほどまでに大騒ぎするほどの作品だったのか? その価値を見なおしつつ、強引とまで言われるビジネスの実態を暴いてみよう。

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最近では広告募集さえ目立つ、繁華街の立て看板でも大々的に宣伝されていた。

 2015年12月18日、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が全世界で公開された。前日譚である『エピソード1~3』(99年~05年)とは異なり、「完全なる新作」だっただけにファンの期待はひとしお。公開初日の先行予約チケットは、発売と同時に東京都内の主要劇場分は即完売した。

 しかし、蓋を開けてみると、日本での初週の週末観客動員数はトップの『妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』が約97万人の動員数だったのに対して約80万人と惜敗。『スター・ウォーズ(以下、SW)』が全国370館958スクリーン、『妖怪ウォッチ』が全国359館434スクリーンという大きく差のついた公開規模だったのにもかかわらず、だ。本当に『SW』は全世界が待ち望んだ新作だったのだろうか?

 確かに本作は前評判の通り、米国では興行収入が7億4220万ドルを超え、歴代1位の『アバター』の記録=7億6050万ドルに並ぶと目されている。日本でも、公開17日間で累計動員数は414万人に達し、興行収入は63億9980万円を記録。大ヒット作であることは間違いない。しかしながら、その成果が作品の価値そのものへの評価だったのかどうかは、疑問が出てくる。一種の「祭り」とも言える『エピソード7』の公開。その本性を解き明かすため、まずはシリーズの歴史を振り返ってみよう。

 1977年5月25日、ジョージ・ルーカスの手によって、シリーズ第1作目『新たなる希望(4)』が世に送り出された。ルーカスが文字通り身銭を切って作り上げた渾身の作品だったが、試写会ではルーカスの盟友=スティーブン・スピルバーグしか作品を褒めた人がいなかったという映画の出来に、配給元の20世紀フォックスは尻込み。公開当時のアメリカ国内での上映館数はわずか32館だったという。しかし「これまでにない映像作品だ」という口コミが広まり、大ヒットを記録。その後、80年に『帝国の逆襲(5)』、83年には『ジェダイの帰還(6)』が公開され、ルーカスの作り上げたSWシリーズは映画史に残る「クラシック」となった。

 しかしながら、その栄誉を葬ったのもまたルーカスその人が作った『エピソード4~6 特別編』と『エピソード1~3』だった。97年に発表された『特別編』は、撮影当時は実現できなかったイメージをCG技術を使って具現化。99年~05年にかけて公開された『1~3』は前3部作の前日譚を意欲的に描いた。ところが、最新技術を駆使した新たな物語に、熱狂的なファンは大激怒。批判の最大の理由は「オリジナルのエピソード4~6が持っていたクラシックな映像表現が失われた」ことだった。

 そして『エピソード3』公開から7年後の12年、ルーカスフィルムはウォルト・ディズニーに買収される。同時に『エピソード7~9』とスピンオフ作品、計5本の制作が発表されたが、ルーカス本人は同シリーズからの引退を表明した。

『新たなる希望』の公開をリアルタイムで経験した評論家の円堂都司昭氏は、公開当時の印象をこう語る。

「SF映画の王道ともいうべき『2001年宇宙の旅』や『猿の惑星』がそれ以前に話題になっていたこともあり、本格的なSFファンからはチャンバラ活劇的な『SW』はお子様向けと思われていたのは事実です。映像は革新的ですが古臭いストーリー展開なので、どこか『懐かしいなぁ』という印象がありました。また、日本での公開は78年ですが、77年にアメリカでヒットを記録した時点で情報は日本にも入ってきていた。公開に先駆けてサントラ盤やノベライズ本など関連商品を発売して、映画への期待を煽っていました。当時は角川映画がメディア・ミックス的な手法を手がけ始めた時代でしたので、同時代性がありましたね」

 こうしたメディア・ミックスを通じて「お祭り」を盛り上げていく方法は、今回のプロモーションでも用いられている。食品から衣料品に至るまで、あらゆる分野での関連商品の展開はもちろんのこと、カルチャー誌だけでなく女性誌にまで手を広げ、テレビ・スポットを打ちまくるメディア戦略が実施された。一説によると、これには史上最大規模の宣伝費が投入されているという。

 あまりの縦横無尽ぶりに謎コラボも多数出現している。その中でもファンからのヤジが飛んだのは、本編上映前に流れた『ONE PIECE』とのコラボ映像だ。ルフィが『SW』に「エール」を贈るという内容だったが、一部の映画館では不評を考慮して、上映されなかったという噂もある。いくら『SW』が使えるからといって、世界観を無視し、知名度を高めるためだけの無為なコラボレーションには閉口せざるを得ない。

 さらに公開前に話題となったのは、都内約9カ所の映画館が1800円から2000円にチケットの料金を特別料金に設定したこと。ネットを中心に「足元を見てる」「守銭奴」などとファンは猛反発。本社から『アナと雪の女王』超えの興行収入を厳命されているという日本のディズニーの策略が絡んでいるという話もあったが、映画ライターのよしひろまさみち氏は値上げの理由をこう分析する。

「TOHOシネマズは『SW』の新作公開に当たって、音響システムを最新のものに切り替えるなど、設備投資をしてきたんです。客が入らなければスクリーン数が減らされる今のシネコンの現状では、ロングランで大ヒットという昔ながらの映画のヒット作は出し難い。だからこそ短期間で設備投資の費用を回収するために特別料金を設定するというのは、特段おかしいこととは思えません」

 納得できる理由があっても、これだけの反発が出るのは、そのやり口が強引すぎるがゆえだ。それは『フォースの覚醒』の作品性にも表れている。

 ルーカスに代わり、J.J.エイブラムスが監督した同作は、『1~3』でルーカスが『SW』の世界を拡張しようとしたチャレンジは見られず、旧三部作のテイストを踏襲した、徹底的なオマージュ作品となっている。しかしそれが功を奏した。ただ、ルーカスは試写視聴前のインタビューで「『エピソード7』は、レトロで嫌いだ。自分は愛した子を奴隷商人に売り渡した」とまで述べ、作品が自分の手を完全に離れたことを強調していた。

 確かに『フォースの覚醒』からはルーカスの作家性は失われ、精巧に作り上げられた出来のいい“商品”として成立しているように思える。

 巧妙な宣伝戦略と商品作りによって成立した今回の『SW』祭り。本特集では、識者の作品論やビジネス分析などから、全世界を巻き込んだ、この狂騒的な「祭り」のダークサイドを紐解いてみよう。

(文/小田部 仁)

「俺は身勝手な男だった」【元ZOO・CAP】が語った覚せい剤逮捕後の本心、そして懺悔

<p>昨年7月7日、芸能界、そして音楽業界に衝撃が走った――元ZOO・CAPの逮捕。トップ・アーティストの座まで上り詰め、栄光をつかんだ彼が薬物に手を出してしまった理由はなんだったのか。本誌独占で彼の言葉を届けたい。</p>

悲劇の少女か、堂々たる嘘つきか? 獄中インタビューで暴露合戦をする、母親殺害事件の娘と恋人

――犯罪大国アメリカにおいて、罪の内実を詳らかにする「トゥルー・クライム(実録犯罪物)」は人気コンテンツのひとつ。犯罪者の顔も声もばんばんメディアに登場し、裁判の一部始終すら報道され、人々はそれらをどう思ったか、井戸端会議で口端に上らせる。いったい何がそこまで関心を集めているのか? アメリカ在住のTVディレクターが、凄惨すぎる事件からおマヌケ事件まで、アメリカの茶の間を賑わせたトゥルー・クライムの中身から、彼の国のもうひとつの顔を案内する。

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ジェニファー&ポールの幸せだった頃。

 テキサス州ヒルトップ刑務所内に設置された、無数の照明とテレビカメラ。その前で笑みを浮かべながらパイプ椅子に座る、ブラウンヘアーの少女。テレビ番組のリポーターがインタビューを開始すると、少女は静かに語り出す。

「母親の血しぶきが私の膝にかかりました。そして部屋中が血の海となり、私はただただその光景を見ていました」

 煌々と光る照明を浴びながら衝撃の事実を語るこの少女は、もちろんセレブやアイドルではない。現在、母親を殺害した罪で刑務所に収監されている本物の囚人だ。

 犯罪大国アメリカでは、犯罪者の犯した罪の実情にスリルを感じ、興味を持つ者が多いことから、こうしたトゥルー・クライム(実録犯罪物)を扱ったエンターテインメントが1ジャンルとして不動の地位を確立している。テレビをつければ被害者の遺族や、時に加害者までが事件の詳細を語り視聴率を上げているのだ。

 冒頭で紹介した少女もまた、テレビ番組が企画した獄中インタビューに答える加害者の一人。かつてアメリカを大きく揺るがした母親殺害事件の真相が、赤裸々に語られた。

シングルマザーの母と非行少年の弟、初めてのボーイフレンド

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それぞれ獄中インタビューに応えるジェニファーとポール。

 テキサス州ダラス郊外の閑静な住宅街で、ジェニファー・ベイリー(当時17歳)は4歳年下の弟・デイビッドと母親の3人で暮らしていた。地元の高校に通い、医者になることを夢見るジェニファーは、社交的な性格でこそなかったものの周囲からの評判も良く、ファンタジー小説を愛読するどこにでもいるティーンエイジャーだった。

 ジェニファーの母親は夫との離婚後、2人の子供たちを女手一つで育てるために夜遅くまで働くシングルマザー。母子家庭でありながら子どもたちが他の子どもたちと同じような生活が送れるよう、2つの仕事を掛け持ちして毎日夜遅くまで働いていた。

 仕事で家を留守にし、ほとんどの時間を子どもたちと過ごすことができない母親には悩みがあった。それは弟デイビッドの非行だ。デイビッドは通っていた中学校でたびたびトラブルを起こし、さらに自傷行為を繰り返していたのだ。“離婚がきっかけでデイビッドは変わってしまった”――そう考えた母親は、自分を責め立てる毎日を過ごした。

 そして、日々エスカレートするデイビッドのトラブルを心配した母親は姉のジェニファーに対してある言いつけをする。それは、四六時中デイビッドに寄り添い、自分の代わりに面倒を見て欲しいということだった。

 この言いつけによって、ジェニファーの生活は一変した。学校が終わると友人たちと遊ぶ暇もなく帰宅し、母親の代わりに家の掃除をし、食事を作り、デイビッドの世話に明け暮れた。やがて彼女は、その生活に不満を持ち始める。掃除や洗濯、食事の準備に少しでも手を抜くと母親はジェニファーに厳しく当たったからだ。ジェニファーは反発を繰り返し、母親との口論は日常化するようになっていった。それでも母親の言いつけは変わらない。学校と家とを往復するだけの毎日の中で、友達と遊ぶ時間もなくなり、勉強もしなくなり、医者になる夢もジェニファーはいつしか忘れていった。

 そんな矢先、彼女はある男子生徒に出会う。それは、同じ学校に通う1歳年下のポール・ヘンソン(当時16歳)だった。ポールは校内では有名な異端者で、悪魔崇拝に夢中になるGOTH少年だった。すらっとしたやせ形で身長は高く、伸びっぱなしの長髪が特徴的で、ハンサムというわけではなかったが、まるでファンタジー小説の登場人物のような独特のオーラで、ジェニファーは恋に落ちた。

 ジェニファーとの交際を開始したポールは、母親が一日中家を留守にすることが多かった彼女の家に入り浸るようになる。2人でエモ(エモーショナル・ハードコア)を聴き、ロールプレイングゲームを楽しみ、ジェニファーにウィッカと呼ばれる魔術の魅力を教えた。初めてのボーイフレンドであったポールの存在は、家庭環境に悩んでいたジェニファーにとってなくてはならないものとなっていった。

母vs娘&GOTH少年、繰り返す口論と家での果てに――

 しかし、ジェニファーの母親は、家に入り浸るポールを良く思わなかった。初めて会った時から激しい嫌悪感を示し、ポールの存在によって変わりゆくジェニファーを心配した母親は、ポールとの接見を禁止した。しかし、彼女は母親の思いに逆らうようにポールと会うことを辞めなかった。そして母娘はポールについて頻繁に口論をするようになり、2人の関係はさらに悪化していった。ポールにとっても、自分を否定するジェニファーの母親は目障りな存在だった。2人はそんな母親から距離を置こうと何度も家出を決行したが、行き場のないティーンエイジャーはすぐに発見され、その度にお互いの家へと引き戻されていた。

 そうした中、母親は自分に反抗し続ける娘との関係を修復したいという思いから、ジェニファーと向き合い、話し合いを設ける。そして自分への不満を一つ一つ聞き、謝罪をした。母親はまた普通の親子に戻れると信じていた。

 しかしそんな矢先、ポールが自宅から失踪したとして父親から通報を受けた警察が、ジェニファーの家へと捜査に訪れる。警察はこの時、家の中からポールの存在を発見することはできなかったが、ジェニファーの部屋からポールの衣類が入ったスーツケースを発見した。ジェニファーは家出してきたポールをかくまっていたのだ。

 この出来事で、母親はジェニファーに対して再び激昂する。そしてポールと距離を置かせるために、しばらく祖母の家か父親の家で過ごすようジェニファーに言いつけ、再び母娘は激しい口論を繰り広げた。 

 一度は埋められるかと思った母との間の亀裂が、より深いものになったジェニファー。そんな彼女に、ポールはある提案を持ちかける。それは、自分たちの関係を邪魔する母親を、殺害することだった。

笑いながらの殺害、そして幼稚な逃亡劇

 2008年9月25日、激しい口論の翌日だった。

 ポールはジェニファーの家で仕事から帰宅する母親を待っていた。深夜、何も知らずに仕事から帰った母親は2階の寝室に入ると悲鳴をあげた。そこにはナイフを持ったポールが待ち伏せしていたからだ。羽交い締めにされナイフを突きつけられた母親は、現場に居合わせたジェニファーに向かって「警察に電話して!」と叫んだ。しかし、ジェニファーは母親の願いを拒み、その場に立ち尽くしたという。そして、ポールは母親の首をナイフで切り裂き、時おり笑みを見せながら26回もナイフで刺し、殺害したのだ。

 ポールとジェニファーは、弟のデイビッドとペットの犬を連れて母親の車を盗みカナダへと国外逃亡を試みた。しかし、この無鉄砲な逃走劇は自宅から約1120km離れたサウスダコタ州で閉店後のガソリンスタンドに停車していたところを警察に見つけられ、逮捕されてあっけなく幕を閉じる。

 2人は逮捕後、仮釈放なしの終身刑に課せられる可能性があったが、司法取引に応じたためそれぞれ懲役60年を言い渡された。
 そして、事件から4年後の2012年、ジェニファーは冒頭のテレビ番組が企画した獄中インタビューに答え、ポールが行った残忍な殺害の手口、そして母親への懺悔を口にした。
  

7年越しの獄中インタビュー映像が巻き起こした波紋

 このインタビューの効果もあってか、「GOTH少年・ポールに操られた悲劇の少女」という印象を与えてきたジェニファーであったが、2015年11月に事態は再び動く。この事件を追った本『Let’s Kill Mom』が出版されたのだ。彼らが犯行に至った経緯を丁寧に描いた『Let’s Kill Mom』は、元新聞記者でノンフィクションライターのドナ・フィルダーによる粘り強い取材によって、家族のあり方や、社会に対して問題を投げかける問題作となった。

 こうした動向を受けて、テレビ番組も再びこの事件のドキュメンタリーを制作。アメリカでは家族や友人が受刑者と面会ができるように、メディアもまたそれと同等の権利を持っているため、受刑者が承諾さえすれば獄中インタビューができる仕組みになっている。刑務所によってはカメラを持ち込むことができない場合もあるが、ジェニファーやポールが収監されている刑務所では、カメラでの撮影が許可されていた。結果、冒頭のジェニファーのインタビューのみならず、新たなドキュメンタリー番組ではポールまでもが獄中インタビューに出演。そこで、「実は、母親殺害計画はジェニファーの提案だった」と衝撃の告白を行ったのだ。ジェニファーはあくまで殺害は全てポールの仕業と証言しているが、『Let’s Kill Mom』の中では、後の捜査によってジェニファーも母親殺害を手伝ったと記述されている。
 
 事件からおよそ7年たった今、獄中で過ごすジェニファーは日々、聖書を読みながら釈放までの日を待っているという。

井川智太(いかわ・ともた)
1980年生まれ。育英工業高等専門学校卒業。印刷会社勤務を経て、テレビ制作会社に転職。アシスタント・ディレクターを経てディレクターとなり、2011年よりニューヨークの日系テレビ局でディレクターとして勤務。また、その傍らフリーのライターとしてウェブを中心に執筆中。

SMAPの会見に思う――。アイドルは幸せでなくてはいけません。それを信じる人の幸せとつながっているから

――女性向けメディアを中心に活躍するエッセイスト・高山真が、芸能報道を斬る。男とは、女とは、そしてメディアとは? 超刺激的カルチャー論。

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SMAP 「スマップ・エイド」

 1月18日の『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)内の生放送での、5人による会見(あれを「謝罪会見」という言葉では表現したくない私がいます)は、SMAPファンではない人たちにも大きな話題を呼びました。多くは「ショック」という意味合いで。

 1年半ほど前になるでしょうか、私は別のコラムで、自分なりの「アイドル論」を書いたことがあります。以下、少し再現します。

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「私は、私たちは(ぼくは、ぼくたちは)、なんだってできる」とその存在で語るアイドル(私にとってのジャンヌ・モローや1987年くらいまでの松田聖子、80年代の伊藤みどりや96年に一度目の引退をするまでの伊達公子)、あるいは「私には、私たちには(ボクには、ボクたちには)、できることは限られている。でも、だからと言って、自分たちの上にいる、力の大きなヤツらに迎合も服従もしたくない」とその存在で語るアイドル(昔ならジェイムズ・ディーンとか、パンク、ロック系のアーティストなどはこちらの枠。尾崎豊もこちらだと思う。最近なら1990年代の安室奈美恵とか2002年ごろまでの浜崎あゆみの歌の世界観もこっちだと思う。同性のカリスマになるのは、たいていこちらのタイプ)が、10代の子たちにどれだけの勇気やなぐさめを与えてくれるか。

 ここに「AKB」の名前を出さなかったのには、理由があります。「歌がヘタ」だとか「可愛い子と思える子がいない」とか、そんなことはこの際どうでもいい。「AKB(と、派生するグループ)」は、私の考える「アイドル」とは真逆であることが最大の理由なのです。「大きなものが決めたことに迎合し、従わなければ、そのグループで活動を続けていくことさえ難しい。それが大前提になっている子たち」を見るのは、どうもね、つらすぎるのよ。「年端もいかない子が、お金も力もある大人に翻弄される」様子を、「物語」とか「試練」として気持ちよく消費することが、心情的にできないわけ。それは私にとって、「運営側・制作側が隠そうともしない残酷さ、酷薄さに乗っかる」みたいな部分があるのです。
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…と、こういうことを書いたのが1年半前。そして今年の1月15日にアップした、この連載の前回のコラムではこういう感じのことを書きました。

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 アイドルとは、ただ『テレビやステージでキラキラ輝いている人』のことではない。その人たちが輝いている姿を見ると、ほんの一瞬でも『生きていくのが怖くなくなる』というほどの切実さで、多くの一般人が応援している人。それがアイドルである。

 しかし、松田聖子にしろSMAPにしろ、「若さをベースにしたキラキラを放出する時期」が終わってもなお、「10年、20年、30年の長きにわたってこの『任務』を成立させるアイドルが出てきた」いうことは、同時に、「多くの人たちにとって、生きていくことが、いつまでたっても怖くなくならない」ことも意味するのです。

 やっぱりダメよ、解散なんて。くどいようですが私はSMAPオタではありません。でも、曲が好きなの。彼らのステージを見るのが好きなの。そして、そのステージを見ることで、一瞬でもいい、「つらさ」を忘れる人たちがたくさんいることを感じるのが好きなの。「いい大人になっちゃったけど、昔から好きなことが、自分のそばに、まだある。だから、なんとか生きていける」と思える人がたくさんいる。そのことが好きなの。だからダメよ、解散なんて。
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 そして、1月18日の生放送での、SMAPの会見。あの会見を見た後で、私は前回のコラムに書いた「感想」を変更するのではなく、ひとつだけ、新たな「感想」をつけ加えたいと思います。

「アイドルは、幸せにならなくてはいけない」と。

 アイドルとは、何も芸能人だけが背負う「使命」ではありません。スポーツ選手をアイドルにしている人、文筆家をアイドルとする人…、本当にさまざまなアイドルがいます。現実世界に存在しない何かしらのキャラクターをアイドルにする人もいれば、海外住まいの私の友人がマザー・テレサを挙げたように、崇高な活動をしている人をアイドルにしている人もいるでしょう。

 アイドルは、私を含む一般人に、「キラキラ」を見せてくれるだけではありません。想像すらできなかった高い壁を超えたり、分厚い殻を破る姿を見せてくれる。そして、自分の力だけでは見えなかった景色を見せてくれる。少なくとも若かりし頃の私は、アイドルのそんな姿を見て、「私ももう少し頑張れるかもしれない。自分の壁はもっと低いんだから。自分の殻はもっと薄いんだから」といった「励まし」をもらってきました。

「生きていくことの怖さ」を単にやり過ごすだけではなく、乗り越える強さを、会ったことがない他人や現実にはいないキャラクターからもらってきたのです。これは私を含む「SMAPファンではないが、自分なりのアイドルがいる人・いた人」にもわかっていただけると思います。

 だから私は、自分のアイドルには幸せでいてほしい。幸せになってほしいのです。彼ら、彼女たちの強さが、自分の強さにほんの数%でも影響を与えてくれるのを知っているから。彼ら、彼女たちの幸せが、自分の幸せと見えない場所でつながっているのを知っているからです。

 私は、それがどこまでも利己的な感情だと知っています。

 でも、同時に「それが利己的な感情だ」ということを認められる程度には大人です。だからこそ、あの会見を見たときに、SMAPファンの人たちのためだけでなく、自分のためにも思ったのです。「SMAPには幸せになってほしい」と。

 芸能界におけるアイドルが、2~3年で入れ替わるのではなく、驚異的に長いあいだ人気を博すようになった理由に、「若さをベースにしたキラキラ」だけではなく「メンバー同士の関係性」が消費されるようになったから…ということは、一般にもかなり共有されていると思います。「関係性萌え」の人は、今さら「アイドルとつきあえるかも」みたいな妄想を抱くほど子どもではない。しかし、「自分のリアルな世界、その世界にいる人々との関係性にしんどさを抱えている人が、彼らの関係性から力をもらいたい」と、心のどこかでは思っているのではないか…。私は自分の経験からそう感じるのです。

 グループ単位のアイドルが見せる「キラキラした関係性」に希望を見出していた人たちが、メンバーの誰ひとり幸せに見えなかったあの会見に動揺したりショックを受けただろうことは、容易に想像がつきます。本当に若い頃に「自分の周りの人々との関係性」にしんどい思いをしていた私自身にとって、その動揺やショックは他人事ではないからです。だから、あの会見以来、私の心の中には、薄くてぼんやりしているけれどどうにも剥がれない膜がかかったような感じになっています。

 生きることに不器用だったり、周りの人たちとの関係性に不器用だったり…アイドルは、そんな人たちのために存在します。不器用であることが「悪」だなんて、私はとても思えません。「不器用であること」を受け入れつつも生きていかなくてはいけない人たちの、その負担の重さは、かつての自分が抱えていた重さそのものでもあるからです。だからこそSMAPは幸せになってほしい。傲慢な希望だということは百も承知で、メンバーだけでなく、SMAPを作った人、SMAPを動かしている人たちも一緒になって、SMAPを幸せにしてやってほしいのです。SMAPのため以上に、アイドルを信じるすべての「ちょっと不器用な人たち」のために、強く願っています。

高山真(たかやままこと)
男女に対する鋭い観察眼と考察を、愛情あふれる筆致で表現するエッセイスト。著書に『愛は毒か 毒が愛か』(講談社)など。新刊『恋愛がらみ。 ~不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』(小学館)が1月下旬に発売予定。

SMAPは解散してはいけない。木村拓哉がそれを知らないはずがありません

――女性向けメディアを中心に活躍するエッセイスト・高山真が、芸能報道を斬る。男とは、女とは、そしてメディアとは? 超刺激的カルチャー論。

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SMAP 「世界に一つだけの花」

 前回の連載の「紅白レビュー」でも書きましたが、私はジャニオタではありません。

 で、今回のSMAP解散報道については、いくつかのスポーツ新聞と週刊新潮に書いてある程度のことしか頭に入れていません。要するに「木村拓哉以外の4人は、自分を育ててくれた大恩あるマネージャーについていくことを選び、事務所を出て行く意思がある。事務所に残る意思を表明したのは木村拓哉だけ」「中居正広、草なぎ剛(変換が出ないので一文字ひらがなで失礼)、稲垣吾郎、香取慎吾の4人が脱退の意思を表明した時期より、木村拓哉が残留の意志を表明した時期のほうが遅い」というニュースを目にしたくらいです。

 先ほど、「私はジャニオタではありません」と言いましたが、かと言ってSMAPのことを何も知らないわけではありません。曲のクオリティがとても高いとか、中居くんの生歌が味わい深いとか、いろいろある「知っていること」の中のひとつに、「木村拓哉の『カッコいい』に対する嗅覚と執着」ということがあります。

 ドラマで演じる役どころや歌っているときの様子はもちろん、バラエティ番組に出ているときでさえ、木村拓哉は何よりも「カッコいい」ということを追求しているように映ります。とは言え、人間のやることに「100%の成功率」というのはありえませんから、ファンなら「見なかったことにする」、それ以外の意地悪な人間(私含む)なら「ネタにする」になってしまう言動・行動もあります。木村拓哉の場合は主にそれが「英語がらみ」で起こるようですが。フリップに書いた英単語が激しく間違っていたり、外タレに英語で話しかけたのに横にいる通訳に聞き直されてしまったり。ただ、結果としてそうなったとしても、動機そのものは「カッコいい」の追求だったわけです。

 で、その「カッコよさ」を、「芸能界の外」にいる「視聴者」だけに向けているわけではないことも、様々な機会で目にしたり耳にしたりします。印象的だったのは、2011年8月、『大竹しのぶのオールナイトニッポンGOLD』にゲストで出演した、しのぶの元夫・明石家さんまが話したこと。東日本大震災のあと、木村拓哉に電話で「お金じゃなくて、僕たちに何かできることはないですかね」と言われるも、あの震災の規模のあまりの大きさを思ったさんまが「俺は…ないなあ」と答えたら、さんまいわく「えらい怒られた」とのこと。そこまでプライベートな電話の内容を「さんまがどこかで話してくれること前提」で木村拓哉が口にしていた、と考えるほどの意地悪にはなれない私は、それを聞いたときに、「ああ、木村拓哉は『内』と『外』で、あまり変わらないんだな」と思ったのです。

 で、今回、木村拓哉のみが残留の意思を表明したという報道に関して、さまざまな意見が飛び交っているようです。「裏切り」とか「保身」なんて単語も目にしました。このコラムを書いているのが1月14日。現時点で木村拓哉のコメントは聞けていない(15日夜にラジオがあるらしい)のですが。その大前提のもとに言わせていただくと、私はかなり違った考えです。

 最初に挙げた、私がかろうじて知っている、今回の報道についての2つの事柄。「これが真実である」と仮定すれば、木村拓哉は「SMAPという『名前』の残し方」を考えていたのではなかろうか。私はすぐにそう感じたし、いまでもその考えは変わっていません。

 5人が5人とも事務所を辞めてしまえば、「SMAP」という名前は、かなりの確率で永久に消えてしまうでしょう。詳しい権利の名称・詳細は素人なのでわかりませんが、「SMAP」という名前そのものにある「権利」は、たぶん事務所のほうが持っているでしょうから。SMAPのファンにとって、「もう『SMAP』という存在が見られない」ことこそが、何より悲しいことなのは、ファンでない私にもわかる。それを防ぎたいのだとしたら、5人(と、マネージャー)の中で、誰かひとりでも、事務所と「SMAPを名乗り続けること」に関して交渉できる人物が必要になってくる。それもできれば、もっとも発言力の強い人間が「SMAPを名乗り続けることを許された」うえで、「許される人の数を増やしていく」交渉を続けていくことが最良の方法なのでは、と。ジャニーズ事務所では初の試みになるでしょうが、「所属事務所をまたいで、ひとつのグループを形成する」という、トライアル。過去には、山口百恵・桜田淳子・森昌子の「中三トリオ」とか、ちょっと前の「羞恥心」とか、いまならAKBグループが該当しますが、それをジャニーズ事務所でも可能にするならば、残るのは木村拓哉しかいないと思います。

 木村拓哉が最後まで去就の意思を表明しなかったのは、もしかしたら、4人の意思を確認し、その意思を尊重したうえで、自分の「仕事」を確認したのではないか、と思っているのです。

 これはあくまでも私の妄想にすぎません。「木村拓哉に過剰な思い入れを持ちすぎ」というご感想を持つ方がいても当然だと思います。ただ、「派閥」という言葉が、私が目にした週刊誌と新聞ですら公然と使われるようになった現在でも、私は、そうした「力学」への興味より、ファンの気持ちばかりに心を持っていかれてしまっています。つーか、「ファン」とは言えない私ですら、SMAPの歌の何曲かはすごく好きだし、解散はショックなんですよ。ファンの心中たるや察するに余りある。解散するならするで、誰よりもファンが納得する形で幕を引いてほしいし、いまはまだ、そんな状況でもタイミングでもないでしょうに。そして、賭けてもいいですが、そんなことを知らない木村拓哉じゃないでしょうに。

「アイドルとは、ただ『テレビやステージでキラキラ輝いている人』のことではない。その人たちが輝いている姿を見ると、ほんの一瞬でも『生きていくのが怖くなくなる』というほどの切実さで、多くの一般人が応援している人。それがアイドルである」と、私は以前、別のコラムで書いたことがあります。数年単位で現れては消えていくのではなく、10年、20年、30年と続いていく「アイドル」。若さをベースにした「キラキラ」だけでは存続しようがない「アイドル」。日本の芸能史において、そんな無理難題を女性アイドルで最初にクリアしたのが松田聖子なら、男性側でそれをさらにバージョンアップさせた形で実現したのは間違いなくSMAPでしょう。

 しかしそうした現象は同時に、「多くの人たちにとって、生きていくことが、いつまでたっても怖くなくならない」ことの裏返しでもあります。「それは昔から変わっていない」と言われたら確かにその通りですが、だとしたら「少なくとも、そんな思いの受け皿になってくれる存在、そんな思いを抱える人たちと一緒に年を重ねてくれる存在は出てくるようになった」とお答えしたいのです。

 やっぱりダメよ、解散なんて。くどいようですが私はSMAPオタではありません。でも、曲が好きなの。彼らのステージを見るのが好きなの。そして、そのステージを見ることで、一瞬でもいい、「つらさ」を忘れる人たちがたくさんいることを感じるのが好きなの。「いい大人になっちゃたけど、昔から好きなことが、自分のそばに、まだある。だから、なんとか生きていける」と思える人がたくさんいる。そのことが好きなの。だからダメよ、解散なんて。

高山真(たかやままこと)
男女に対する鋭い観察眼と考察を、愛情あふれる筆致で表現するエッセイスト。著書に『愛は毒か 毒が愛か』(講談社)など。新刊『恋愛がらみ。 ~不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』(小学館)が1月下旬に発売予定。

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※1月18日発売の『サイゾー』2月号に掲載予定の記事を、事態の急変を受けて加筆修正しております。

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ジュリーさんの、政治の道具にされてしまったキムタク。今後は仲良く?

 昨年末の音楽特番に向けた動きなどから、ジャニーズ事務所内部と周辺の混乱が漏れ伝わり、2016年は新たな局面を迎えた。 1月14日発売の「週刊新潮」(新潮社)に、「辣腕『女性マネージャー』は追放! 『国民的アイドル』修復不能の内部対立 4対1に分裂! 『SMAP』解散への全内幕」と報じ、それと前後してスポーツ紙などで一斉に報道されたSMAPの解散説。こうした動きは、昨年秋ごろから具体化し、事務所内でその権利をめぐって調整が続いていたという。

「これまで、サイゾーさんでも散々いろんなうわさ話を報じていましたが、ジャニーズ事務所内の派閥争いが、一段落しそうですね。

 それにともなって、ジャニタレの出演がもろに視聴率に影響するテレビ局各局では、この1年をかけて事務所の“正統なる後継者”、藤島ジュリー景子代表取締役副社長率いる “ジュリー派”寄りにシフト【1】しているようです。SMAPマネージャーで同事務所マネージメント室長の飯島三智氏預かりの“飯島派”のジャニタレを使った番組や、番組へのグループ単位での起用を極端に減らす方向で調整しているように見えますね。特に日本テレビは露骨で、続いてTBSとフジテレビも徐々に番組を減らしているようです。『SMAP×SMAP』(フジテレビ)は、3月で放送終了だとか」(某芸能事務所役員)

 ちょっとした芸能通ならご存じだろう。昨年の1月、ジャニーズ事務所の女帝・メリー喜多川副社長は、「週刊文春」(文藝春秋/1月29日号)に掲載されたインタビューで、飯島氏とジュリー氏の後継者争いの有無について、真っ向から否定。後継者はジュリー氏であると明言した上に、取材中に突然飯島氏を呼び出し、もしジュリー氏と対立するのであればSMAPを連れて会社を辞めるよう叱責するなどしていた。

「いくらメリー氏が否定しても、各局には、それぞれ派閥の担当が決められています。例えばテレビ朝日ならジュリー派をJ1、飯島派をJ2と呼ぶといふうにね。担当者は、各派閥に属するタレントの出演番組を受け持つことになります」(同)  

 こうした担当者は、ジャニーズ事務所の要望とあればすぐに飛んでいき、時には自分と関係ないことであっても呼び出しを喰らうこともある。例えば、ドラマのプロデューサーが、自局のバラエティ番組の件で、呼び出された……といった話は日常茶飯事のようだ。

「一例としてテレビ朝日では、15年3月末まで『関ジャニの仕分け∞』を放送していましたが、そもそも視聴率が振るわずいつ打ち切られてもおかしくない状態だった。そこでジュリー氏は、15年4月クールの『アイムホーム』で、テレ朝初主演となった木村拓哉の起用を指して、『なんで木村なんかを主演に使うのよ!』とバラエティ担当に激怒。関ジャニ∞の同局引き上げをちらつかせて、新番組『関ジャム 完全燃SHOW』を強引にねじ込んだそうです」(同)

 さて、テレビ局がジュリー派に傾き、俄然注目が集まっているのが、飯島氏の動向だ。独立自体は間違いないものの、その具体的な動きは、いまだ憶測が飛び交っている状況。かねてから、独立のうわさは流れていたが、昨年秋頃から頻繁にそうした話が飛び交うようになってきた。時を同じくして、「ちょうどその頃、飯島班のスタッフが、突如異動になって現場に来なくなりました。仕事ができる人が多かったので、てんやわんやです」(制作会社スタッフ)という話も聞かれ、事務所のほうにも動きが見られていた。

 その原因は、やはり昨年初頭のメリー氏のインタビューでプライドを傷つけられたこと。また、それ以降のテレビ局のジュリー派シフトにより、仕事がしづらくなったことにあるという。一部報道では、昨年末の紅白も飯島氏はキムタク、もしくはSMAPでの司会をNHKに打診し、そのためにほかの出演者の調整にも一役かっていた。ところが紅白は、長らく嵐が司会を務めており、ジュリー氏としても飯島氏にその流れを持っていかれるわけにはいかないと、阻止するべく動いたのだという。

 ただし、ある芸能記者は、こうしたうわさに否定的だ。

「正直、飯島さんがジャニーズから独立するメリットが見当たらないんですよね。もともと、事務所のみそっかすだったSMAPを芸能界のトップグループにまで成長させた功績は確かです。そうは言っても、やっぱり事務所の一社員、後継者としてジャニー喜多川氏の後釜に座るなんて、とんでもない話ですよ。飯島氏は、事務所のマネージメント室長や子会社である『Jドリーム』の取締役に就いていて、トップクラスの待遇を受けていますし、いくらテレビ業界に影響力があるからといって、独立なんてしたら仕事は一斉に来なくなるはずです。もちろん、ジャニーズ事務所に代わる強力な後ろ盾があれば別ですが、そんな苦労をしてまで事務所を出る理由が飯島さんにあるのかはやっぱり疑問ですね。

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年末年始の動向で、注目が集まる山P。しばらくは、舞台裏でも目が離せないキーマンになりそうだ。

 ただひとつには、もともとSMAPの一マネージャーだった飯島さんですが、ジャニーさんからその手腕をみ込まれてたくさんの“不良債権”を抱えさせられています。NEWSを脱退した山下智久や、Kis-My-Ft2など、現在テレビで活躍できているのは彼女の交渉術の賜物。とはいえ、飯島さんはすべての仕事を自分で抱えてしまうタイプです。SMAPの人気がジリ貧になりつつあり、事務所内部からも仕事に横やりが入る状況では、仕事が大変。今年の9月にSMAPが25周年を迎えるにあたって、もっと力を入れたいという思いはあるでしょうね」

 確かに、ジャニーズをやめたタレントは、テレビ局が事務所の意向に気を遣うあまり、芸能界でなかなか活躍の場が見いだせずにいる例は多い。郷ひろみや本木雅弘などは、バーニングやフロムファーストのような大手プロに移籍することで、現在もスターとして活躍できている。一方で、飯島氏は各テレビ局に強い影響力を持っており、下積みが長かったKis-My-Ft2をSMAPと抱き合わせでテレビに出演させ、人気を上げた。現場では、圧力をかけるばかりのジュリー氏よりも、細かい気配りができる飯島氏びいきのスタッフが多いという。それだけ影響力があるとすれば、逆に単独の独立だと、事務所からの横やりが入り一層テレビ局内で仕事がしづらくなることも考えられる。

「そこで飯島氏は、芸能界で強い影響力を持つ大手プロに移籍するという話が浮上しています。飯島さんは、ジャニーズとは敵対するバーニングプロとも良好な関係にあるほか、手を上げたのは、田辺エージェンシーとケイダッシュ、と言われています。紅白の一件で今後、テレビ業界はジュリー派が優勢になったと見られる。ジャニーズにいても、飯島氏は仕事がしづらくなる一方でしょうね」(前出・芸能事務所役員)

 こうした状況を受けて、ファンが気になるのは、SMAPをはじめとした飯島派ジャニタレの行方だ。これまで報じられてきたのは、飯島氏がSMAPを引き連れて独立するという話だが……。

「飯島派と言われる山下智久は、出ないとされていた昨年末の『ジャニーズカウントダウン2015-2016』(カウコン)にサプライズで出演し、続いて年始の事務所の初詣にも5年ぶりに顔を出しています。また、ABC-Z、SexyZoneに加え、一昨年のカウコンには出なかったキスマイとデビュー前だったジャニーズWESTも昨年末には出演。徐々にジュリー派に移っているのかもしれません。

 結局、出ていないのはSMAPだけですね。飯島氏とSMAPの絆は強く、独立ともなれば共に、という話でしたが、さすがにそこまで抱えきれるかどうか……。

 一部報道では、飯島さんは単独で独立したいが、SMAPとの深い絆があり、キムタク以外のメンバーは共に独立するとのこと。要は、キムタクはジャニーズ事務所の人質みたいなもんなんですよ。事務所としては、飯島氏とSMAPが全員で独立して、一緒に活動されたら困るので、キムタクだけ残して、コンサートの時だけ貸し出す……という方向で調整を進めていたようです。現在はSMAPの権利関係を中心に、事務所との協議が続いていて、2転3転しているようです。飯島さんが、権利ごと……と主張したら、事務所側はキムタクを盾にして権利の主張をするのではないでしょうか? どちらにしてもこれの結果次第では、二度と本人たちからは聞けない楽曲がたくさん出てくるでしょうね」

 さて、独立の時期だが一説によれば、飯島氏の独立は、ジャニーズのカレンダーが発売される3月か、SMAPが25周年目を迎える4月とされている(CDデビューは9月)。今月末にも事務所が記者会見を開くというが、果たしてどんな着地を見せるのか?

(黒崎さとし)

【1】“ジュリー派”寄りにシフト
各派閥のタレントは以下のように言われている。ジュリー派:嵐、関ジャニ∞、NEWS、TOKIO、KAT-TUN、Hey!Say!JUMP、V6。飯島派:SMAP、Kis-My-Ft2、山下智久、Sexy Zone、ABC-Z、ジャニーズWEST。ただしWESTはすでにジュリー派に移ったという話もある。なお、それ以外のグループやメンバーは、ジャニーさん派と言われている。

「まるで酒井法子みたい…」「白シャツがあざとい」ベッキーの不倫謝罪会見でCMスポンサー総スカン!?

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ベッキーの公式ブログより。

 今日7日発売の「週刊文春」で、不倫熱愛が報じられたタレントのベッキーとバンド「ゲスの極み乙女。」のボーカル・川谷絵音。週刊誌の発売に先だって、6日夜に所属事務所であるサンミュージックプロダクションでベッキーの謝罪会見が行われた。

「会見はベッキーの一方的な謝罪のみで、記者からの質疑応答はなし。さらに川谷とは『ただの友人関係』を強調していましたが、これには現場の記者たちも呆れ顔でした。LINEでの生々しいやりとりや、ツーショットの写真など、かなりの証拠が揃っていますから、さすがに『ただの友人関係』と言うには無理があった」(記者会見に参加した記者)

 さらに今回の会見には、ただの謝罪だけではない事務所側の思惑が透けて見えるという。

「ファンや関係者への謝罪を述べていましたが、本音はCMスポンサーに対してアピールをしたかったのだと思いますよ。現在ベッキーは10社ものスポンサーと契約していますが、彼女がこんなに起用されるのは女性からの人気が高かったから。女性消費者に支持されないタレントは、CMには起用されません。それなのに”不倫”という、女性から一番嫌われる、最悪のスキャンダルを起こしてしまった。これは絶対にCM契約にもひびくことになりますよ」(芸能事務所関係者)

 イメージダウンは避けられそうになく、今あるCM契約が今後どうなるかは、危ないところだ。一方で、週刊誌発売前にも関わらず迅速に記者会見をひらいたサンミュージックにも、「スキャンダル慣れ」した芸能事務所の手腕がうかがえるという。

神田正輝、三船美佳、Perfume・のっち…etc.スポーツ紙の元旦スクープで迷惑を被った芸能人たちの怒り

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『Perfume Portfolio(パフューム ポートフォリオ)』(ワニブックス)

 2016年のっけから、ワイドショーは芸能人の熱愛ニュースで盛り上がっている。日刊スポーツは元AKB48の川栄李奈と俳優の浅香航大の熱愛を、スポーツニッポンは綾野剛と佐久間由衣、芸人のマンボウやしろとPerfume のっち、さらに三船美佳と神田正輝の熱愛を元旦から報じ、各メディアも後追い報道を繰り広げた。しかし、このスポーツ紙の元旦スクープに関して懐疑的な声が聞こえてくる。マスコミ関係者の話。

「元旦スクープはスポーツ紙の恒例行事のようなものですが、今回はちょっとショボすぎる。ネームバリュー的にもいまいち物足りない面々だし、なにより、週刊誌と違って写真有りのスクープじゃないから、どれも信ぴょう性に欠ける。人からの又聞きだったり、ソースが曖昧だったりしますからね」

 熱愛報道で名前が挙がったどの芸能人も即座に報道を否定。特に三船美佳との交際を報じられた、神田正輝が所属する石原プロモーションは大激怒したという。

「神田は、高橋ジョージと離婚裁判中の三船のことを本当に心配していて、親身になって相談を受けていたといいます。離婚はまだ成立していませんから、今回の報道は”不倫疑惑”にあたるわけで、これによって裁判で三船が不利になったら、神田も責任を感じるでしょうね。まあ、もし本当に裁判で三船が不利な状態になったら、ありもしない交際報道を飛ばしたスポーツ紙のせいだと思いますが(苦笑)」(芸能事務所関係者)

 さらにPerfume・のっちとの交際を報じられた芸人のマンボウやしろも自身のラジオで交際を否定。熱愛報道によって怒ったPerfumeのファンたちの「PerfumeのCDを割る」「もうライブに行かない」などの発言に対して、いさめる一幕もあった。

「やしろいわく仲の良い友人のひとりということで、強く交際を否定していました。こちらもスポーツ紙の取材不足といえそうです。元旦スクープは『世間が注目するようなでかいネタを』と気合が入るあまり、飛ばし記事になりがちですからね。今回はその典型的な例でしょう」(前述のマスコミ関係者)

優勝は…羽生結弦!? 嵐、三代目JSB、AKB、和田アキ子、紅白歌合戦をレビュー

――女性向けメディアを中心に活躍するエッセイスト・高山真が、サイゾーの記事を斬る。男とは、女とは、そしてメディアとは? 超刺激的カルチャー論。今回は新年スペシャルバージョンでお送りします!

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NHK紅白歌合戦公式HPより。

 サイゾーはじめ、さまざまなメディアでオンエア前から話題になっていた紅白歌合戦。なんだかんだ言っても国民の4割ほどの人間が見ている番組です。「じゃあ実際のとこ、本番はどうだったのか」ということにふれないわけにはいきません。

 底意地の悪いゲイが、同じくらいに底意地の悪いゲイ友たちと一緒に紅白を見ると、どうなるか。それを出演順にたどってみましょう。

 先に断っておくと、私は非ジャニオタ。しかし、「だからこそ見えてくるものがある」と自らに言い聞かせ、あえてジャニーズメンバーを中心にレビューしてみたいと思います。

■Sexy Zone/歌唱曲『ニッポン Cha-Cha-Cha チャンピオン』
 Sexy Zoneの5人が3人体制になったとき、私は別のサイトで連載しているコラムで、「AKB方式(中日スポーツによる表現)だと、『アイドル』というものを切実に信じているファンの女の子たちは翻弄されるばかりじゃないかしら。ファンの子たちまでもてあそぶようなやり方に胸を痛めるわ」と書いた覚えがあります。今回の紅白では5人そろって、色違いの「平等感」あふれる衣装での出場。「ファンの子たち、よかったね」と、すっかり親戚のオバちゃん(ファンの子たちの親戚ね)の気持ちになって見ていました。

 が、戦慄したのは、次の出番だった伍代夏子の応援パフォーマンスに移ってから。ファンの皆さんはご存じなのでしょうが、中島健人、あれは大変な逸材です。ルックスだけの問題ではありません。決して有名な曲とは言えない伍代夏子の歌の、3回あったサビ部分、すべて微妙に歌詞が違うのに、完璧に口ずさみながら踊っていました。

 ちなみに、その後、藤あや子や細川たかしの応援パフォーマンスをしていたAKBやNMBグループの誰ひとり、他人の曲の歌詞まで覚える時間がなかったのか、こういうことはしていません。また、トップバッターだった郷ひろみの出番で、歌い出しから視聴者にもわかるようにハッキリと歌詞を口ずさんでいたのは、司会のイノッチ以外では松田聖子と木村拓哉だけです。

 80年代までの紅白では、「ほかの人の曲を一緒に口ずさむ」というのは一種の風物詩でしたが、いまそれをやれるのは、聖子や拓哉のような芸能界の怪物(褒め言葉です)だけ…。そう思っていた私ですが、「ジャニーズってのは、こんなに若いうちから『日本の芸能界の、ある種のお約束』を自然に身につける子がいるのか」と目を見張る思いです。

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『風と木の詩』『地球へ…』の竹宮惠子が商業誌引退宣言!? マンガ教育で見た業界の未来 

――2014年に紫綬褒章を受章したマンガ家、竹宮惠子。現在、京都精華大学の学長を務める少女マンガ界の巨匠は、マンガ教育を、業界の未来を、どうとらえているのだろうか? そして、タブーと戦ってきた彼女が選ぶ、ボーダーラインに踏み込んだマンガとは?

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(写真/西木義和)

 2014年11月、少女マンガ家としては、「花の24年組」【編註:昭和24年頃の生まれで、1970年代に少女マンガの革新を担った、竹宮惠子、萩尾望都、山岸凉子ら女性作家たちのこと】として共に切磋琢磨した萩尾望都に続く2人目の受章者として、紫綬褒章を得たマンガ家、竹宮惠子。“少年愛マンガの金字塔”とも評され、現在のBLマンガの原点ともいわれる『風と木の詩』【1】をはじめ、同じく少年愛とクラシック音楽を描いた『変奏曲』シリーズ【2】、自身最初のアニメ化作品であり、環境汚染から地球に住めなくなる未来を描いたSF作品『地球(テラ)へ…』【3】、製品マニュアルや会社紹介などの用途を持つ“実用マンガ”でもあるエルメス公式の社史マンガ『エルメスの道』【4】など、彼女の作品はマンガ業界に多大な影響を与えてきた。

 そんな竹宮氏が、京都精華大学芸術学部マンガ学科の教授に就任したのは00年4月。06年には、日本で初となるマンガ学部として認可され、08年にはその学部長に、そして14年にはついに、同大学の学長にまで上り詰めてしまった。

 新たな才能を育てる教職者となった竹宮氏に、マンガを通じた教育のこと、業界のこれから、そして自身の今後について話を聞いた──。

     *   *   *

──学長に就任されて、もうすぐ2年がたちますね。教授に就任されてからは実に15年。就任当初から心境の変化はありますか?

竹宮惠子(以下、竹宮) 最初は、教員みんなで合宿をしたりしながら、試行錯誤してカリキュラムを作ったり大変だったんですが、実は、就任して1年目の段階ですでに、「あ、そもそも私は先生をやることが好きだったんだな」と実感したんです。

──思想家の内田樹さんとの共著『竹と樹のマンガ文化論』(小学館)の中で、もともとマンガ家は「職人」であって、徒弟制度ならまだしも学校で教えることは無理だと思っていた、とおっしゃっていました。でも、もともとアシスタントさんを抱えて仕事をされていたわけですから、ある意味、ずっと「先生」ではあったわけですよね?

竹宮 マンガ家のアシスタントについては、技術は教えるんですけど、マンガを作り上げる方法を教えたりはしないんです。どちらかというと、その人の生活を保障してあげる、下支えをしてあげる、という関係性です。その中で下手に教えてしまうと、その人自身を育てることになるのか、自分の仕事を手伝ってもらう上での良いアシスタントを育てることになるのか、難しい。

──その点、学生たちは学費を支払って「教えてもらうこと」を前提として集まっているわけで、手取り足取りになるのですか?

竹宮 もちろん、4年間では短いですが、原稿用紙の使い方などの基礎的なことから、技術的なバックアップはします。対面で「なぜここをわかるように描けないのか」といった、細かい話もするんですよ。ただ、作品づくりにおけるその人の個性にかかわる部分に手を添えたり、自分の個性を出してアドバイスをするようなことは、学生にもしないように気をつけています。

──これまで、『うどんの女(ひと)』(祥伝社)のえすとえむさんや、『日々ロック』【5】の榎屋克優さんなど、卒業生から話題のマンガ家さんたちを輩出されてきましたが、最近では、中国や韓国、インドネシアなどからの留学生も増えているそうですね。

竹宮 中国からは、熱意のある方がたくさん来ています。ただ、中国ではそれが職業として成り立つほど、まだ市場が成熟していません。なので、「これからの人生を考えると、あくまで趣味として置いておくしかないのだけれど、うまく描けるようになりたいから教えてほしい」というようなケースが多いんです。彼らにとってマンガは自己実現の手段であり、存在意義を示すことなんだろうと思います。1作でも上手く描き上げられたら、次にいけるんじゃないか、という感覚があるんでしょうね。また、中国は表現規制も厳しいので、日本にいるうちにマンガの中で言いたいことを思いっきり表現して、母国に帰ったら、趣味の範囲でウェブなどにアップする、という留学生が多いですね。

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