「小学生誘拐事件」「不倫動画のショックで一家心中」……韓国を戦慄させた都市伝説
イメージ画像(Thinkstockより)
インターネット上に蔓延するとりとめもないホラ話は、時として真実のように受け入れられ、現実社会にまで影響を与える場合がある。韓国でも最近、そうした話が急速に拡散して、警察が動く騒動が相次いだ。
7月頃からSNSを中心に広がり、慶尚南道梁山(キョンサンナムド・ヤンサン)市に住む父兄たちに恐怖を与えているのが、同エリアで実際に起きたとされる「小学生誘拐事件」にまつわるウワサだ。
このウワサには「小学生にチョコパイを与えて……」「塾の先生を装って近づいて……」「嫌がる子どもを、無理やり車に連れ込んで……」など諸説あるのだが、特徴的なのは、どれもやけに具体的だということだ。こうした現実味のある内容から、ウワサは急速に広がった。
父兄の要請を受けた警察が捜査を開始すると、ウワサの真相はすぐに明らかとなった。実際は、ある小学生が大人にバイクに乗せてもらっただけの話で、それに尾ひれがついて拡散されたようだ。当然、この期間に誘拐された小学生もいなかった。
一方、全羅北道群山(チョルラプクト・クンサン )地方では、「群山怪談」なるものが広まった。
発端となったのは、大邱(テグ)地区。こちらでは、60代男性と40~50代とみられる女性の不倫動画が急速に拡散されていた。2分ほどの動画は、確認されているだけで6種類あり、男女の営みも赤裸々に映し出されている。
しかし、これだけでは終わらなかった。なんとネット上では、当該女性の家族が不倫動画の衝撃に耐えきれず一家心中したというウワサが流れ、「群山怪談」として、さらに急速に広まっていった。
しかし、動画の撮影場所も拡散した地域も大邱だったにもかかわらず、なぜ「群山怪談」となったのか? その理由は、6月22日に群山のある貯水池で女子高生の自殺事件が起きていて、ネット民が勝手に問題の動画と結び付けたのだ。
相次ぐ市民たちからの要請を受けて捜査を開始した警察は、自殺した女子高生と問題の動画に関連性はないと断定。続けて、動画を流布させた人物の特定に乗り出すことも明らかにしている。しかし、こうした事実をが明らかとなったにもかかわらず、「群山怪談」は今も悲しい物語としてネット上をさまよっている。
インターネット上のウワサ話は、急速に拡散しては立ち消えるが、それに踊らされないリテラシーを持ちたいものだ。