「親の献血で子どもの入試点数を加点!?」慢性的な血液不足に悩む中国でトンデモ奇策が続々
日本における街頭献血の様子(Wikipediaより)
近年、中国で血液不足が深刻化している。広東省、四川省など10以上の省では今年、血液の在庫量が危険水準に達し、複数の病院で手術ができない状態となった。経済発展によって普及した高度先進医療は、輸血や血液製剤の消費量を増加させたが、それらに見合う献血量が確保されていないためである。
世界保健機関によると、献血率(年間に人口の何%が献血に参加したかを示す数値)は、先進国で10~20%とされているのに対し、中国では1%ほどにとどまっている。
こうした事態には、「中国社会にはびこる他人への無関心の結果」と指摘する向きもあるが、中国で献血が根付かない理由はほかにもある。広東省ブロック紙の社会部記者は話す。
「かつて中国では売血が認められており、HIVや肝炎をはじめとする感染症が献血や輸血を通して拡大した。また、市民の献血で集められた血液が、地方政府の役人によって不正転売されていたという疑惑もたびたび持ち上がっている。国民の献血に対するマイナスイメージは根強い」
こうした中、必要な献血量を確保するため、各自治体はさまざまな政策を展開している。浙江省浦江県では7月、親の献血実績に応じ、子どもの中学入試の得点にゲタを履かせるという優遇策を打ち出した。親が8,000 ccを献血した場合、子どもの入試の得点に3点が、6,000ccなら2点、4,000ccなら1点が加算されるという。これに対し、ネット上では「売血と何も変わらない」との批判も出ている。
一方、陝西省宝鶏市では、軍人、大学生は年に一度、新人公務員は赴任前に、そのほかは自動車免許、結婚証書、大学入学許可書を受け取る際に献血を義務付ける条例を、10月から実施する。あの手この手で民衆に献血させようとする政府は、吸血鬼そのもの!?
(文=牧野源)