学問の神様の目の前で、きつねに化かされたみたいな『ごん太うどん』を喰う
唐突だけど、関東と関西では「きつねうどん」の文化がかなり違うの知ってる? 関東では四角い油揚げがのっかったうどんやそばを「きつねうどん」「きつねそば」と呼ぶけど、大阪では「きつね」というと「油揚げがのっかったうどん」のみを指す。
さらに京都にいくと、「きつね」は「短冊に切った油揚げと九条ネギの上にトロ味のついたあんをかけたうどん」だっていうんだから、知らずに注文すると「アレ?」となるのは、きつねに化かされたってことか……。
暑い日だったので冷たい白玉ぜんざいと一緒に。白玉やクリの大きさと比べるとうどんの太さがわかる。
しかし、同じうどんでもこのうどんは化かしようがない。きれいに透き通った出汁の海に、うねるように沈み込んでいるのは、ひと目でわかる、ごん太のうどん。そしてその特徴は……。
ホ~ラ見てごらん、こうなってるんだよ~。こんなに長いんだよ~、ホラホラホラァ!
男性の人差し指くらいの太さのうどんが、丼の中に一本、たゆたゆと浸っているだけ。他には具も何もない、出落ち感たっぷりの見た目どおりの一本素うどんなのだ。
蒸し暑い京都で熱いうどんの汁をズズッとすする。と、魚介のいい香りが鼻の奥からフワーッと通り抜けていく。そして主役の麺は、“うどん”という麺のカテゴリーからはかなり外れ、“すいとん”みたいにもっちりと歯ごたえのある食感だ。ズズッとすすりあげ「ノドで喰う」とはいかず、重量感ある麺を箸で口の中にたぐり寄せては、もさもさとアゴで喰う!
手前にあるすりおろし生姜を入れると、さっぱりとした風味が楽しめる。
どれくらい長いのかもういちど持ち上げ、これが限界かというところで丼の中をよく見ると、
「ア……? あれーっ!!」器の中ですでにちぎれて2本になってるじゃないか。これじゃ一本うどんじゃない! そうか、きつねに化かされたのか。と思ったら、茹で時間の関係から、現在は2本になっているらしい。ま、どっちにしても美味しいんだけどね。
ちなみに「たわらや」さんでは、うどんもそばも「きつね」はあるそうです。たいへん、うもうございました。
場所は北野天満宮の真向かいの路地を入ったところ。築400年の町家造りの建物で食べれば京都の香りも加わってさらに……。
京都北野 たわらや 『名物たわらやうどん』730円
意外性 ☆☆
味 ☆☆☆
店 ☆☆☆