戦争で失った家族の誇り……名画に隠された秘話とは!?『黄金のアデーレ 名画の帰還』
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今週取り上げる最新映画は、アカデミー賞女優ヘレン・ミレン主演の実話ドラマと、残酷ホラーの名手イーライ・ロスによる6年ぶりの監督作。華麗な絵画をめぐる物語を美しい映像で描く前者と、強烈な食人シーンと文明風刺が印象に残る後者、それぞれマニア以外にも支持される魅力に満ちた話題作だ。
『黄金のアデーレ 名画の帰還』(11月27日公開)は、クリムトの名画「黄金のアデーレ」をめぐり実際に起きた裁判を描くヒューマンドラマ。オーストリアのユダヤ名家に生まれ育つが、第2次大戦時にアメリカへ亡命し、今や82歳になったマリア。彼女は新米弁護士ランディとともに、かつて伯母アデーレをクリムトが描いた肖像画の返還をオーストリア政府に求める。その絵は、ユダヤ人迫害を強めていたナチスドイツに奪われたが、終戦後母国に寄贈されたことになっていた。膨大な資料を調べたマリアとランディは、わずかな可能性に望みをかけ、同国政府を相手取って裁判を起こす。