看護師に嫌われても【石原さとみ】のことは嫌いにならないでください!
最初からカワイイな、素敵だなとは思っていた。でも、ただそれだけ。ちょっと気になるクラスメイト、そんな感じ。でも、いつの頃からだろう、彼女の存在は、僕の心の大半を占めるようになっていた……。
なんだか売れないケータイ小説のような出だしになってしまったが、しかも勢いで一人称を普段使っている「私」から「僕」にしてしまったが、ともあれ、今回は石原さとみの話である。
ただ前述の通り、私が石原さとみを好きになったのはここ2~3年の話だ。
自慢じゃないが私には先見の明がない。よって、売れる前の原石に目をつけるということができないのだ。もともと知っていてもブレイクポイントあたりで急に好きになるという、押しも押されもせぬ一般人。ちなみにシャ乱Qは「シングルベッド」、THE虎舞竜は「ロード」をリリースしたあたりで「こいつら売れる」とうそぶいていたクチである。
そんな私の言うことだから、あてにならないかもしれないが、石原さとみの人気が今のような爆発的なものとなるきっかけは、2012年のドラマ『リッチマン、プアウーマン』あたりからではないだろうか? そして15年のドラマ『5→9~私に恋したお坊さん~』(共にフジテレビ系)でピークに。
ただ、『5→9~』以降あたりから、急にアンチの声も目立つようになってきた。
彼女が、トーク番組『しゃべくり007』(日テレ系)に出演した際、「30代にやりたいことは?」という質問に「看護師になりたい。もし(芸能界を)干されたらわからないから……」と答えたことで、現役の看護師や看護学生と思われる人たちが「看護師なめんな!」とネット上で大激怒。
まあ、そんな憤っている人たちの中にも、看護師を目指すきっかけになったのが『N'sあおい』(フジテレビ系)だったという人も少なからずいると思うのだが、どうだろう。それに、「なりたい」と言っている人に対して、そんな現実的な視点で目くじら立てなくてもいいじゃないかとも思うのだ。
そして、現在放送中の石原さとみ主演ドラマ『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』(日テレビ系)においても事件は起きた。現役校閲者たちから「設定が現実と乖離している。校閲なめんな!」と批判の声が上がったそうだ。
これに至っては、石原さとみのせいではないのだが、じゃあ現実に即しているという点において『あぶない刑事』(日テレビ系)はOKだったのか? という話である。
リアルか、リアルじゃないか。
そんなことを言いだすのは、真木蔵人かハードコア系のラッパーくらいかと思っていたが、最近は一般の人も気にするようである。
映画『シン・ゴジラ』においても日系アメリカ人役を演じた石原さとみの「英語がひどい」という批判が挙がっている。面白いのは、『5→9~』で英会話教室の講師役をやっていたときには、こんな批判は上がらなかった。そう考えると、にわかに起こった一連のアンチは、名実ともにトップになったがゆえの代償なのかもしれない。
ただ、いくら擁護派とはいえ、石原さとみの英語は本当にひどいのか、実際に確認する必要はある。
あるのだが、残念ながら私は、怪獣映画を観ることができないのだ。怖いから。
40歳の中年男が何を言っているのかとお思いになるだろう。私とて、本当にゴジラがいるとは思っていない。ただ、作品の中でリアルに存在するものとして描かれているゴジラが、丁寧に描かれれば描かれるほど、大画面に映し出された瞬間「本当に存在するもの」と錯覚してしまい、逃げ出したくなるのだ。これはガメラでも同じである。怖いの、ねえ怖いの!(『101回目のプロポーズ』の浅野温子のテンションで)
このように、受け手がリアルを求め、作り手がそれにこたえていくことによって作品の質は上がっていくが、一方で観られなくなる人も出てくるということを忘れないでほしい。
もちろんこれは、演者の方にも影響する。昨今のリアル至上主義を意識してのことだろうか、石原さとみ自身、『5→9~』で相手役として共演した山下智久との交際が10月20日発売の「女性セブン」にて報道された。
演技を超えて本当の恋愛に。ファンが求めたリアルの顛末がこれである。チキショー!
西国分寺哀(にしこくぶんじ・あい)
石原さとみが、NHK朝ドラのヒロインをやっていたことを最近知った40歳会社員。たとえDVD化ではなく、レーザーディスク化されていたとしても購入する所存。