羽田新ターミナルの全貌とは!? 空港の舞台裏を徹底取材した『空港をゆく2』
『空港をゆく2』イカロス出版
1月28日、“ミニスカCA”などで話題となった航空業界3位のスカイマークが民事再生法適用を申請し、事実上経営破たんとなった。JAL破たんに続き、何かと暗いムードが漂う航空業界だが、2010年、羽田空港にD滑走路が建設され、国際線ターミナルがオープンしてからは、近年落ち込んでいた空港利用者も増加傾向にあるという。
以前は世界から評判の悪かった日本の空港(主に成田)も、東京五輪を控え、大きく変わろうとしている。『空港をゆく2』(イカロス出版)は、空港の舞台裏に迫ったムックだ。空港を「支える」「動かす」「守る」という3つのテーマを徹底取材し、全4章100ページにわたり、空港がどのように運営されているかを紹介している。世界で4番目に高い羽田の新管制塔、夜の滑走路を照らす航空灯火、ラブリーな麻薬探知犬など、普段見られない裏方の仕事をのぞき見ることができるのは興味深い。「美しすぎる世界の空港」など多数のグラビアも添えられ、ビジュアル的にも楽しい一冊となっている。
くだんの東京空港(羽田空港)国際線旅客ターミナルとは、一体どのようなものなのだろうか。ゼロ年代初頭、航空需要の増加に伴い、羽田空港の再拡張が決定。着工から3年の月日を経て、2010年、4本目の“D滑走路”が完成し、待望の国際線旅客ターミナルがオープンした。
この国際線旅客ターミナルビルは、機能性だけに偏重した従来のものと大きく異なっている。我々がイメージするターミナルというと、成田のような、天井が高く、内部もやたらと広いがらんどうの空間を思い浮かべるが、羽田の新ターミナルビルは建物を大きくせず、各施設間の心地よいアクセス性を重視。外国からの旅行者をおもてなしするため、和をデザインした“空の庭園”や、ショッピング街“江戸小路”、日本のカルチャーやトレンドを楽しめる商業エリア“TOKYO POP TOWN”などを設け、高いレジャー性を実現しているだけでなく、プラネタリムまで観られるという充実っぷりだ。富士の裾野をイメージした大屋根も流麗でカッコイイ。14年9月には、日本初のトランジット(乗り継ぎ客用)ホテル「ロイヤルパークホテル ザ羽田」も開業するなど、首都の空港としてふさわしい多機能と高いクオリティを備えたターミナルだといえる。「ザ羽田!」名前もイカしてる。
成田・三里塚闘争に始まり、日航機墜落事故、赤字を垂れ流し続ける地方空港など、どことなくネガティブなイメージがつきまとっていた日本の空港・航空業界だが、この『空港をゆく2』を読むと、シビアな安全要求に応える裏方の努力や、過去の反省(主に成田)を生かして建設された新ターミナルの様子がよくわかる。鉄道や高速道路など、我々が利用するさまざまなインフラの裏側を描いたイカロスMOOK『○○をゆく』シリーズ。冬の寒い夜にいかがでしょうか。
(文=平野遼)