西野カナの新アルバム『with LOVE』がロングヒット ファン層拡大の背景とは?
【リアルサウンドより】
11月12日に西野カナがリリースした5thアルバム『with LOVE』が、発売初週に10万枚を売り上げる好調ぶりを見せている。これは彼女にとって通算4枚目となるオリコン首位作品となり、平成生まれのアーティストとしては最多の記録。同世代の中でも頭ひとつ抜きんでた人気を見せつけた。そんな本作が、発売から1ヵ月以上を経過した今もじわじわとセールスを伸ばしている。理由のひとつに挙げられるのがファン層の拡大だ。
そもそも西野カナといえば、CD売上に加えて、音楽サイトからのダウンロードや着うたで支持を広げたシンガー。そんな姿が“ケータイ世代のカリスマ”と評され、10代~20代前半の女性たちが主なファン層と見られてきた。しかし、昨今ではこれまでのファンたちに加え、20代以降の働く女性たちをも巻き込み始めている様子。すでに公開されている西野カナのアルバム特設サイト(http://www.nishinokana.com/withlove_talking/)では、漫画家の桜沢エリカや『日経ウーマン』の佐藤編集長ら、30代~40代の大人の女性に、アルバムについてのインタビューも行っている。中でも桜沢は、印象的な楽曲に『好き』を挙げ、50歳の友人もこの曲にハマっているというエピソードを披露し、「いくつになっても持っているときめく心を刺激してれくるのでは」とその魅力を語っている。一見、若者向けと思われがちな西野の楽曲。だがじっくり歌詞を見てみると、恋する気持ちに寄り添った言葉たちはどれもシンプルで、それゆえしっかり共感を呼ぶものであることがわかる。彼女の楽曲が世代を超えて浸透し始めている所以は、この「普遍性」にこそあるのではないかと思う。
そんな「普遍性」を持った歌詞に加えて、もうひとつロングヒットを支えているのが、8月にリリースされたシングル『Darling』の意外な反響だ。得意のバラード曲から一転、カントリー調の軽快なテンポのこの楽曲は、当初から西野の新境地と話題となっていた楽曲。そもそもこれまで、切ない失恋ソングのイメージが強かった彼女にとって、恋する喜びや幸せを描くこと自体がある意味で挑戦だったはず。それが、プロモーションとはまた違ったかたちで、多くのリスナーに支持をされたということは、大きな自信に繋がる出来事だったに違いない。
2008年に、弱冠19歳でデビューして以降、常にシーンの先頭を走って来た西野カナ。ヒット曲を連発し、数々の記録を打ち立ててきた彼女だが、その勝因が大げさな戦略やタイアップ頼みのプロモーションにあると思ったらそれは間違いだ。彼女が一貫して大切にしてきたのは、ただひとつ「等身大でいること」。たとえばそれは同年代の友人たちの体験談を綿密にリサーチした歌詞であったり、出身地でもある三重県の方言を交えた話し方であったりにも表れている。ファンと同じ目線に立ち、彼女たちの日常を代弁する存在でいることこそ、彼女がひたすら追い求めてきた理想形と言えよう。
本作『with LOVE』を制作するにあたり、西野は「みんなの日常生活に寄り添うような、心温まるアルバムにしたい」とコメントしている。誰かの憧れになりたいのではない、いつもそばにいる身近な存在でいたい。そんな想いが感じられる言葉だ。ファッションが変化しようが、年齢を重ねようが、変わらないのはそんな彼女のアーティストとしてのスタンス。新たなフェイズに突入し、着実にファンを増やしつつある西野カナは、幅広い世代をカバーする女性シンガーとして、今後ますます飛躍するに違いない。
(文=板橋不死子)
■リリース情報
『with LOVE』
発売:11月12日
【初回生産限定盤】CD+DVD
SECL-1609~1610 ¥3,600(税込)
【通常盤】CD
SECL-1611 ¥3,100(税込)
■『with LOVE』配信サイト
<iTunes>
https://itunes.apple.com/jp/album/id930412775?at=10lpgB&ct=4547557036411_wn
<レコチョク>
http://recochoku.jp/album/A1001265287/
<mora>
http://mora.jp/package/43000001/4547557036411/
■オフィシャルサイト
http://www.nishinokana.com/