警察が1日に2~3回出動する店舗も……韓国で「小学生入店お断り」のネカフェが増えるワケ
イメージ画像(足成より)
最近、「男性のみの入店禁止」をうたい文句にした歌舞伎町のイタリアンレストランが、SNSを中心に物議を醸す事態となった。この一件は、店側の謝罪と撤回によって鎮静化されたが、韓国では「入店お断り」を掲げるある場所に、一定以上の理解が示されている。
その場所とは、韓国の街中でよく目にするPC室(インターネット・カフェ)。入店禁止対象は小学生だ。もちろん「騒々しい」「子どもだけではトラブルに巻き込まれる可能性がある」という理由もあるが、一番の理由は最近、年齢制限のあるゲームをプレイしている子どもを警察に通報する、という遊びが利用客の間で大流行しているからだ。
事の発端は、あるインターネット掲示板の「小学生が18禁ゲームをプレイしていたから、警察に通報した」という書き込み。これを契機に、なぜか局所的なブームが起きている。
当然、通報を受けた警察は、出動せざるを得ない。この際に責任を負うのは、場所を提供したPC室だ。しかし、単なる娯楽施設にすぎないPC室側で厳格な年齢確認を行うのは難しい。年齢制限のあるゲームも、保護者のIDさえあれば、簡単にプレイできるからだ。その結果、罰金や営業停止処分を受けるPC室が増加しているというのだ。ある店舗では、たった1日の間に2~3回も警察が出動し、売り上げに甚大な被害を受けたという。この対策としてPC室が打ち出したのが、「小学生入店禁止」なのだ。
PC室側からすれば苦肉の策だったはずだが、この決定は多くの支持を集めている。あるPC室では、小・中学生の出入りを禁止して、専用駐車場や大型喫煙室を完備する“大人の空間”として売り出したところ、料金を1時間1,200ウォン(約120円)と、相場より25%以上高く設定しながらも、大好評を得る結果となった。
このように、さまざまなセールスポイントをアピールすることで、死中に活を求めようとするPC室だが、その展望は明るくない。実際、「2015年韓国ゲーム白書」によると、韓国PC室の総数は、全盛期だった2001年の2万3,548軒から、14年には1万3,146軒にまで減少したことも明かになった。
この件に関して、業界関係者たちは「無料Wi-Fiが使えるカフェと、オンラインゲーム市場の衰退」が原因と分析している。かつては“オンラインゲーム大国”と称された韓国の凋落がダイレクトに響いた結果となった。
韓国の街中から、PC室が消える日も近い?