高まる飼い主の需要と、「法律上、ペットは“モノ」”の壁……ペット医療の課題とは
<p> 約10年前、東京近郊で、高額な治療費を請求するため、健康だった犬の気管にビニール袋を詰めて死亡させた悪徳獣医師がテレビのワイドショーをにぎわした時期がありました。結局、その獣医師には2年間の業務停止処分が下りましたが、獣医師免許はそのままというオチがつき、現在は別の土地で新たな商売を行っているとか。当時、国家資格である獣医師免許の剥奪は前例がないとのことで、事件を起こしてもその職域は守られました。</p>
<p> 消費者センターに寄せられるペットに関する相談は、購入時の病気や決済に関するもの、サービス時の事故などが目立ちますが、医療ミスも少なくありません。さすがに冒頭のような、悪意のある医療行為の相談は見られなくなってきていますが、獣医師の力量(判決文によると:診療当時の、いわゆる臨床獣医学の実践における医療水準)不足によって回復させることができなかった、もしくは命を落としてしまった場合、獣医師としての責任を果たせなかったと判断されるようです。</p>