32年の現役生活に幕を下ろした“球界のレジェンド”山本昌を支えた2人の男
<p> 2015年9月30日、ひとりの男が現役引退を発表した。1983年にドラフト5位指名を受けてから32年、山本昌は、中日ドラゴンズでひたむきに野球に取り組んできた。通算219勝、最多勝に3回、沢村賞や最優秀投手などにも輝いた成績は、名実ともに球界を代表するもの。しかし、「レジェンド」と呼ばれた現役生活には、多くの困難があった。</p> <p> ドラフト5位で中日ドラゴンズに入団した山本の前には、その当初から挫折が待ち受けていた。プロになって初めての合同自主トレに参加すると、キャンプインの前のウォーミングアップメニューにもついていくことすらできない。全力を出しても先輩たちの走るスピードに置いていかれ、キャッチボールをすれば圧倒的なレベルの差に絶望させられる。「とんでもないところに来てしまった……」と、自主トレ初日からプロの世界に入ったことを後悔し、「奈落の底に突き落とされた」と振り返っている。<br /> </p>