90年代サバサバ脳を、コント仕立てでお届け! NHK有働由美子『ウドウロク』の正しい読み方
<p> 先日、昼間の再放送で『29歳のクリスマス』(フジテレビ系)を観た。山口智子、松下由樹、柳葉敏郎が恋に仕事に悩みながら、20代最後のクリスマスを迎える。最終回の視聴率は26%を超えた、90年代を代表する大人気ドラマだ。</p>
<p> 不器用で一生懸命、肝心なときにかわいくなれない元祖サバサバ女。山口智子は、現代に続く女の自意識問題というパンドラの箱を開けてしまったA級戦犯だな……と、『29歳のクリスマス』を観ながらぼんやり考えた。山口智子はその後、表舞台から姿を消し、「いつまでも変わらない美貌の女優」としてイメージの世界に生きている。しかし当時の山口智子に共感し、サバサバの道を選んだ女たちは、30代、40代になっても「いい女=男前」という呪縛から逃れられず、コントのような物言いをしながら21世紀をさまよう。山口より5歳下であるNHKアナウンサー有働由美子初のエッセイ『ウドウロク』には、そんな山口的サバサバ道を選んでしまった女の悲哀が、そこかしこにあふれている。</p>