餌を撒くだけで不倫希望男がみるみる寄ってくる!既婚者同士の合コン現場がアツかった
「100発100中、喰えるんスよ! マジでウテウテの入れ食い状態! 熱い! ヤバイ! 間違いない!」
昨年、知り合いの既婚男性Y氏(40代前半)が、テニサーのようなテンションで教えてくれたのが、“既婚者合コン”なる出会いの場を斡旋するサイト『X』でした。一応サイト名は伏せますが、別に怪しい雰囲気のサイトでも、知る人ぞ知る的なサイトでもなく、Google検索窓に「既婚者 合コン」と打ち込めばすぐに出てくる、明るく健全な雰囲気のサイトです。表面上、背徳的要素を醸して不倫を煽るようなことは一切していません。
不倫の出会い系といえば、数年前に既婚者向け出会いサイト『アシュレイ・マディソン』が大流行&登録者の個人情報流出で大混乱、ブームが下火になったことは記憶に新しいところです。海外からやって来た不倫推奨サイトが沈没した後、男性を中心にふつふつとその名を知らしめていたのが『X』でした。
システムは非常にシンプルで、月に数回開催される飲み会に申し込み、参加するだけ。当日は、男女各3人ずつが座るテーブルがいくつかがあり、30分ごとに男性陣が各テーブルを順繰りに回るというもの。お見合パーティーの“回転寿司”の、グループバージョンと想像していただけたらわかりやすいかと思います。
価格は男性約7000円、女性約3000円。開催日は平日や土曜の昼か夜、日曜の昼が多く、「30代から40代前半の日」や、「45歳以上の日」、「年上女性と年下男性の日」、「年収800万円以上の男性の日」といったように、年齢や趣味嗜好により選べるようになっています。
まず苦労するのが、「申し込むこと」だと、T氏は言います。男性参加枠の約15席を巡り、予約の時点から水面下での戦いが繰り広げられているというのです。
「人気がありすぎて、男性枠は申し込み開始と共に即満員になってしまうんですよ。いつ予約が開始されるかわからないから、毎日30分おきに『X』のサイトを見て、新規申し込みが開始していないかをチェックしていた時期もあります。ここで知り合ったIT系の技術者には、『申し込みが開始したら、自動で申し込みができるプログラムを作った』という猛者もいたほどです」(T氏)
それほどまでの人気の理由はほかでもない、冒頭にもある通り、「とにかくヤレる。魚影が厚い濃い」(T氏)の一点に尽きるといいます。昨今のお見合いパーティーなどの婚活市場では、男性不足が深刻化しているといった報道もありますが、逆転現象がここでは起こっているのです。いや、逆転ではありません、『X』をチェックしてみると、女性側も開催日の1週間前には埋まってしまいますから、男女ともに人気の高さがうかがえます。
「僕の印象では、子どもも手が離れ、純粋な飲み友達を探しにきた女性50%、夫の浮気の腹いせに自分もヤッてしまおうと企む女性40%、残り10%は、継続的な不倫パートナーを欲している女性です。既婚者同士だから、こういうところに参加している=ヤリ目と認識してOKなんで、話が早いんスよね」(Y氏)
ギラつき系40代のY氏はそう言いますが、本当にそうなんでしょうか。マジでみんな、そんなにヤリたがっているものなんでしょうか? そこで、既婚・1歳と3歳の2児持ち30代女性である筆者が真偽を確かめるべく、ある土曜の昼下がり、既婚者合コンに参加してみました。
それは確かに合コンだった
このサイトの合コンはすべて異なる年齢制限が設けられているのですが、私が参加したのは男女ともに30代半ばから40代半ばまでの会です。その日の人数は、男女計25人ほど。男女各3人ずつが1テーブルに割り振られていました。座る場所は『X』スタッフが采配します。見た感じ、男性はランダムのようで、女性は近い年齢ごとに同じテーブルになるようになっていたように思います。
私のテーブル平均年齢は30代半ば。北関東から「午前中、仕事の研修ために都内に来た」からついでにここにも参加したという、全盛期の堂真理子(テレビ朝日アナウンサー)を彷彿とさせる女性(小6の息子アリ)と、10歳年上の夫がいる、山田優にアバズレ感をプラスした雰囲気の女性。いや、ふたりとも、まごうことなき垢抜け美人です。びっくりしました。
ふと見渡してみると、年齢層が高めな女性はそれなりに(ああ、40代後半なんだろうな、とか)わかるのですが、でも総じて魚住りえっぽいというか、可愛いんですよ。うさんくさいサクラ臭もまったくなし。これはレベルが高い! もしいつも女性陣がこのレベルなら、Y氏があんなに興奮するのも頷けます。
一方、男性陣はというと、Y氏のようなギラギラ系ばかりかと思いきや、みな、超普通。外見は好みがあるので言及しませんが、人畜無害な平均的男性ばかりです。一見、“不倫”とは無縁に見えるんですけど。
そして、いざ1回転目、乾杯の合図と共に会話開始です。
「どこに住んでいるの?」
「仕事は何しているの?」
「休みの日は何してる?」
当たり障りのない会話を、みな、緊張の面持ちで進めますが、いまいち盛り上がりに欠けます。つまらないと感じたのか、「このあと、予定があって」と、山田さんはここで帰宅してしまいました。
そして2回転目へ。ここから徐々に、『X』ならではのプレイスタイルが垣間見えるようになりました。そう、ここはおみパのような個人戦ではなく、“合コン”の場。つまり、3人1組で回っている男性陣のチームプレイがいかに仕上がっているか否かが、テーブルが盛り上がる決め手だったのです。特に2組目はチームプレイの良さが顕著だったので、盛り上がりました。たとえば、こんな具合に。
「さっきのテーブルで、俺は岡田将生に似てるって言われてて、彼は堂本剛に似てるって言われてて。で、彼だけ何も言われなくて(笑)」
「おいおいー! 俺だけおっさんだからってひどいよなー(笑)」
「どっ」となる、一同。面白いか否かは別として、イジったりイジられたり、盛り上げようとする努力は好感が持てます。ここでついつい私ってば、「いやいや、鈴木浩介に似てますよー大丈夫ですよ」なんて言ったばかりに「え? 誰?」「え? 蒼井優にフラれた人? え? 誰?」となって、プレイを乱してしまったんですが。
それは置いておいて、岡田が堂さんに夢中になり、山田優は去ってしまったので、鈴木と剛は私と喋る羽目に。剛が「この『X』をどうやって知ったのか」と聞くので、こう答えました。
「すごいハマっている知人男性が、オススメだと教えてくれたんです。鈴木さんはどうやって知ったんですか?」
すると鈴木、眼球をせわしなく左右に動かし、グラスを持つ手をぷるぷるさせながら、
「けっけけけけけけっっけっけけけけけっけ検索でっっ!」
と回答。そんなに動揺するなんて、一体なんて検索したんでしょう。<人妻 即ハメ 出会い>とかかな? さらに剛には参加動機を聞いてみると、不敵に笑い、なにやら語り始めました。
「俺には2人の師匠がいる。そのひとりは、団鬼六なんだ」
おお、さすがは既婚者合コン、話が早いどころの騒ぎではありません。「SMがお好きなんですか?」と聞くと、「ちょ(笑)違うから!」と、まるで私がバカみたいな反応。
「そうじゃなくて、団さんの思想に共鳴しているんだ。師匠って言っても会ったことないんだけど(笑)。いわゆる、エフィカシー的な話」
……え? えふぃかしー?
「あとひとり、これはマジの師匠なんだけど、苫米地英人さん。彼が言う、自分の壁を取っ払うことを実践しに、ここに来たってわけ」
まさかの苫米地氏きたーーー! どうやら剛は、苫米地氏のセミナーの生徒のようです。まさかこんなところで、本サイトの運営会社・サイゾーのオーナーである苫米地氏の名前が出るとは思ってもみませんでした……。ひとしきり苫米地氏の話題で盛り上がったのち、3回転目。ここもチームプレイがよく、堂さんから「夫とは結婚する前から付き合い長いですからねー……」なんて発言を引き出すことに成功していました。
そして4回転目。酒が回って疲れたのか、それともコミュニケーション能力が低い男性ばかりが集まったのか、全く盛り上がらず。しかも私が、「今日は1歳と3歳の子どもを夫に預けて来た」と言うと、ワンボックスタイプの軽自動車に乗り、パズドラばっかやってそうなロバートの馬場裕之(料理が得意なメガネの人)といった風情の男が、こう言ったんです。
「え! 旦那さんに!? 大変じゃん。すごいことさせるね!?」
はあ? すごいことさせる? いや、おめえも子ども2人、奥さんに預けて、しかも仕事だって嘘こいてここに来てんだろが。つうか、なんで「夫が子どもを見る」=「大変なことをさせる」と文句言われなきゃなんねーの? と、小出愛氏の「イクメンとかいう言葉そのものが、妻にとっては邪魔でしかない」がよぎりつつ、反論。
「いやー普通に、私が見る日もあれば、夫が見る日もある、それだけですよ? 普通にやりませんかみなさん? しかも私はいつもやっていることですが、夫だけが大変なのですか? ねえ堂さん!」
優しい堂さんは「そうですよお! うちも夫はやりますよ」と味方についてくれました。その後、馬場と険悪になり、残り10分、会話なくデザートをもそもそと食べていると、終了の合図。ちなみにご飯はコースになっていて、美味しかったです。飲み放題ですしね。
2時間の飲み会が終了しましたが、ここからが、この“既婚者合コン”の本番だったのです。みな一斉に、まずは同じテーブルの人たちとLINE交換。それが終わると、男たちが他テーブルに移動し、続々とLINEを聞いてゆきます。堂さんには長蛇の列ができており、隣にいた私には、「堂さん並んでるし、その間にこいつのLINEも聞いておくか」くらいのテンションの男性数人から交換を要請されました。
なんだか、“不倫”なんて空気、全然感じなかったなー。みんな、やけにあっさりとしていて、ギラギラも、ガツガツもしていなかったなあ。そんなことを考えながら帰路についていると。前言撤回。なんと鈴木から、こんなLINEが来たのです。
<次に研修で都内に来るとき、教えてね。一緒にごはん食べよう。ナイフとフォークを使うお店がいいな>
堂さん宛のギラギラメッセージ、あんた送り先間違えているよ……。指摘してあげると、
<ごめんなさい。間違えましたm(_ _)m はるさんとは友達になりたいです!>
と、こっちがフラれたみたいな一線を引かれてしまいました。ぎゃふん!
さて、鈴木以外からも、数人からもLINEが続々。
<タイプだと思ったので、またゆっくり話せたらいいなと思いました>
<もっとゆっくり話ができれば良いな。今度ごはんでもどうですか?>
<近く会えるならお願いします。空いている日あったら教えてください☆>
なるほど、男性側は合コン中はギラギラせず、餌を蒔くときだけ勢いをつける。あとは釣り糸を垂らし、女性が食いつくのを待つだけ。虎視眈々と、水面が揺れる瞬間だけを、狙う。一方の女性側は、お腹が空いていなければ食べなくていいし、空いたときに餌をつんつんとするだけで、男性側がすぐ釣り上げてくれると思います。どちらも過度にエネルギーを使わなくて済むから、傷もつかない。それが、既婚者合コンの正しいスタイルなのかもしれません。まあ、その後に修羅場が待ち受けているかもしれませんが。
一番気になったのは、なぜ堂さんのような美人できちんとした女性が来たのか、ということ。堂さんは国家資格取得のため大学院に進学しました。となると、子どもの年齢的に、院卒と同時に結婚したのでしょう。「夫とは付き合いが長い」と言っていましたから、男性は夫しか知らない可能生もあります。あれだけ美人ですから、自分が美しい女だという自覚はあると思います。だけど夫はその価値を大切にしてくれず、行き場のない承認欲求が募り、ちやほやを求め、ここに来たのかもしれません。そんな、「週刊大衆」の名物連載漫画『感じる人妻』のような世界が、本当にあるんだあ。
どうか堂さんには、しょうもない男の釣り糸に引っかからないでほしい――そうおせっかいに願いますが、それって美人な女友達と一緒にナンパされるブスが断るときの発想じゃん……。既婚女性のみなさま、たまには既婚者合コンに参加して、自分のモテ力を再確認してみるのもいいかもしれませんよ。きっと、明日への糧になります。