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ユナイテッド航空:在米日本人の「もやもや感」~アジア人流血事件は人種差別か否か

日本でも繰り返し報じられている米国ユナイテッド航空のアジア人男性引き摺り下ろし事件。今回はこの件を通してアメリカに暮らすアジア人としての「差別」に関する体験や心情を書いてみたい。

All angles of Doctor dragged from United Airlines flight

◎事件の概要とタイムライン

4月9日(日)
イリノイ州のシカゴ・オヘア空港からケンタッキー州ルイヴィルに向うユナイテッド航空機内で「オーバーブッキング」により、4人の乗客がすでに搭乗済みの飛行機から降りて別便に振り替えるよう、ユナイテッド側から要請される。4人のうちのひとり、デイヴィッド・ダオ氏(69歳)が拒否し、最終的に3人の空港警察官により座席から無理矢理に引っ張り出され、そのまま通路を引き摺られていく。周辺の乗客が撮影したビデオを観ると、ダオ氏は大声で叫び、顔から流血していた。ビデオがネットにアップされ、ユナイテッドへの激しい非難が起こる。

4月10日(月)
ユナイテッドのCEOオスカー・ムニョスが事件の概要を記したEメールをユナイテッドの従業員に送付。その内容が公開され、スタッフ擁護であり、暴力行使や負傷したダオ氏への謝罪がないとして、さらなる批判が起こる。

4月11日(火)
前日のEメール批判を受け、ムニョスCEOが謝罪文を発表。文中、ダオ氏は氏名ではなく「強制的に排除された乗客」とのみ記される。

4月12日(水)
事件後に入院していたダオ氏が退院。

4月13日(木)
ダオ氏の弁護士と娘が記者会見。ダオ氏は引き摺り出された際に座席の肘掛けで頭部を打ち、脳震盪、鼻の骨折、前歯2本の欠損を起こしており、手術が必要であること、ユナイテッド航空を訴えることを発表。ユナイテッド側は11日の謝罪文に続き、さらなる謝罪声明を発表。文中でダオ氏は「ドクター・ダオ」と記されている(医師を含め博士号を持つ人物の敬称はMs./Miss/Mrs./Mr.ではなく、Dr.となる)。

◎人種差別?

 ショッキングなビデオが出回った後、ダオ氏がアジア系であったために「これは人種差別だ!」という声が多く聞かれた。「振替搭乗する乗客4人をコンピュータでランダムに選んだ結果、全員がアジア系だった」とユナイテッド側からの発表が報じられると、アメリカにおけるアジア系の人口比率は5.6%であることから「そんなはずはないだろう」と疑いの声が上がり、「人種差別」という批判はさらに高まった。

 SNSにはユナイテッド利用客による客室常務員への不満が多数書き込まれた。日本人を含むアジア系からは「アジア系の客には特に態度が酷い」の投稿があった。併せて「ユナイテッドには二度と乗らない」と宣言する声も多く見られた。CEOが最初の謝罪文を発表したのはこれが理由と思われる。2度目の謝罪は弁護士による記者会見および訴訟に備えてのものだろう。

 さらに、当初は乗客の急なキャンセルによる空席を防ぐためのオーバーブッキングと報じられたが、実はユナイテッドの乗務員4名を翌日の勤務のためにシカゴからルイヴィルに移動させる必要があってのことと分かり、これも批判された。

 「警察官はやり過ぎだが、協力しないタオ氏も悪い」という声も一部にはあった。件のフライトは日曜午後の便だったが振替便のフライトは月曜午後だった。そのためユナイテッドは、当日夜のホテル代とユナイテッドのみに使えるクーポン券400ドル分(1年間有効)で振替客を募ったが誰も名乗り出なかった。その後、クーポンを800ドルに増やしたが、やはり希望者は出なかった。そこでコンピュータ抽選で4人の乗客が選ばれ、そのうち3人は振替に同意したがダオ氏のみ拒否したため、最終的に警察官による強制排除となった。一連の騒動で便の出発は3時間遅れた。

 当初、ダオ氏は中国系と報じられたが、のちにベトナム出身と訂正された。ベトナム戦争によって1975年にボートでベトナムから米国に、同じく医師である妻と共に亡命。アメリカで5人の子をもうけ、うち4人が医師となっている。ダオ氏は引き摺り出される前に「私は医師だ。明日、仕事があるので飛行機から降りない」と言っており、「アジア系だと医者でもこの扱いか」という声もあった。

 当初はこのようにアジア系への差別であることが盛んに問われたが、やがて報道のポイントは暴力による強制排除の是非へと移った。アメリカは国土の広さから航空便の利用率が高く、オーバーブッキングも頻繁に起こる。現在は「今後、振替拒否者にどう対処するか」に関心が集まっている。

◎在米アジア人の「悶々」

 この件の数日前にはカリフォルニア州でAirBnBのアジア人拒絶事件があった。部屋をすでに予約済みだったアジア系アメリカ人の女性が現地到着寸前に部屋のオーナーから「アジア人である」ことを理由に部屋の貸し出しを拒否されていたのだ。こちらは女性とオーナーがやりとりしたテキスト・メッセージが残っており、アジア系への人種差別と断定され、オーナーはAirBnBから契約解除された。

Trump Supporter Cancels Asian Woman’s Airbnb Stay

 しかしユナイテッドの件がアジア系への差別行為であったか否かは誰にも証明できない。少なくとも筆者自身はビデオを観た瞬間に「アジア系以外なら、ここまではされないだろう」と思った。他の多くの在米アジア人も同様にそう思った。

 これはアメリカに住むアジア系としての体験からくる心情だ。アメリカ生まれのアジア系アメリカ人であろうが、アジア諸国から移民としてやってきた者であろうが、アメリカでは人種的マイノリティだ。かつ、出身国の違いも関係なく「アジア人」で十把一絡げにされる。極東内では複雑な関係にある日中韓もアメリカでは見分けられず、違いを主張すれば “whatever” (何であれ一緒だ)と言われてしまう。

 筆者はニューヨークというリベラルな多民族都市に暮していることもあり、直接的な差別――アジア人であるという理由で暴力を振るわれたり、アジア人を意味する蔑称を投げ付けられたり――といった経験はない。しかし日常生活の中で「もしかすると、今のは差別?」と思える体験には遭遇してしまう。そんなとき、人種差別と証明のしようはなく、「偶然の出来事かも……」と自分の中でうやむやに終らせざるを得ず、しかし、それは徐々に心の中に積もる。今では「私はこの国ではマイノリティなのだ」という断定がなされ、自身のアイデンティティの一部となっている。

 例えばドラッグストアやスーパーのレジ係が自分の前の客とは談笑していたのに自分には笑顔ひとつ見せない無愛想な態度であった場合。筆者は「私がアジア人だから?」と思ってしまう。同時に「いやいや、前の客とは顔見知りだったのかも」「そもそも、この人は基本的には無愛想な人なのかもしれないし」など、あれこれ考えを巡らせてしまう。レストランのウエイターがなかなか注文を取りにこない時も同様に「私たちがアジア人だから?」と思う一方、「忙しいだけかも……」と悶々とする。

 もう少し強烈な「もやもや」体験もある。以前、筆者がYMCAに勤めていた時のことだ。その日は誰も使っていなかったコンピュータ教室で一人で仕事をしていたところへ、他州からニューヨークの大学見学ツアーにやってきた高校生たちがオリエンテーションのためにドヤドヤと入ってきた。ツアーの担当者は筆者に「そのまま仕事を続けていいよ」と言った。

 高校生たちは席に着いたが、一人の白人の女子高生がつかつかと筆者に近づいた。筆者は空いていたイスを自分の真横に引き寄せて資料を積んでいたのだが、女子高生はまったくの無言で資料をイスから机に移し、イスを押して仲間のところへ戻った。彼女の分だけイスが足りなかったのだ。とっさのことで女子高生の行動の意味が分からず目を白黒させたのだが、後に考えついた可能性は3つ。女子高生が「アジア人を見下していた」「アジア系のいない地域に住んでおり、アジア人への対応が分からなかった」「アジア人が英語を話せるか分からなかった」。

 仮にアジア人に不慣れでも、もしくはこちらの英語に問題があったとしても、「イスを借りるね」とひとこと言えば済むことであり、女子高生には差別意識があったことを今なら断言できる。

◎アジア系へのステレオタイプ

 こうした差別行為は「アジア系は大人しい」「何をしても文句を言わない」というステレオタイプに基づいている。それは同時に「アジア系は犯罪を犯さない」という思い込みにも繋がる。以下はそれを物語る筆者の体験談だ。

 ある小さな店で買物をした際、筆者がまだレジ前にいるにもかかわらず、店員の女性がレジの中の大量の紙幣を取り出して数え始めた。カウンター越しに引ったくることが出来る距離だった。筆者がアジア系の女性でなければ(逆に言えば黒人男性であれば)、絶対に行わない行為だ。

 筆者が住むハーレムは黒人地区だが、タクシーの運転手は強盗を懸念して若い黒人男性客を避けたがる。代わりに筆者が歩道を歩いているだけで頻繁にクラクションを鳴らす。キャットコーリング(女性への冷やかし)ではなく、「タクシー強盗などやらない、安全な」アジア系女性に乗って欲しいのだ。

 他にもあるがこの辺で止めておこう。アメリカではそれぞれの人種にステレオタイプがあり、日常生活に反映される。

 念のため書き加えておくと、「人種差別の対象となっているマイノリティは差別を行わない」という理論は正しくない。差別意識は誰もが持つものであり、どのグループも差別意識を他のグループに対して抱く。例えば黒人は白人からの差別の対象ではあるが「アメリカ人」としてのアイデンティティを強く持ち、したがって移民であるヒスパニックやアジア系は下位に属すると考える者がいる。逆に社会的・経済的に成功した移民の中には「長年アメリカにいながら未だに成功できないのはなぜだ」と黒人を誹る者がいる。こうした差別意識とステレオタイプを防ぐのは子供の頃からの教育以外にないと筆者は考える。

 ちなみに事件当初はダオ氏をまったく擁護せず、謝罪もしなかったユナイテッドCEOのムニョスはメキシコからの移民夫婦のもと、9人兄弟のひとりとしてカリフォルニア州で生まれている。たとえ優秀であってもメキシコ移民の息子が航空会社のCEOに登り詰めるまでには相当な人種差別を体験しているはずだ。それでもムニョスは大企業CEOとしてマジョリティ側の視点で振る舞った。ムニョスCEOが今回の件を個人的にどう考えているかは不明だが、マイノリティも社会的立場が変われば行動も変わることの例である。

 ダオ氏を引き摺り出した3人の空港警察官は全員がラティーノもしくは黒人に見える。彼らは上からの指示に従って、単にダオ氏を「強制排除」しただけなのか。その際、ダオ氏がアジア系であったために「強制」の度合いが上がってしまったのか否か。イエスの場合、それは意識的だったのか、それとも無意識下だったのか。もしくは今回の件、人種差別の要素は全く無く、すべては偶然が悪いほうにのみ傾いてしまった結果だったのか。いずれにせよ、3人の警察官はすでに停職処分となっている。

 人種差別はかくも複雑、かつ根深い問題なのである。

(堂本かおる)

再現VTRみたい…アレンジがダサい、役者も演出もしょぼい!/『あなたのことはそれほど』第一話レビュー

『逃げるは恥だが役に立つ』『カルテット』と連続で話題作品を送り出してきたTBS火曜22時枠の今期連ドラは、『あなたのことはそれほど』です。はい、出ました不倫ドラマ。しかもダブル不倫。まあ確かにそこで描かれるのは二組の夫婦で、渡辺さんちの奥さんと有島さんちの旦那さんが何度もセックスするんで不倫なんですけど。コミックス1巻の表紙帯にも「底無しのW不倫」て惹句が躍るし。でもこの原作マンガは、読み返すたびにウッてなる恐ろしい作品(もう何もかもどうでもいいや~って虚無感に襲われます)で、ドロドロ不倫を面白がる系ではないんですけどね。

原作のウツポイント。愛されてないのに不倫相手を「運命の恋」だと信じる主人公には親友の忠告など一切響かない。その妻に実母の面影を重ね執着する男の愛し方がキモい。家庭に不満がないのにうっかり外でセックスしちゃう新米パパの油断と、不倫相手に大した恋愛感情はないうえ性欲や孤独感がセックスに直結してる感じもしない奇妙さ。冷静で思慮深く良き妻・良き母(というか良き人間)であるサレ妻の思考回路が全然読めない。地味に途中参戦する「ママ友」家庭は超鬱ですし。そんな読んでてツラくなる原作マンガが私は好きで、次巻が出るのをいつも楽しみにしているのですが、でも今回のドラマ化に期待は持てませんでした。

駅などに貼ってあるポスタービジュアル(メインキャラ4人と赤いリボンのデザイン)がまずダサい! いかにもコッテコテの不倫ドラマに仕上げる気満々なことが見る前から伝わります。配役もどういう都合なのか知りませんが明らかにミスマッチ。波瑠さんは陰キャなルックスの「不倫される妻」役の方が明らかに似合っているし、仲里依紗さんはヒロインの友人くらいのポジション(大政絢か黒川智花とチェンジ)が良いのでは? 無邪気で自己中心的でそこそこ可愛くてワガママなヒロインには、他に適役と言えるアラサーの女優さんがたくさんいると思うんですが(ex.石原さとみ、長澤まさみ、真木よう子etc)。ヒロインが夢中になるイケメン役に劇団EXILEの鈴木伸之というのも、あまりにも「いくえみ男子」をナメてるような……。

第一話の冒頭で確信しました。このドラマは「ダブル不倫とキモい夫」という素材を提供してもらっただけなんだと思います。ドラマはあくまでもドラマ作品、詳細を説明しなくても巧みなモノローグや会話や登場人物の視線で読者を揺さぶる原作のようには作らないと決めているに違いない。原作冒頭は初恋の男と再会した主人公が浮かれセックスでとばしまくるのですが、ドラマ第一話では時系列に沿ってヒロインが夫と出会い結婚するまでが長々と描かれました。これがまあ、ありきたりなエピソードの連発でとにかくつまらなかったのです……!!!!!

◎初恋相手との不倫セックスは「どうしようもなく幸せ!」

主な登場人物は、4人。波瑠が演じる主人公の渡辺美都(みつ)は、眼科クリニックで医療事務として働く20代後半の女性。彼女に一目惚れした朴訥で誠実なサラリーマン渡辺涼太(東出昌大)は、誰もが認める「いいひと」ですが、美都は涼太にときめきを覚えません。膣キュンしないわけですね。それでも優良物件なので妥協して交際し、占い師の「二番目に好きな相手と結婚すればうまくいく」という言葉を決め手に結婚。二番目どころか、好き度超低そうなんですけどね。夫のことをカースト下位の人間として見下している感じがするほどね。元カレに抜かされて十番目くらいだろ。

もう一組の夫婦は、美都の小中学校の同級生で初恋の相手である有島光軌(鈴木伸之)と有島麗華(仲里依紗)。光軌は中学時代から顔がカッコ良くて運動神経も良くモテるタイプ、高校からはそれを自覚したのかチャラくなり大学でもモテているというモテエリート。ただのサラリーマンですが。妻の麗華とは高校の同級生で、名前負けの地味顔で根暗な印象を与えがちな彼女に惹かれるものがあり交際、結婚。現在、妻は妊娠中という状況です。

第一話は、美都が友人の香子(大政絢)と一緒に友人の結婚披露宴と二次会に参加して「運命の人と結婚したーい」と嘯くところから始まり、「いいひと」涼太に好かれて付き合ってときめかないけど結婚して、そんなある夜に有島くんと偶然再会しハンバーガーショップ→バー→ラブホテルという急展開に美都が運命を感じて「どうしようもなく幸せ!」と膣キュンしまくるところでおしまい。そりゃ幸せですよね~。が、時系列で説明していく流れが退屈。また、ところどころに美都の中学時代の回想が入るのですが、これが失礼ながらバラエティ番組の再現VTRかな? っていうほどダサい出来栄えで衝撃を受けました。

しかもドラマ化で省かれた重要なシーンがあります。中学時代の初セックスです。美都は小6のときに転校してきた有島くんに一目惚れし、中学でもどんどん一方的な「好き」を募らせ目で追っていました(原作では有島くんがそれを気持ち悪がる描写があります)。ある晩、家に母親が男を連れ込んでいるため、公園で時間をつぶしていた美都と偶然会った有島くんはちょっと会話をし、さらに美都は(母と男が外出したのを見計らって)有島くんを自室に招き入れて……原作ではセックスするんですね。美都は一方的な恋愛感情で、有島くんは思春期の性的好奇心で。でもドラマでは、ヤろうとした有島くんを美都が思わず拒み、二人は何もヤらずじまいでした。キスシーンすらない。大好きな初恋の彼が、付き合ってはいないけど初セックスの相手である、ということが、美都が「有島くんとの運命」を信仰する大きな要因となってるのにもかかわらず、です。そりゃ中学生が「ヤリました」とわかるような描写を、地上波放送の連ドラに入れられないかもしれませんが、完全に省いたら二人の微妙な関係性がさっぱりわからなくなります。ただのクラスメイトじゃないですか、これ。

◎山崎育三郎が背負う期待

再現VTRもショックでしたが、仲里依紗が演じる本妻・麗華のキャラクターがもしかしたら原作と全然違って凡庸なフツーの女性なのかも……というところもショックでした。原作では、あからさまな不幸顔で描かれ、家庭の事情が複雑で高校生ながら家事を一通りこなし妹の面倒を見、アルバイトで生活費を稼ぎ貧乏家計を助けるアダルトチルドレン的な麗華。高校卒業後は役場に公務員として勤務する堅実なしっかり者(2巻の登場人物紹介では「結婚して専業主婦」となっていたが3巻の同欄でその記述がなくなり、4巻では「育児休暇中」にステータス変更されていた)。受動的に見えるルックスなのにしっかり者で主体的、クールで達観していて、モテるであろう夫を独占欲で縛りつけようともせず、しかし勘が鋭い女性です。有島くんは彼女にベタ惚れです。傍からは、「明るく爽やかなイケメンの夫と陰気で不美人な妻」の意外なカップルとして認識されている夫婦です。

しかし、登場時間は短かったものの、ドラマの麗華は思慮深さとか落ち着きとか陰気な第一印象とか、そういうものが一切なかったように思います。たとえば最初の登場シーンで、「焼肉? 誕生日はホテルで奮発って言ってたじゃない」と夫に不満を漏らすところ。“焼肉”はこの夫婦の重要なキーワードでして、高校時代に麗華がバイトしていた焼肉屋を有島はよく訪れていたんです。だから「また焼肉?」という意味……かもしれないのですが、麗華はそんなキャラクターだったかしら、と。もうひとつは、吉祥寺駅前で夫婦が待ち合わせをしていて、お互いを見つけ笑顔で大きく手を振りあうところ。付き合いたてのカップルか? まあ、原作とドラマは別物なのですから、キャラ設定も変更されている可能性はありますが、あの“デキた妻”は作品において非常に大切な存在のはず。フツーの妻で、説得力でるんでしょうか。

ところでいつも「棒」と揶揄されている東出昌大さんの演技が今回の役は「合ってる」「気持ち悪くていい」と好評ですが、確かに何を考えているのかサッパリわからない、闇を抱えた気持ち悪い人間の役は、抑揚のないしゃべりと無表情にマッチ。妻のスマホを盗み見たり、妻への執着が強すぎるところなどが「第二の冬彦さん!」と期待されているようですので、ドラマ制作側もそうした方向で話題になることを狙って作っているのかもしれませんね。そういえば「既婚者たちの恋愛が始まる!?」と煽る次回予告で、美都と有島くんが一泊二日不倫旅で泊まる温泉旅館が、『奪い愛、冬』で使われた熱海の旅館と同じでした。海の見えるヒノキの貸切露天風呂。なんかしょぼいです。

原作厨がうるさくてごめんなさいね。原作は「既婚者たちの恋愛」を描いてるわけじゃないというか、美都と有島くんの間に「恋愛」があるようには見えないんです。美都はガチ惚れだけど有島くんにとって彼女はちょっと可愛いだけのどうでもいい女。お互いを激しく求め合うような不倫じゃないところが現実的で素敵です。美都はイケメンに求愛されないし、イケメン2人に取り合われたりしないし、とりあえず浮かれてセックスするし、ありがちな純粋系ヒロインではありません。そのいかにも「バカ」な女としての描かれ方は、絶賛不倫中だった日本全国の女性読者の目を開かせる威力があるんじゃないでしょうか。つまりいくらでも面白く料理できる素材なのに、なんでこのアレンジなんでしょう?

「ダブル不倫」という題材だけをもらって、原作の乾いた雰囲気は全くない『あなたのことはそれほど』。第二話を見るのが憂鬱になるくらい、魅力を感じなかった初回75分(長っ!)でしたが、その中で一番「おっ!」と思ったのは、涼太の同僚で親友のポジションとして、山崎育三郎が出演していることでした。気鋭のインテリアデザイナーの役で、講演会とかに出ちゃう人気者。スタイリングも含めて、前の月9(『突然ですが、明日結婚します』)と同じ役で出てるのかと思うほど、そのまんまソックリな役でした! しかもその役、原作には登場しないドラマオリジナルですからね。陳腐で無難に進行しそうな不倫ドラマを引っ掻き回すキーパーソンになってくれたらめちゃくちゃうれしい!!!! 育三郎に期待!

(ドラマ班:下戸)

<そのほかのドラマレビューはこちら>

▼母になる

▼人は見た目が100パーセント

▼ボク、運命の人です。

「嵐ファンの苦情総数は千件以上」日テレ関係者が語る、伊藤綾子『news every.』降板劇の真相

 3月末に、レギュラー出演していた『news every.』(日本テレビ系)を降板したフリーアナウンサー・伊藤綾子。伊藤といえば、昨年7月発売の「女性セブン」(小学館)に、嵐・二宮和也との熱愛をスクープされ、“厳戒態勢”で愛を育んでいると報じられたが、それ以上に波紋を呼んだのが、“交際匂わせブログ”だった。

「記事がネットに広まるや否や、伊藤が自身のブログに、嵐のCDの一部が写りこんだ写真や、二宮が出演した映画の原作本、CM出演中の商品などの写真を大量に投稿していたことが発覚し、嵐ファンの間で物議を醸しました。炎上の原因は、交際自体より、この“交際匂わせブログ”だったといえます」(芸能ライター)

 嵐では、リーダーの大野智が、2015年に元タレントとの交際を報じられた際、一部マスコミの前で「もう会うことも一切ありません」と謝罪したが、二宮は報道について一切コメントをせず、一方の伊藤もまた、謝罪や説明はしていない。

「記事が出た当初、日テレ上層部とジャニーズ幹部で話し合いが行われたと聞いていますが、伊藤の『news every.』出演続投や降板について、ジャニーズサイドから一切注文はなかったとのこと。また局内でも、その時点では『降板させなくてもよいのでは』との意見があったといいます」(日テレ関係者)

 にもかかわらず、今回伊藤が降板したのは、「視聴者からのクレーム電話が後を絶たなかったから」(同)だという。

「局としては、二宮と伊藤の関係性を『自由恋愛の範疇』と捉えていたようですが、一部の嵐ファンから、『伊藤が出ている限り番組は見ない』『スポンサーに苦情を入れました』といった電話が、報道から3月末まで、ずっと入り続けていたそう。クレーム総数は千件を優に超え、結局は降板させることになったといいます」(同)

 こうして、7年にわたって出演し続けてきた『news every.』を去ることとなった伊藤。今後もしばらくは、二宮ファンの目に触れない場所でしか、アナウンサーとして活動することはできないのだろうか。

月9『貴族探偵』の凄まじい気迫を感じた初回、問題は相葉雅紀の「棒プレイボーイぶり」だけ

 慢性的な一桁視聴率に苦悩するフジテレビ月9ドラマチームが、起死回生の一打として放つ『貴族探偵』。4月17日の初回放送、平均視聴率は11.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で、関係者はほっと胸を撫で下ろしたことだろう。突出して高い数字ではないが、爆死枠と呼ばれるようになって久しい月9枠の最近の視聴率は一桁台どころか6~8%をウロウロする状態で、前クールの『突然ですが、明日結婚します』は5.0%という歴代最低視聴率を記録。そんな前作と比べれば、非常に良い結果だといえる。貴族という非現実的な存在を浮き上がらせるセットの装飾には強いこだわりと意気込みを感じ、スタッフの気迫は十分伝わる。

 主人公は嵐・相葉雅紀が据えられているが、相葉が画面に登場したのは第一話の開始から10分以上が経過した頃だった。実質、物語の中心で語り部となるのは武井咲が演じる探偵だ。彼女の師匠の名探偵・井川遥(の亡霊……おそらく故人)や、権力にだけ従順なバカ刑事・生瀬勝久がレギュラー出演者であるほか、貴族である相葉の召使役に滝藤賢一(運転手。武道の達人でもある)、松重豊(執事)、中山美穂(メイド)が配されている。

 毎回どこかで事件が起き、武井(庶民探偵)と相葉(貴族探偵)が推理対決をする。といっても、相葉は自分で推理をしない、3人の召使たちが謎解きをする仕組みなのだが。事件解決モノ、探偵役が超富裕層、ファンタジックな設定が『富豪刑事』(テレビ朝日系)、『IQ246』(TBS系)、『謎解きはディナーの後で』(フジテレビ系)など様々な過去作を想起させると話題であるが、生瀬のコミカルなバカ刑事ぶりは『トリック』(テレビ朝日系)も彷彿とさせる。

 第一話のゲストは木南晴夏、内田朝陽、平山あやなどホリプロ勢で揃えていた。木南と武井といえば、ドロドロ不倫愛をコメディに昇華させた『せいせいするほど愛してる』(TBS系)にて、滝沢秀明の正妻と不倫相手を演じ大いに争ったことも記憶に新しいが、今回は友人関係。木南演じる大富豪のお嬢様の邸宅で殺人事件が起き、貴族探偵が登場して犯人を捜すというわかりやすいストーリーだった。テンポも良く、小ネタがいくつも挟まれて笑いを生む。相葉が主役ではあるものの、出ずっぱりではないため、相葉ファン以外の層も苦ではないだろう。これが、全面的に相葉推しのつくりであったら、視聴率の急降下は免れないところだったかもしれない。なにしろ、本作最大の問題は、相葉の演技だからだ。

 もともと演技力の評価が高い役者ではない相葉だが、今回は予告編の段階から恐ろしいほどの棒演技だとファンからさえ心配の声が漏れていた。懸念通り、滑舌の悪さからセリフが聞き取りづらく(たとえば「不可解な事件」というセリフ)、表情や立ち振る舞いが気品を感じさせるわけでもない。しかし見終えてみれば、このドラマだからアリなのだ、と納得させられた。今回は自然な演技をする必要がなく、無表情でも棒台詞でも問題ない。なぜなら浮世離れした貴族というキャラクターだからだ。プレイボーイらしく「美女とのアバンチュール」を愛し女性に優しい貴族探偵だが、等身大の大人の男性ではない年齢不詳のお坊ちゃんであるため、相葉の少年らしくもありおじさんらしくもある存在感に合っているのかもしれない。そしてメイド役の中山美穂もまた見事な棒演技で相殺してくれている。一話完結形式であり、「続きが気になる」仕様ではないため第二話の視聴率がどう出るかは予想しづらいが、大きく数字を下げることはないのではないか。

(犬咲マコト)

櫻井・亀梨・小山、『24時間テレビ』起用は「ジャニーズのゴリ押し」!? 日テレ関係者暴露

 4月15日、今年の『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ系)メインパーソナリティーが発表され、嵐・櫻井翔、KAT‐TUN・亀梨和也、NEWS・小山慶一郎が、グループの垣根を超えて共演することがわかった。一部ジャニーズファンの間では、熱愛スキャンダルに揺れる小山の起用に「なぜ?」と批判が巻き起こっているが、日テレ関係者が、メインパーソナリティー決定の舞台裏を明かしてくれた。

 昨年は、NEWSが7年ぶり、現体制である4人組になってからは初のメインパーソナリティーを務めた。今年も起用された小山は、2年連続で大役を担うこととなったが……。

「今年3月、小山は、放課後プリンセス候補生・太田希望の交際疑惑が浮上し、ファンの間で物議を醸しました。太田のSNSから、交際を匂わせるような画像が発掘されたり、ツーショット写真まで流出してしまい、小山への批判が噴出したんです。当初ジャニーズ事務所は、この事態を把握さえしていなかったようですが、4月4日発売の『週刊女性』(主婦と生活社)がこの件を記事にしたことで、ようやく炎上が発生していることに気付いたといいます」(週刊誌記者)

 そんな中、『24時間テレビ』のメインパーソナリティーに連続登板することが決定した小山。

 日テレ関係者は、「昨年、小山は日テレに“多大な貢献”をしたことから、スキャンダルの有無にかかわらず、大役を任せられるのはごく自然な流れだった」と語る。

「昨年、『24時間テレビ』放送の4日前、同番組内のスペシャルドラマ『盲目のヨシノリ先生~光を失って心が見えた~』に出演予定だった高畑裕太が、強姦致傷容疑で逮捕されるという前代未聞のトラブルが発生しました。高畑は、ドラマ出演だけでなく、番組パーソナリティーも務める予定だったため、番組の販促物は総取っ替えとなり、予定されていたコーナーも消滅するなど、制作サイドは阿鼻叫喚に。そんな中、急きょドラマでの高畑の代役に小山が抜てきされ務め上げました。」(前出・日テレ関係者)

 同ドラマの主演は、同じくメインパーソナリティーを務めた加藤シゲアキで、すでに撮影は終わっていたものの、土壇場で高畑出演シーンの撮り直しが行われた。

「『24時間テレビ』は日テレを代表する看板番組で、放送に貢献した出演タレントは、向こう1年ほどは、日テレ側から“手厚く扱われる”ことになっています。小山が今年再び抜てきされたのは、『昨年のトラブル解決に尽力してくれた』という事情があるからなんです。ただ、当初日テレ側には、『嵐または現在活動休止中のKAT‐TUNなどを今年のメインにしたい』といったプランもあり、『ジャニーズキャスター揃い踏み』プランは、むしろジャニーズサイドのゴリ押しだったといえます」(同)

 果たして3人の共演により、日テレ側は恩恵を受けることができるのだろうか。

色褪せない! アラサーにとって懐かしのレジェンドAV女優たち

人は17歳の時に聞いた曲を一生聴き続けると言います。17歳近辺を振り返ってみると、音楽だけではなく、ありとあらゆる価値観の土台がこの時期に固まりつつあったような気がします。

多感な時期のことをいろいろと思い出していたら、昔、観ていた懐かしいAVを見返してみたくなりました。音楽と一緒で、多感な時期に観ていたAVは今も覚えているんです。そこで今回は、現アラサー・アラレが思春期時代に活躍した懐かしいAV女優をご紹介したいと思います。

◎デビュー作から凄かった! 女優やタレント業でも活躍中の蒼井そら

まずは、AV女優だけではなく、タレントとしても幅広く活躍している蒼井そら。バラエティ番組やテレビドラマなどにも出演し、AV女優と知らずにファンになっている人も多いようです。他のAV女優に比べると、知名度は飛びぬけており、中国、韓国、タイで実施した国際世論調査「知っている日本人の名前」では、中国で3位、タイで2位にランクインしています。

蒼井そらの魅力は、ロリフェイスなのにGカップ巨乳という、可愛らしさとエロさを兼ね備えた容姿と、高い演技力にあると言えます。セックスに対しても自由奔放で、デビュー作で、すでに撮影を楽しんでいるような余裕を感じ取ることができました。改めてデビュー時のAVを見ると、大物女優の片鱗を随所で垣間見せていたことがわかります。

もともと、演技がうまいAV女優でしたが、タレント活動を経て、さらに磨きがかかっていきます。ドラマ仕立ての作品の場合、AV女優の大根役者っぷりが気になってしまって、ストーリーに感情移入できなくなることがあるのですが、蒼井そらが演じるとスムーズにストーリーに入っていけるんです。

2011年以降、新作は発売されておりませんが、引退したわけではないので、発表される日を心待ちにしています。

◎松浦亜弥に激似!? アイドル並に可愛い紋舞らん

次にご紹介するのは、当時のトップアイドル・松浦亜弥に似ていると言われていた紋舞らんです。今回、この記事を書くにあたり、10数年ぶりに思い出したAV女優です。「モンブラン」というインパクトの強い名前を見た瞬間にいろいろなことを一気に思い出して懐かしい気持ちになりました。

近年では、アイドルがAV女優になることもあれば、その逆もしかり。外見的な美貌もアイドルとAV女優に大差ありませんし、最近はアイドルに似ているAV女優も多く存在しています。しかし、我々アラサーの青春時代は今と少し違いました。アイドルはアイドルだったし、AV女優はAV女優だったんです。

そんな中、彗星の如く現れたのが紋舞らん。当時、人気絶頂だったあやや似のAV女優だなんて人気が出ないわけがありません。本家を意識したコスプレを披露する「あややコス」というAVが5作品発売されていることからも、当時のあややと紋舞らんの人気が伺えます。

プレイ内容は結構ハードなものが多い印象でした。「あんなに可愛いアイドルフェイスの子がこんなことまでやるの!?」というギャップが人気の秘訣だったのかもしれませね。

◎活動期間はわずか10ヵ月なのに伝説になった白石ひより

最後は、アラレが「好きなAV女優は?」と聞かれたら必ず名前を挙げる、白石ひよりです。2002年11月にデビュー作が発売され、2003年9月には引退しているので、AV女優として活動していたのはわずか10カ月間だったようです。たった10カ月の活動にも関わらず、アラレを含め、いまだ多くのファンを惹きつけてやまない白石ひより。大人気だった2003年に引退してしまったため「伝説」と呼ばれるAV女優のひとりになりました。人気を裏付けるように、引退後も再編集されたDVDが次々と発売されています。

アラレが白石ひよりを好きな理由……それは、何年経っても初めて白石ひよりのAVを見た時の興奮が忘れられないからでしょう。白石ひよりのAVを観る前に、ほんの少しだけ観たAVに出演していた女優と男優は、当時まだ10代だったアラレからすると、おじさんとおばさん(失礼)で、親のセックスを観てしまったかのような気持ち悪さがありました。そこまでは言い過ぎかもしれないですけど、あまりキレイなものでもなく、嫌悪感だけしか残らなったのです。

しかし、白石ひよりはアラレと同世代です。先にご紹介した蒼井そらや紋舞らんも同世代ではありますが、AVを観た順番で言えば白石ひよりのAVが一番先です。自分と年齢が近く、素朴な美少女の淫らな姿を初めて見た時の衝撃はすさまじいものがありました。白く華奢な腰を騎乗位で、ぎこちなくも一生懸命動かしている姿が今でも鮮明に目に浮かびます。

白石ひよりについては、アラレの個人的な思い出フィルターでさらに美化されて好きな節はありますが……美巨乳だし、喋り方も感じ方も可愛いし、これから初めて白石ひよりの作品を見るという方もきっと気に入ると思います! 伝説のAV女優ですから、ぜひチェックしてみてくださいね!

◎おわりに

アラサー世代には懐かしいAV女優をご紹介いたしましたが、知っている女優はいましたか? 偶然にも、3人ともデビューしたのは2002年。もう15年も前にデビューした女優たちなんですね~。古い作品ではありますが、レジェンドAV女優たちの作品はマストチェックですよ! 観たことがある方は懐かしさに浸り、観たことがない方はこの機会にレジェンドAV女優たちのAVをチェックしてみてはいかがでしょうか?

■アラレ/年間3,650本のAVを観る独身アラサー。東京某区在住。好きな言葉は有給休暇。2014年、日課のオナニー中に「女性向けアダルトサイトの運営」を閃きsugirl(シュガール)を開設。思春期から男性向けAVを観まくっていた経験を活かし、女性も楽しめる動画を厳選して公開中。

「脚がリカちゃん人形のよう」釈由美子、出産後初の公の場も……“激ヤセ”にマスコミ騒然

 女優の釈由美子が4月13日、東京・二子玉川ライズ内で行われた「巨大おむつケーキでギネス記録に挑戦!オーガニックベビーシャワーイベント」に登場。昨年6月に長男を出産後、初めて公の場に姿を見せたが、その姿にマスコミ関係者の間で心配の声が上がっていたという。

「釈は以前よりも、さらに細くなったようで、真っ白なミニワンピースから伸びる脚はリカちゃん人形のような細さになっていました。顔もグッと痩せたようで、あごの細さが特に目立っていたような……。イベント中に集まってきた一般ママからは、『可愛い!』と歓声がわいていましたが、報道陣からはその変貌を危惧する声も多かったです」(ワイドショースタッフ)

 そんな心配をよそに、釈は結婚・出産で実感した“幸せ”を、盛んにアピールしていたという。

「『子どもが甘えてくると、可愛くてたまらない! 彼氏のようです』『授乳中にかまれるんですけど、幸せな痛みですね』『主人には“芸能人の奥さんをもらったことを忘れないで。文春さんに気を付けてね”って言ってますが、うちは大丈夫』など、笑顔でコメントしていました」(同)

 中でも注目を集めたのは、10カ月を迎えたばかりの息子と「登山に行きたい」という発言だったという。

「2013年に登山に目覚め、“趣味は登山”とアピールする釈は、早くも息子との登山に挑戦することを考えているそう。『今は赤ちゃんを背負って登れるベビーキャリアというものがあるので。1歳記念に登るのもいいですね! 私が背負います。毎日抱っこしているので大丈夫です!』と張り切っていましたが、『あの細い体で本当に子どもを背負って登山できるのだろうか……?』と報道陣は不思議がっていました」(同)

 かつては、結婚・出産を機に「突飛な発言が聞けなくなるのでは」「キャラが変わってしまうのでは」と危惧された釈だが、どうやらその心配はいらなさそうだ。

「風俗×貧困報道ブームは、迷惑だった」風俗嬢になる理由を問うより「出口」が重要/『風俗嬢の見えない孤立』角間惇一郎氏インタビュー

なぜ風俗に入ったのか?――性的なことが好きだから、日常生活では満たされないものがあるから、奨学金を返すため……風俗への「入口」はメディアが風俗嬢を扱うときの重大テーマです。

「入口」ばかりが議論される中、一般社団法人GrowAsPeople代表理事である角間惇一郎さんは、一貫して風俗嬢の「出口」に注目してきました。40歳から風俗を続けることが難しくなる「40歳の壁」を見据え、夜の世界で働く女性たちのセカンドキャリア支援を行っています。なぜ、「入口」ではなく「出口」が重要なのか。初の著書『風俗嬢の見えない孤立』(光文社新書)の刊行を記念してお話をうかがいました。

加熱した「風俗」×「貧困」報道

――ここ数年、風俗と貧困とを結びつけるような記事が多くでましたが、一連のブームについてどう感じましたか?

角間 正直に言うと迷惑でしたね。風俗の話は刺激的に感じる人が多く、PVを取りやすいからか、ここ数年は多くの記事がでました。それも、現状についての解決策を提示しているわけではなく、「この話ヤバいね」「今の自分の生活はヤバくなくてよかった」と、自分より深刻な状況をみて安心させるだけの記事が多かったように思います。

しかし、ぼくたちは風俗嬢のリスクの一つとして、孤立することを問題視してます。相談しやすいような環境をつくるため、丁寧に関係性をつくってきました。「ヤバい人たちがいる世界」と報道されてしまうことで、彼女たちは相談しづらくなってしまいます。

ぼくの団体にも、「風俗嬢を紹介してください」と取材がくることがありました。その時、就職しながら風俗も兼業していて、月60万円ほどの収入があって……とよくいる女性のパターンを説明すると、「もっとすごい人紹介してくれません?」と注文がくることもありました。そうじゃないと、メディアには出せないということなんでしょう。メディアで取り上げられた多くの風俗嬢たちは、全体を見るとかなり少数派の人たちでした。

そもそも、風俗嬢を定義することは非常に難しいのですが、かなりあいまいな記事も多くありました。風俗の出勤形態は自由なので、数カ月に一回しか出勤しない人もいれば、月に20回出勤する人もいます。専業の人もいるし、副業の人もいる。当然、収入のバラツキも、やる気のバラツキもあります。やれば誰でも稼げる仕事ではありません。コミュニケーション能力のある人は稼げるし、シングルマザーのように働ける時間が短い人は稼げない。このように、多様なグラデーションがあるのですが、一度風俗に関わると、すぐに「風俗嬢」になってしまい、「困窮している人」「ヤバい人」として扱われてしまう状況があると感じています。

マジョリティーはどこにいる?

――では、風俗嬢のボリュームゾーンはどのような人たちなのでしょうか。

角間 ワークスタイルをもとに、ぼくは風俗嬢を4パターンに分類しています。

まず収入が高くて職業意識も高い右上の層は、月収だけで7桁あったりする超売れっ子たちです。次に、低収入だけど職業意識の高い左上の層。彼女たちは風俗嬢としてのプライドを持ち、同時にライターとして活躍して風俗嬢の体験を発信するなど情報発信能力にたけています。

収入が低く、職業意識も低いのが左下の層です。よく貧困と性風俗の問題で取り上げられるのは彼女たちですが、2割ほどしか占めていません。最後に、職業意識が低く、収入の高い右下の層。ここがボリュームゾーンで、全体の60%ほどいるのですが、メディアからも注目されず情報発信もされません。

このサイレントマジョリティの層がぼくたちの支援対象です。彼女たちは自分たちがセックスワークをしている意識はありません。暮らしていける程度の収入はあるけれど、稼ぎのための単なるツールだと考えている。彼女たちに共通しているのは「バレたくない」と思っていること。バレると仕事を辞めざるを得なくなり収入源がなくなるし、バレた相手によっては脅迫を受けるなどのリスクが発生する可能性もあります。

――なぜサイレントマジョリティの層を対象にしているのでしょうか。

角間 右上の層と左上の層は支援を必要としていない場合が多いですし、左下の層は障害や貧困などの風俗以外のところに問題を抱えているので、すみやかに行政や支援団体につなぎます。一方で、右下の層は、今現在お金があって生活していけないわけではないので、そんなに困っていないんです。

――困っていないんですか?

角間 そうですね。深刻には困っていません。外からみると「今すぐ辞めたいと思っている女の子ばかりだ」というイメージがあるかもしれませんが、本人たちも風俗を辞めたいぞと強く思っているわけでもない。収入もたっぷりあったりする。

ちなみに、ときどき、彼氏を名乗る男性から「彼女が風俗で働くのを辞めさせたい」と連絡がくることがあります。たぶん、惚れこんでしまったお客さんが、彼氏を装って連絡してきているんでしょう。彼らは本人がやめたいかどうかは聞いていないですし、聞いていたとしても騙されている可能性もあります。

お店によっては「なんで風俗で働いているの?」と聞かれたときの回答集があって、若い女性だったら「学費のために」って言っておくよう指導します。そうすると、「生活費」「遊ぶ金ほしさ」というよりも、お客さんはキュンとして喜ぶわけじゃないですか。そういった客のためのファンタジーを鵜呑みにして「彼女たちは辞めたいと思っている!」と考えても仕方ありません。

かといって、彼女たちがまったく困っていないわけでもないのです。彼女たちは「バレたくない」と思っていながらも立場を明かさないといけない時がきます。妊娠や出産、子育て、親の介護などがあると、病院、行政、学校などに職業を聞かれることもあるでしょう。そのときに彼女たちは相談するのを躊躇し、孤立してしまう。そして、より事態が悪化してしまうことがあります。

――なによりも「バレたくない」と考えているんですね。

角間 さらに、彼女たちが一番困ってしまうのは、「風俗を辞めるとき」です。風俗嬢には40歳から風俗を続けることが難しくなる「40歳の壁」が存在します。そこから転職しようとしても、履歴書に風俗の職歴を書くことができない。ぼくらは、このような「出口」への支援も行っています。

「入口」よりも「出口」

――なぜ40歳の壁があるのでしょうか?

角間 「女性の魅力がなくなるからだ」と思う人もいるかもしれません。しかし、魅力よりも大きいのは体力の問題です。

多くの仕事は、経験年数が増えてくると人脈が増えたり、仕事を誰かに回せたりして、自分はマネジメントの仕事につくなどできるでしょう。しかし、風俗の収入は、経験やノウハウにではなく、出勤日数によって発生します。指名料は微々たるものです。自分の体を動かせば動かす分だけ発生するのです。

つまり、若ければ若いほど体力がありますが、年を重ねると体力が落ち、出勤するのが難しくなります。そのうえで、指名する客も若い新人を好む傾向があるので、単価も安くなります。40歳付近でやめざるを得なくなるのです。そういうと、「70歳の風俗嬢を知っている」とか、「熟女ブームだから」と、言い返す人もいるのですが、これはかなりまれなパターンです。

――多くの人は40歳で引退を余儀なくされてしまうと。

角間 そうですね。だからぼくたちは「出口」に注目しています。多くの場合、特に風俗の取材をする人は「入口」を重視しがちです。なぜ風俗嬢になったのか? 彼女の心の闇とは? といった書き方はよくありますね。多くの人たちもなにか特別な理由があるに違いないと決めつけている。でも実際に彼女たちに話を聞くと、入る理由は本当に多種多様です。だから、入口を問うことには意味はなく、みんなが困る出口について支援することが重要だと考えています。

「出口」に問題を抱えている意味では、風俗嬢とアスリートは非常に似ていると思います。入る理由も人それぞれだし、稼げるか稼げないか、プロ意識を持つか持たないかもその人次第。でも、40歳で体力の限界はきて、引退を迎えてしまいます。そこで、誰もが監督になれるわけでもなく、今までやってきたキャリアが有効に生かせるわけではありません。

――セカンドキャリアの問題になってくるんですね。

角間 そうです。風俗を「いずれ引退しなきゃいけない仕事だから辞めた方がいい」としたら、スポーツ選手を目指すこともダメになってしまいますよね。キャリアの応用の利かなさでいけば、ミュージシャンやお笑い芸人だってそうでしょう。ぼくは、キャリアが途絶えても次に行けるのが健全な社会だと思っています。風俗嬢が次に行けるインフラは、アスリートなどのセカンドキャリアが必要な人のためのインフラにもなるのです。

――どのようなセカンドキャリアが想定されているのでしょうか?

角間 ぼくたちは、すぐに辞めさせるような支援はしません。というのも、急に昼の仕事をはじめても、夜の仕事に戻ってしまうからです。風俗の仕事は、昼の働き方と全然違います。風俗は、365日、24時間、いつでも好きなときに数時間働けば、その日のうちに給料がもらえる仕事です。一方、昼の仕事では、朝起きて8時間働き、給料が振り込まれるのは1か月後。「全然お金がもらえない」「風俗の方が楽」とまた戻ってしまうことが多いのです。

ですので、まずは夜の仕事を続けてもらいながら、徐々に昼の仕事に移行してもらう方法を取るのです。インターンシップの機会を提供し、少しずつ昼の仕事に慣れてもらう。また、風俗嬢の多くは昼間に多くの余剰時間があるため、その空いている時間でトライしやすいような資格を取れるようにします。

価値観ではなく、事実を積み上げて

――お話を伺っていると、非常に具体的な支援をしていると感じました。

角間 そうですね。風俗の議論は人権問題や、エロ、モラルなど、多様な見方で論じられてきました。「風俗は女性蔑視だ」とか「風俗嬢としてプライドをもつべきだ」などと意見が分かれますし、「風俗があるから性暴力が減る」とか、「風俗こそがセーフティネット」というような暴論も存在します。

だからこそぼくは、自分の定点を価値観ではなく、事実ベースに置きたいと思ったんです。人は誰でも年を取るし体力が落ちる。1日24時間があるのは貧困だろうが金持ちだろうが同じです。

価値観で判断していたら「こんな動機で風俗をしているやつは助けない」と支援を取りこぼしてしまう可能性があります。どんな動機、どんな価値観であるにせよ、「辞める時がくるから、そのあとにどうしようか」「暇な時間があるなら、どう活用しようか」と考えていきたいんです。

『風俗嬢の見えない孤立』では、性風俗で働く女性から取り続けたアンケートなどの具体的な数字をもとにしながら、今まで印象論で語られることの多かった風俗嬢の姿を書きました。そこにあるのは、「性のプロ」として活躍しているわけでもなく、「どうしようもなく貧困」であるわけでもない、普通の彼女たちの姿です。印象論で語る前に、ぜひ手に取ってみてください。
(聞き手・構成/山本ぽてと)

嵐・松本潤、英紙で「セックススキャンダル」報じられる! 葵つかさ関係で「貰い事故」?

 嵐・松本潤の自宅マンションに足繁く通い、4年にわたって親密関係を続けていると週刊誌で報じられたAV女優・葵つかさ。報道後は嵐ファンからバッシングが相次いでいたが、先日は別の有名人男性との騒動が報じられ、さらには、テレビ番組での発言が物議を醸すなど“不運”が続いている。

 昨年12月の「週刊文春」(文藝春秋)の記事を機に、ジャニーズファンの間で広く認知されるようになった葵。1月13日発売の「フライデー」(講談社)には「松潤の相手」というフレーズを掲げグラビアに登場したが、葵の所属事務所・エイトマンは、同誌が松本の名を記載したことに「憤りを感じています」と主張し、講談社側が謝罪する事態に発展した。

 一連の出来事により、葵の「売名行為」を疑う声がネット上で盛んになると、2月上旬には葵がTwitterアカウントを削除。それからおよそ2カ月たったが、現在は別の男性との記念写真が国外で問題になっているようだ。

葵と共に写真に写っているのは、中国のサッカークラブ・広州恒大に所属するブラジル代表のミッドフィールダー・パウリーニョ。13日付でイギリスメディア「インディペンデント」などが報じた内容によれば、騒動の発端は、アジアのギャンブル会社「Letou.com」が掲載した写真だという。

「同会社のプロモーションを務めるパウリーニョと、このサイトの広告塔である葵が写真に収まっていることが話題になっています。中国の法律上、賭博は違法に当たるため、パウリーニョが『国外退去になる可能性もある』と、伝えていました。また、英紙『デイリー・ミラー』の記事には、葵を説明する記述として、アジアのメガスター・松本と『sex scandal』に巻き込まれたと書かれています」(ジャニーズに詳しい記者)

 日本の一部ニュースサイトでも、この一件が話題となったが、13日午後8時頃に配信されたウェブサイト「フットボールチャンネル」の記事では、パウリーニョ側が「中国から追放されることはあり得ない」との声明を発表したと報道。パウリーニョは写真について「隣の女性がポルノ女優だとは聞かされなかった。撮影スタッフは単にモデルだと言っていた」と述べていたとか。

 思わぬ形で名前が取り沙汰された葵だが、彼女はセクシーアイドルグループ・恵比寿☆マスカッツのメンバーとしても活躍し、バラエティ番組にもレギュラー出演している。12日深夜放送のバラエティ『マスカットナイト・フィーバー!!!』(テレビ東京)では、過激な発言も見られたようだ。

「番組内で葵は『好みのタイプはド変態』と宣言した上で、『足の裏をかじってくるような』『指も舐めてくるような……』と、好きなプレイを具体的に明かしたんです。演出の可能性もあるとはいえ、一部の嵐ファンは『地雷女』だと激怒。パウリーニョの件についても『なんで潤くんまで引き合いに出されるの。勘弁して』と嘆く声が出ており、松本はネットユーザーからも『パウリーニョの記事に松潤の名前が出てくるって、完全なとばっちり』『松本潤が貰い事故』と、同情されています」(同)

 一方、「週刊文春」(3月30日号)によると、松本は1月下旬に六本木にある風呂付き居酒屋でCAとの“個室合コン”に参加していたとのこと。松本と10年以上も交際を続けているとされる女優・井上真央は「女性自身」(光文社、4月18日号)の直撃取材で「松本さんとご結婚が近いと報じられてますよね」と聞かれ、「いやいや、全然全然!」と否定していた。

 思わぬ形で、葵との関係が海を跨いだイギリスで報じられた松本。今後、新たな女性問題が浮上しなければよいのだが……。

“ザーメンまみれに”との痴れ言を「筒井さんらしい」で許す錆びついたマチズモ

 本サイトを読まれる方が日頃手にすることがないであろうオヤジ雑誌群(そして新聞)が、いかに「男のプライド」を増長し続けているかを、その時々の記事から引っ張り出して定点観測していく本連載。

 作家・筒井康隆が自身のブログ「偽文士目碌」やTwitter(現在は削除済み)で、韓国に設置された少女像について、「あの少女は可愛いから、皆で前まで行って射精し、ザーメンまみれにして来よう」と記した。あまりの愚言に愕然とする。当然、韓国では批判が殺到し、翻訳出版された筒井の著書を絶版にする判断も下されている。新聞報道では「ザーメンまみれ」などとは書かずに(書けずに)、表現をぼかし「屈辱を促すようなことを書いた」(東京新聞・4月9日)、「慰安婦像の少女を『可愛いから』と述べたうえで、性的な侮辱表現を続けて使った」(朝日新聞・4月8日夕刊)と書くにとどまっている。新聞だけを読む高齢層には、この事案を生じさせた最たる部分が伝わっていない可能性も高い。批判する声を受け、筒井自身は「韓国の人たちをどれだけ日本人がひどいめに遭わせたかよく知っています。韓国の人たちにどうこういう気持ちは何もない」(同・朝日新聞)とコメントしてみせたが、言い訳として破綻している。

「あんなものは昔から書いています」
「今回騒いでいるのは、僕の小説を読まない人たちでしょう」

筒井康隆/上『朝日新聞』2017年4月8日夕刊、下『東京新聞』2017年4月9日

 筒井の発言を受け、この程度の発言はこれまでの彼の作風から考えれば想定内であり、特段問題にするべきものではない、との見解が現れた。「偽文士目碌」は、そのタイトルにあるように文士のパロディーとして綴られた日記であり創作なのだから、創作内の発言まで取り締まるようでは表現の自由がどうのこうの……との見解も呼び込んだが、これは明らかに彼の主観を綴るブログであり日記。差別される人たちの想いを描くために、小説作品として差別する人たちの暴虐性を描くのは文学の役割の一つだと思うけれど、今件をそこに当てはめようとするのは無理がある。

 これで日韓関係が云々、というよりも、そもそも女性をいたずらに陵辱する見識をこうして「いつもの彼の作風」と処理してしまう非道に気づいてすらいないのが、何重にも非道である。筒井が新聞各紙にコメントを出しているが、自分の作品を認知している人にはこれくらい何でもないことなんですけどね、との弁解に終始している。自分の優良顧客は分かってくれる、と宣言して憚らない姿勢に、これまで何作かの作品を読んできたビギナー顧客としても侘しさを覚える。文学の世界に残存する特権性にあぐらをかいた結果がこの発言として表出しているのだとするならば、言い訳もまた真っ先にその特権性にすがってしまっており、情けなくうつる。

 筒井本人のみならず周囲を取り囲む人々からの“これが筒井作品なのだ”との擁護に少しも賛同できない。何重もの差別を孕むこの暴言は、作家の特性に理解を示し、「ちょっと書きすぎちゃったけど……」で受け止める事案ではない。繰り返しになるけれど、筒井ほどの存在でもこういう発言が取り締まられちゃうのねと、言論の不自由を嘆きながら物知り顔で肯定するべきでもない。

 東京新聞の匿名コラム「大波小波」(4月11日夕刊)は「実のところ、像への凌辱は、モデルとなった女性たちになされたことの再現にすぎない。筒井の提案に怖気を抱く者は、そこで思考停止せずに、そもそも像がなぜ作られたのかに思いを致すべきだろう」としているが、これを思考停止だとされては困る。「語るにはふさわしい場所を選べ」で結ばれるコラムの帰結には同意するけれど、差別的な言質を批判する行為を「思考停止」とされ、寄り添って真意を探らなければ表現の自由の規制につながるとの見解を誘発させるべきではない。発言をあらためて振り返って欲しいが、真意を探るべし、というレベルの発言だろうか。

「コラム書き終えて原稿を論説室の女の子に渡す時に、必ず『ああー、射精した気分だ』と言っていたのが忘れられない(笑)」

久保紘之(ジャーナリスト)/「WiLL」(2015年7月号)ワック

 現在は「月刊Hanada」で連載されている堤堯と久保紘之の対談で放たれていた上記の発言は、この連載の初回で取り上げたものだ。特別ゲストとして産経新聞のコラム『産経抄』を30年以上も書き続けた石井英夫を招いたのだが、この対話の中で上記のようなエピソードを楽しげに語る。今回の筒井の言い回しに似ている。かつて産経新聞に在籍していた久保が、石井がこのようなことを言っていたと口にすると、石井は「そんなこと言ったことないよ! 気持ちはそうだけど(笑)。口にしたことはないと思うなぁ」と否定する。久保はさらに「言ってましたよ(笑)。それを聞いて、『ははぁ、物書きとはこういうものか』と感激したものです」と続けた。その対話の近くにある見出しには「コラム執筆は“射精”?」とある。まったく不快である。

 末端の物書きとして「物書きとはこういうもの」とされるのは実に心外なのだが、こういった単なるハラスメントを平然と述べ連ねてしまえるのは、「ハラスメントに厳しくなった世の中でもぶっちゃけ続ける俺たち」に対して、下手すりゃ「うんうん、彼らは勇気があるな」と喝采を浴びせる読者がいるからである。少なくとも、限られた雑誌や論壇ではそういった雰囲気が保たれ、これくらいイイじゃんかグヘヘヘ、と徒党を組んで嘲笑し続ける。まさしく「皆で前まで行って」の一体感ではないか。

 「ザーメンまみれにして来よう」と書く下劣を肯定しようとする動きには、総じて無理がある。彼のキャリアを分析しつつ、「筒井康隆氏の作風を知っていれば、筒井氏ほど『同調圧力』に異を唱えてきた作家は居ないことが理解できる」(Yahoo!ニュース個人・古谷経衡「筒井康隆氏の『慰安婦像ツイート炎上事件』をどう捉えるべきか?」)と議論を持ち運ぶ姿勢は、筒井の言い訳「あんなものは昔から書いています」と呼応しているからこそ危うい。これまでのキャリアを振り返って考察するまでもなく、これは単なる凌辱である。論説室の女性に「ああー、射精した気分だ」など言っていたと回顧するオッサン言論と筒井の作家性を区分けして考えたがるだろうけれど、まったく同質である。

 いつまで慰安婦問題をやっているんだ、もう日韓合意したじゃんか、との呆れ顔も目立つが、その呆れ顔を真っ先に向けるべきは、問題視し続ける側ではなく、筒井のように問題を茶化し直す存在ではないか。筒井の発言についてフォローしたい人は、それが名も知らぬ誰かのブログやツイートであったとしてもフォローできたのだろうか。彼の特権を踏まえた上で容認していたのであれば、その姿勢って浅ましいと思う。錆びついたマチズモを作家の特性として磨き上げるようなことがあってはいけない。

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