「リアルサウンド」の記事一覧(49 / 64ページ)

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Acid Black Cherryはなぜ“全国のファンに会う”ことを重視するのか? その意志と戦略を読む

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【リアルサウンドより】

 2015年は、Janne Da ArcのyasuがAcid Black Cherryの活動をスタートして9年目となった。昨年末にリリースしたAcid Black Cherryの19thシングル『INCUBUS』は、自己最高初動売り上げを記録して話題だ。2月25日にリリースする、3年振りとなるコンセプチュアルなアルバム作品『L-エル-』への期待も高まるばかりだ。そこで、波乱の人生を送った一人の女性エルを描いた壮大なストーリーと絡み合うコンセプト・アルバムを語る前に、2013年からスタートしたAcid Black Cherry のProject『Shangri-la』を振り返ってみたいと思う。全国を巡るこのプロジェクトに込められた戦略が素晴らしいと思ったのだ。

 Project『Shangri-la』とは、Acid Black Cherryがファンに「笑顔になってもらいたい」というテーマで企画したプロジェクトであり、全国都道府県をツアーとイベントで巡り、各地のファンと触れ合える機会を設けた大規模でありながらも地道な施策だ。

 J-POP世間一般的には、ネット配信時代、楽曲単位での注目作が増え、アルバム作品への注目が減っている。しかし、Acid Black Cherryはアルバム作品を軸としたプロジェクトを立案し、実行することでファンを巻き込み、大きなうねりを生み出すことに成功している希有なアーティストだ。実は20万枚のセールスを超え大ヒットした前作アルバムから物語は続いていたのかもしれない……。

 ……マヤ暦が終わることから“世界が終わる”と言われた2012年。Acid Black Cherryは、yasuの想いを詰め込み、3rdアルバム「『2012』」を発売した。このアルバムは、たとえ世界が終わろうとも、生きることを諦めない人達の唄と物語がリンクしたコンセプト・アルバムだった。2013年、もちろん世界は終わっていないが、アルバムの物語の中で登場したおばあさんはこう語っていた。「世界が終わらなかったことがハッピーエンドではないのよ。美しい世界を取り戻すにはとても時間がかかるの」。

 この状況は、今の日本に少し似ているような気がする。2011年に我々を襲った“悲しみ”は、今もなお続いている。あの日、多くの日本人がそうしたように、yasuもまた、自分の人生や生きる意味を考えたのだ。「音楽しかやってこなかったし、音楽しか出来ない。もしも自分の作った音楽で誰かが笑顔になるなら、音楽を一生懸命やろう」と。

 Acid Black Cherryのようなアーティストとなると、ファンはアリーナクラスなど、大きな会場でなければライブチケットの入手が困難になってしまう。それが故に、全国津々浦々のホール会場を巡ろうとすると、膨大な時間と労力を必要として楽曲制作が遅れてしまう。そんな“成功のジレンマ”に悩んでいたという。しかし、Project『Shangri-la』では、その両面を平行することをチャレンジしたのだ。

 Project『Shangri-la』として新作シングルのリリースをしながら、日本全国を5ブロック(北海道・東北、北陸・甲信・東海、関西・中国、関東、四国、・九州・沖縄)・5期間に分け、2013年8月から2014年6月までの約10ヶ月、全国都道府県をライブで駆け巡り、追加アリーナ公演を含み18万人を動員した。コンサート前後には『Shangri-la Meeting』として、各県のラジオ局やテレビ局の番組公開収録、yasuとのハイタッチ会などファンと触れ合えるイベントも実施している。

 ツアー後、昨年10月には『密会』と題して、Twitterやオフィシャル・ブログなどで突如URLが告知され、1時間限定でYouTubeにて告知動画を公開することで、新作アルバム『L-エル-』の発表を行った。時間限定公開でありつつも、ハッシュタグが設定されていたことで、Twitter上でのコメントの盛り上がりはトレンド化し、熱量はどんどん高まり伝染していった。

 そしてこの冬は『Shangri-la Museum』として、Project 『Shangri-la』の思い出を蘇らせる、もう一つのツアーが全国を巡回した。各地のイオンモールを無料イベントの会場として、実際に全国ツアーで着用した衣装を展示したのだ。ライブステージで組んだセットの一部を再現したミニステージで、記念撮影が可能となっていたことも見逃せない。

 ここには重要な“プロモーション要素”が込められているのではないかと個人的には思う。世間一般的には、J-POPシーンにおけるCDセールスの減少、予算削減など、音楽アーティストが全国をくまなく巡るツアーは減っていると言われている。と、同時にプロモーション施策なども、ネットの進化もあり配信やヴァーチャルな企画など代替え案に変えられてきた現状は否めない。しかし、Acid Black Cherryは信念で全国都道府県ツアーをシングル作品のリリースとともに工夫を重ねてやり遂げたのだ。“自ら全国のファンに会いにいくこと”。こういった意義ある地道な試みは、必ずや今後の結果としてあらわれてくるだろう。2月25日にリリースするこだわりの新作アルバム『L-エル-』への期待が高まるばかりだ。Acid Black Cherryが評価されていることには意味があるのだ。

(文=ふくりゅう(音楽コンシェルジュ/Twitter))

■リリース情報
『L-エル-』
発売:2月25日(水)

01. Round & Round
02. liar or LIAR ?
03. エストエム
04. 君がいない、あの日から…
05. L-エル-
06. Greed Greed Greed
07. 7 colors
08. ~Le Chat Noir~
09. 黒猫 ~Adult Black Cat~
10. versus G
11. 眠れぬ夜
12. INCUBUS
13. Loves
14. & you

4th ALBUM「L-エル-」Special Site

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シェネルの歌は人を幸せにする? “ラブソング・プリンセス”が支持を広げる理由

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【リアルサウンドより】

 実力派R&Bシンガーとして幅広い支持を集めるシェネルが、自身5枚目となるオリジナルアルバムをリリースする。タイトルはズバリ『シェネル・ワールド』。ドラマ『ディア・シスター』の主題歌として話題になり、60万ダウンロードを突破した「Happiness」のほか、Crystal Kayや青山テルマをゲストに迎えた「All My Ladies」といったバラエティ豊かな楽曲が全13曲収録されている。

 シェネルというアーティストについて語る際、外せないのがラブソング。それは彼女の歌う楽曲のほとんどがラブソングで占められていることももちろん、その曲たちに多くの女性が共感し、涙し、また励まされているという事実があるから。「ベイビー・アイラブユー」の英語ヴァージョンや「ビリーヴ」は、今や結婚式の定番ソングとなっているし、カラオケの勝負曲にしているとの声も多い。そういった背景から、しばしば彼女は“恋する女性に最も支持されている女性アーティスト”や“ラブソング・プリンセス”といった異名で語られる。

 ではなぜ、彼女の歌うラブソングがこれほどまでに支持されるのか。

 シェネルのデビューは2007年。シングル『ラブ・ウィズ・DJ』でいきなりの世界デビューだった。中国人の父とインド/オランダのハーフの母と、家族構成も実に多国籍。一昨年に結婚後、現在はロサンゼルスと日本を往復しながら活動を続けている。そんな彼女が本格的にJ-POP界に進出したのは、前述の「ベイビー・アイラブユー」に代表されるカバー・アルバム『ラブ・ソングス』をリリースしてから。久保田利伸からホイットニー・ヒューストンまでを歌いこなすその表現力は、音楽業界をはじめ各所で話題となった。

 ハスキーで力強い独特の歌声は、彼女の一番の武器。その声で歌われる古今東西のラブソングの名曲は、原曲とはまた違った輝きを見せ、聴く者を魅了する。しかし、それでもなお彼女の本領が発揮されるのはオリジナル楽曲だとあえて言いたい。

 本コラムを書くにあたり、改めて彼女の楽曲を聞き直していて気付いたことがひとつある。それは、失恋の曲の少なさ。J-POP(特にバラード曲)では、切なさを醸し出そうとするあまり、どうしても歌詞の面で別れや過去の幸せだった日々に焦点をあてがちになる。しかし彼女はそうしない。≪世界中で一番 キミのことが 大切なの 大好きすぎて 上手く言えないけど キミがいる それだけでいい≫(「Happiness」)≪アイシテル、アイシテル、アイシテル Forever アイシテル、アイシテル、君のことを どれだけ時がたっても≫(「アイシテル」)など、とにかく驚くほど失恋や悲恋の曲が少ないのだ。

 そこには彼女の「歌いたいものを歌う」という信念がある。外国人である彼女にとって、日本語はとても厄介な言語だ。それでもなお、楽曲に合わない日本語詞は直感で感じとり、気が済むまで直すのだという。しかし、そうやって生まれた楽曲だからこそ、込められたメッセージは何倍もの力を持つ。身の内から湧き出る愛しい気持ち、または愛するパートナーとの希望あふれる未来。そういったものに目を向けた前向きなパワーは自然に聴き手の心をも多幸感で満たしてくれる。聴き手を幸せにする歌。それこそが、シェネルの歌の最大の魅力だと言えよう。

 新作アルバムの『シェネル・ワールド』というタイトルには「アーティストとして自分が大好きな音楽の世界をみんなと共有したい」という想いが込められているという。自身が今持てるものを全て詰め込み、決意も新たに挑んだ本作。きっとこれまで以上に多くの人の心に触れるものとなるはずだ。

(文=板橋不死子)

■リリース情報
『シェネル・ワールド』
発売:2月11日(水)
・通常盤:UICV-1046 スペシャル・プライス ¥1,980(税抜)
・初回限定盤【2CD】:UICV-9097/7 スペシャル・プライス ¥2,980(税抜)
※シェネルの人気曲ばかりを収録したノンストップ・ミックスCD付
〈収録曲〉
01 Happiness *フジテレビ系ドラマ「ディア・シスター」主題歌
02 Forever Friends
03 君に贈る歌 ~Song For You
04 Eternal Love
05 Life Is Good feat. SWEEP
06 Change Your World
07 Love Is Louder
08 All My Ladies feat. Crystal Kay & Thelma Aoyama
09 Fierce
10 Die For You
11 Can’t Be Without You
12 Happiness feat. 松下奈緒 *松下奈緒をピアニストに迎えたスペシャル・ヴァージョン
13 Always Love U *大阪城3Dマッピング スーパーイルミネーションCMソング

初回限定盤のみに付くDISC-2(ノンストップ・ミックスCD)の内容
01 Fall In Love
02 I Will
03 Burning Love
04 Happening Again
05 Story
06 Happiness
07 アイシテル
08 Baby I Love U
09 ずっと
10 Touch (Close To You)
11シャナナ☆
12 Sunshine On U
13 Believe

■「Happiness feat. 松下奈緒」
https://www.youtube.com/watch?v=WhIpT_g64RE

■公式HP http://www.universal-music.co.jp/chenelle

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