「大阪の舛添や……」泥沼化する「橋下徹の秘書が覚せい剤」問題と、大阪自民の異常事態
参院選大阪選挙区(定数4)。おおさか維新の会と自民党の候補が激戦を繰り広げている中、別の戦いも注目を集めている。
自民党大阪府連の中山泰秀会長が、公開の場で議題と関係なく「前市長の秘書が覚せい剤で逮捕されたのは本当か」と発言したことに、橋下徹・前市長がブチ切れた。橋下氏は名誉棄損で中山氏を訴え、大阪市も事実無根として謝罪を要求するなど場外乱闘は泥沼化している。
発端は参院選公示前の6月12日。マスコミにフルオープンで行われた、大阪市による国への予算要望でのことだった。締めのあいさつで中山氏が突然「前市長の秘書が覚せい剤で逮捕されたのは本当か? 事実関係を説明してもらいたい」と求めたのだ。
秘書が覚せい剤で逮捕された事実はなく、これに橋下氏が反応。Twitterで中山氏を「日本一の無能政治家」「アホボンピーマン」などとこき下ろし、17日、大阪地裁に提訴。さらに、大阪地検に名誉毀損容疑で刑事告訴も行った。
中山氏は、橋下氏が府知事選に出馬した際の陣営スタッフで後に覚せい剤取締法違反で逮捕された人物と、橋下市長時の特別秘書を混同していた可能性があるという。
同席していた自民市議は「(中山氏が)急に言いだして、耳を疑った。参院選前に維新に攻撃する、いい口実を与えてしまった。府連会長として失格や」とあきれる。
大阪市も中山氏に事実関係の詳細を求める質問状を出したが、中山氏は「個人のプライバシーを侵害する可能性がある」などとして無視。さらに大阪市は「そういった事実はなかった」として、中山氏に期限付きで謝罪を求めたが、これも無視している。これを受けて大阪市は、サイトのトップ画面でこの問題に関する経緯などの公開に踏み切った。
一方の中山氏はマスコミの取材に対し、「僕は(当該人物と)廊下で会いましたからね、助役室の前で」と正当性を主張している。
しかし、問題は思わぬとところにも飛び火した。この間違われた人物が、橋下氏が所属する芸能事務所タイタンの元社員であった可能性もあり、太田光代社長がTwitterで中山氏に発言の詳細を求めた。しかし回答がなく、太田氏も「訴えますよ。弊社」と宣言する事態になっている。
さすがに府連幹事長の多賀谷俊史市議が中山氏に謝罪するよう求めたが、中山氏はこれも拒否。府連内でも中山氏に同情する声はなく、四面楚歌状態となっている。
ある府連幹部は「中山が府連会長を辞めるしかないが、辞める気はない。中山が会長になってから地方選は全敗。大阪の自民党をダメにしている張本人やのに自覚がない。『大阪の舛添』や」と嘆く。
中山氏を支える府連副会長は佐藤ゆかり衆院議員が務めているが、佐藤氏も身内であるはずの自民支部長に訴えられている。府連のツートップが訴訟を抱える異常事態だ。大阪の自民党が立ち直るのは、まだまだ時間がかかりそうだ。