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初めてのレズプレイが終わって「扉が開いた…」とつぶやく女性たち/『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』の人気キャストに会ってきた【03】

 性の多様性が徐々に知られるようになった現在、“レズビアン風俗”というジャンルも今後、増えていくのだろうか。女性同士の性サービスを提供する風俗店「レズっ娘クラブ」とその姉妹店「ティアラ」のオーナー・御坊(おぼう)さんは次のように語る。

御坊さん(以下、御坊)「東京などの首都圏では、そうしたお店が増えているという話もちらほら聞きますが、残念ながらすべてが優良店とはいかないようです。なかには、男性スタッフが女性キャストに性サービスの講習だなんだとヘンな理屈をつけて性的関係を迫るような悪質店もあると聞きます。そこで働く女性の安全が守られて、利用する女性も安心して遊べるお店がもっと増えてくれるといいんですけどね」

 同店は、大ヒットコミックエッセイ『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(イースト・プレス)に登場する実在の“レズ風俗店”として、一躍注目を集めた。こうした“レズ風俗事情”を聞くと、当時28歳、性的経験ナシだった永田カビさんが、生きづらい人生に区切りをつけるために勇気を出して予約したお店が同店でほんとうによかったと、ひとごとながら安堵する。

「人によって、何を求めて“レズ風俗”を利用するかは違いますが、それに全力で答えるのが私のモットーです」ーーと話すのは、同書に“ゆか”さんとして登場するキャストの“ゆう”さんだ。

呼んでもらったからには、オーガズムを。

ゆうさん(以下、ゆう)「たとえば、当店には性サービスなしの“デートコース”もありますが、女の子ふたりでご飯を食べておしゃべりするだけだったら、友だち同士でもできるんですよ。デートというからには日常にないシーンを作って、“特別感”を提供したい。そのためには、ふだんからお店をチェックしたり準備は怠らないよう心がけています」

 ビアンコースはホテルでふたりきりで過ごすコースだが、「利用客の大半は異性愛者女性。彼女らはなぜレズ風俗を利用するのか」で、ゆうさん自身がお話されているとおり、同店を利用する女性の多くは、ノンケ=レズビアンではない異性愛者の女性。最初は自身が何をしたいかわからない女性も多いという。

ゆう「ビアンコースでも、お食事などしてホテルに入ることもありますし、お話もたくさんします。でもお客さまは基本的に気持ちよくなるために、私を呼んでくださっているんだと思います。だから、オーガズムに達していただくのがベスト。でも、イクのに時間かかる人もいるし、時間をかけてもイケない人もいます。そんなときにあまりこっちががんばりすぎても、『そこまでしなくていいよ……』と気まずい雰囲気になっちゃうので、そうならないよう全身をソフトタッチして気持ちよくなってもらったり。逆にイキやすい人でも、それはそれで毎回同じことをしているとお客さまだけじゃなくて私も飽きちゃうので、潮吹きをしてみるとか乳首だけでイケるか挑戦するとか……いろんなバリエーションを提案させてもらいます」

 まさに、至れり尽くせり。ノンケ女性も、女性同士でしか感じられない悦びを知ることで、新たな愉しみを見出すことが多いという。

ゆう「この人、タチっぽくふるまっているけど実は隠れネコだなぁとか、回数を重ねていくとその人が求めていることも徐々にわかってきます。自分の思い込みとは違っていた、という女性も少なくないですよ。この仕事をしていていちばんうれしいと思うのは、プレイが終わった後に『ああ、来てよかった……』って自然につぶやかれるとき。『ヤバい、どうしよう』『わあ、扉開いてもうた』なんていわれると、よっしゃ! とガッツポーズしたくなりますね」

 決められた時間内に、決められたルールのもとで最大限の悦びを……という、ゆうさんの気概が伝わってくるエピソードだ。しかし、御坊さんによると、そうして扉が開いてしまったがゆえに恋愛トラブルに発展することもあるという。

レズ風俗は“特殊”ではない。

御坊「お客さまがキャストに本気になったあげくストーカー化したケースも、これまでに何度かありました。これはレズ風俗店に特有の現象ではなく、一般的な男性向け風俗店でも同様のことが少なからず起きていると聞きますから、広く風俗業特有のトラブルなのでしょう。お客さまに安心して遊んでもらうことはもちろんですが、キャストの安全も再優先に考えて対策しています。でも、ゆうさんはそうしたトラブルとは無縁ですね」

ゆう「私、ズブズブにならないよう距離感を保つのが得意なのかもしれません。踏み込ませないよう隙を見せない、っていっちゃうとイヤラシイし、ドライな性格だと思われることも多いんですけどね。でも、のめり込みそうになっているにの自分で気づき、『あかんあかん』と踏みとどまってくれるお客さまもいますよ。相手の性別はさておき、女性がこうした風俗で遊ぶこと自体に慣れていないんだと思いますが、お客さまにはきれいに遊んでほしいですね。せっかくレズ風俗という、日本ではまだ数少ないお店にたどり着いたんだから、上手に夢を見てほしいです。そのために、私も全力を注ぎますから!」

*   *   *

“レズ風俗”という単語はそれだけで刺激的で、現状では、働く女性も利用する女性も奇異な目で見られがちだ。男性にポルノ的に消費されることだってあるかもしれない。しかし、外野がそれをどれだけ解釈しようとも、同店が提供しているものは、とてもシンプルなものである。“女性と触れ合いたいという率直な欲求を持った女性に、女性が応える場”……それ以上でも以下でもなく、ゆうさんもそこに特別な意味付けをしない。どこまでも自然体で、この仕事に臨んでいるように見えた。その気負いのなさにより、レズビアン風俗の利用がビアン女性だけでなくノンケ女性にとっても特別ではない、“ごく普通のことだ”と思えてくるのだった。

(三浦ゆえ)

「シックスナインはやらなくて良い、エコドライブでOK!」ベテランAV男優・田淵正浩さんが語る“ポルノパフォーマンス”

 知的かつ紳士。そして素敵な仕事人。もっと多くのステージで光が当たるべき人物――AV OPEN2016にて男優賞を受賞したベテランAV男優・田淵正浩さん(49)をご存知でしょうか。

 田淵さんがデビューしたのは、22歳の大学3年生だった1990年1月。90年代といえば、加藤鷹さんやチョコボール向井さんなどの自己主張の強い人が一世を風靡していました。彼らと同期の田淵さんは、当時の自分を「いわゆる“ヘタレ”な男。体力もないし、意志もないし、だらしない。その辺にいるダメな人」と振り返ります。そして、「ビビリな自分が本業にできるとは思っていなかった」と。でも、どうして49歳になった今も20代の男優さんに負けないような、高いパフォーマンスを発揮できるのか――その理由は、先日発売されたAV監督・二村ヒトシさんとの共著 『秘技伝授 男ノ作法 人生と肉体を変革させる性交法則』(徳間書店)に詰まっていました。

 そこで今回、同書を片手に田淵さん本人にインタビューを敢行! “AV業界屈指の健康マニア”と呼ばれる田淵さんの健康法に迫った前編、ベールに包まれたプライベートセックスを語ってくださった中編に続き、田淵さんの代名詞でもある粘着質なセックスに秘められたまさかの事実にもグイグイ迫ります!!

■前編
田淵正浩に直撃! 男優賞を受賞したベテラン男優が明かす「楽して効率良くセックスできる“健康法”」
■中編
「マインドフルネス・クンニ」とは? 女優人気NO.1のベテラン男優・田淵正浩のセックス論

◎シックスナインはやらなくて良い、ポルノパフォーマンスです

――同書では、田淵式の前戯や挿入について細かく説明されていましたが、昨今のAVにおいて必ずと言って良いほど組み込まれている「シックスナイン」についてはあまり言及されていませんでした。でも、シックスナインの体勢ってきついですし、舐めなきゃいけないのに舐められて忙しいし……“楽して効率の良い”でお馴染みの田淵式シックスナインの姿勢ってありますか?

田淵「それはよくわかんないです(笑)。そもそもシックスナインお好きな女性ってあまりいらっしゃらない。女優さんも止めてほしいって言うんですよ。『フェラに集中できない』『あれは男の大きな勘違いで、女性は舐めるんだったらずっと舐めてたいし、コチョコチョやられてたら気が散っちゃう』って。でも男たちはほとんど気付いてないんですよ、女性がそう思ってることを。これははっきり書いてください。シックスナインはやらなくて良い、ポルノパフォーマンスです。そういう男女のズレはまだまだありますよね。激しい手マンとか」

――ですよね。

田淵「あと、キスでも『ベチョベチョベチョベチョ、うぉおおおおお』みたいな荒々しいのが良いのって思ってる男もいるけど、女性は全然それを要求してないんです」

――してないですね。

田淵「ソフトな優しいキスで良いのに。AVが荒々しく描いてるからね」

――AVだとソフトキスではインパクトが薄いからなんですかね。

田淵「そうそう。プロレスと一緒です。本当の真剣勝負って見ていてわかりづらいけど、パフォーマンスとしてわかりやすく表現すると、どうしても無理矢理『はぁはぁはぁ』とか言ったりね。現実では『はぁはぁ』する必要ないんですよ、まったく」

――二村さんの言葉に「おちんちんはピストンするためじゃなくまんこの中を愛撫するためのもの」とあるんですけど、是非そうであってほしい。

田淵「そうですね。こういう話がいっぱい出てきて、ちょっとずつ若者の意識が変わってくると良いんですけどね」

――第一人者として田淵さんが啓蒙してください。

田淵「そうですね。プロの男優が言ったほうが良いですよね。『鼻呼吸でちんこの持続性を養い、骨盤の可動域を広げてガシガシピストンしない、田淵式側位で省エネ挿入で良いんだよ』『エコドライブだよ』と」

――女性もAV通りにするならば、かなりの音量で長時間喘がないといけないですけど、どんなに気持ち良くてもあんなに大きな声って演出しないと出ないと思っていて。

田淵「出ないですよ」

――小声で「あ~、気持ち良い~」くらいで良いと思うんですよ。

田淵「AVって監督の頭の中にある勝手な妄想を、女優を媒介として伝えているから、僕は監督の頭とセックスしてるのと一緒なんですよ。そう考えるとすごい気持ち悪いんです。他の男の脳を媒介してる女性としてるってことは、僕はこの男とセックスしてるのかい? って。でもそれを言っちゃうと勃たなくなっちゃうんで、考えないようにしてます」

――すごいホモソーシャルな現場だとは思いますね。

田淵「どうしても台本ありきですからね。横で監督が『もっと盛り上がって!』『はい、イクよ、イクよ、イクよ~!』って声出してますからね」

――その「イクよ」に合わせて男優さんが……。

田淵「『ああああああ!!!』って。それが現実です」

◎本当はニャンニャンしたい

――最後に、田淵さんは、どんなふうに“される”のがお好きですか?

田淵「古い言葉ですけど、わりと『ニャンニャン』って感じが好きなんですよ」

――ほお。

田淵「和気あいあいと」

――お互いにニャンニャン?

田淵「そう。チュッチュ、ニャンニャンって。いわゆる可愛らしいやつ。僕の先輩はハードボイルドな人ばかりだったんで、『男はこうやって女を愛せ』みたいな『男は女がニャンニャンしてきたら、大人の対応でスッとかっこ良く受け入れろ』っていうセックスを覚えちゃったんです」

――男はニャンニャンしちゃいけないって思ってたんですね。

田淵「そう。だけど根本はニャンニャン、ゆる~い感じが本当は好き……。いろんなことやらされすぎて、どんなパターンでも対応はできますけどね」

――乳首はどんな刺激がお好きですか?

田淵「軽めです。乳首をすごい噛んでくる人いますけど、そういう人って自分がやってほしい強さを必ずやってるんですよ。男もそうなんですけど、チューーーーって思いっきりベロベロする人って、自分がそうされたい強さなんですよ。そういう場合は『もうちょっと優しく噛んでください』って言わない限り相手はわかんないですよね」

――でも相手の女性は強く噛んでほしいんですね。それを察知してそうしてあげる、と。

田淵「そうします」

――「相手に責めさせてみれば、どうしてほしいのかわかる」ということですね。おへそとか耳とをペロペロされるのは好きですか?

田淵「昔、体が弱かった時はくすぐったくて嫌だったんですけど、身体が強くなってからは気持ち良くなりました。くすぐったがりって脾臓が弱くて、身体がちゃんとできてない人なんです」

――フェラチオはどういう風にされたいですか?

田淵「わりと強めが好きです。でも、あんまり強くされるとイッちゃいますけどね。イッちゃって口の中に出して良いなら良いんですけど、出してもOKな人のほうが少ない、かな? たまに精子を喜んで飲む女性もいますけど、多分こういう女性は少数派なんだろうなと思ってます」

――ではお尻は?

田淵「アナルは健康度と密接な関係があって。健康な人っていっぱいうんちが出ていて、アナルがしっかりしているので、いじられるのが快感なんですよ。いじられるのを嫌がる人って便秘がちであんまり体の調子が良くない人。本当の健康体って、いっぱい汗かいて、いっぱい運動して、いっぱいうんちを出して、いっぱいセックスして……」

――とにかく身体の内側がいっぱい動いてるんですね。では、田淵さんはアナル責めは好きですか?

田淵「最近何となく慣れてきました。健康になってきたので。昔はすごい嫌だったんですよね。とはいえ、まだ快感まではいかないですけど、嫌ではないです」

――舐めるだけじゃなくて、アナルに指を挿れられるのはどうですか?

田淵「ちょっとくらいだったらいいですね。いわゆる前立腺マッサージは、上手い人だったらいいですけど、そんなに上手な人は多くないと思います。昔、前立腺マッサージが流行った時に、後輩に誘われて池袋の風俗でやってもらったことがあるんですけど、すごい上手い人で。知らないうちに出ちゃうっていうか、前立腺を触られると勃ってないのにイク感覚になるんです。その上、精子が出る時はめっちゃ上に飛ぶんですよ。感動しました。

男は前立腺を刺激すると勃ちが良くなるんです。男の前立腺ってアナルに指を入れて第二関節くらいの部分にあって、一本なら指に馬油とか付けると誰でもスッって入るんですよ。入れてクックックッて刺激すると、ちょっと押されるような、おしっこがでるような感覚になってくるんですけどね。絡み前に勃ちが良くなるのは、前立腺マッサージか田淵式スクワットです。勃ちが2~3割違います」

――なるほど。最後に、同書内で一箇所だけ疑問に思ったところがあったんです。「よく濡れるし、女らしくて感度もいいのは、身長150cm以下ぐらいで微乳の女性。26年で1万人を相手にした僕の経験則」。著名人だと矢口真里さん、miwaさん、谷亮子さんなどが当てはまりますが、感度って体つきに左右されるんですか?

田淵「僕のデータでは、左右されます」

――となると、150cmオーバーの女性は150cm未満の女性ほど気持ち良くなれないってことになるじゃないですか。

田淵「いや~、まあ、そう。まあ~、同じ女性でも人の感度はわかんないじゃないですか。だから、それはもう置いといていいんじゃないですか?(笑)僕ら男性でも、他人がどれだけ気持ち良くなっているかなんてわかんないですから。あくまで僕のビックデータの話なので。そんな『150cm未満の女性ほど気持ち良くなれないのか』なんて話は受け付けませんというか、知りません(笑)。でも感度良くするには体温を上げる、これは間違いありません」

――体温ですね、了解です。ありがとうございました!

利用客の大半は異性愛者女性。彼女らはなぜレズ風俗を利用するのか/『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』の人気キャストに会ってきた【01】

 姿見をのぞき込み、簡単にメイクを直す。ショートヘアに、シンプルなパンツスタイル。もともとメイクは薄く、それゆえかえって大きな瞳が際立っている。雑居ビルの一室は殺風景といえば、殺風景。小ぎれいに片づけられていて余分なものは何もなく、特徴的なものを強いて挙げるとすれば、カラーボックスに収められた、米国の人気ドラマ『Lの世界』のDVDセット。そして、ピンクの背表紙の本が1冊。手に取ると『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(永田カビ著、イースト・プレス)……今年の「Amazonのランキング大賞 Kindle本 コミック部門」で5位にランクインした、話題のコミックエッセイだった。

「準備、できました!」と明るくハリのある声とともにふり返る彼女こそ、同コミックに登場する“ゆう”さん(作中では“ゆか”さん)。大阪を拠点に女性同士の性サービスを提供する「レズっ娘クラブ」「ティアラ」の人気キャストで、この日もこれから予約が1件入っていた。同店のオーナーである御坊(おぼう)さんに「いってきます!」と明るく声をかけ、ゆうさんは事務所を後にした。

ゆうさん(以下、ゆう)「きょうは、初めて当店を利用するお客さま。女性同士のプレイも初めてだそうです。どんな方なんでしょうね、楽しみです」

 これからゆうさんは、事前に決めておいた待ち合わせ場所に向かう。途中まで同行させてもらった。

 事務所から数分も歩けば、そこは大阪一の繁華街。定番の待ち合わせは、百貨店の入口や、コンビニの前。女性同士がそこで落ち合っていても、友だち同士の約束にしか見えない。初めての利用の場合、前日までにその日の服装を店側に伝えることになっている。それをキャストが見つけて声をかけるので、ぎくしゃくすることなく自然に出会える。

女の子となら、怖くないかも

 同店にはいくつかのコースが用意されているが、最もライトなものは「デートコース」。文字どおり食事をしたりどこかに遊びにいったりデートを楽しむコースで、性サービスは含まれていない。一方で「ビアンコース」は基本的にホテルでふたりきりの時間を過ごす。この日の予約は、後者だった。

ゆう「実はお客さまのなかでレズビアンの方は少数派なんです。7〜8割はノンケ、つまり異性愛者です。既婚者の女性もめずらしくないですよ」

 狭い道を並んで歩いていると、前方から車が近づいてきた。さりげなく筆者を歩道側に誘導し、自分は車道側を歩くゆうさん。男性がことさらに同じことをすると鼻につきがちだが、ゆうさんのそれはとてもとても自然で、筆者は思わずドキッとしてしまう。同性にこうした気遣いを受けた経験は、これまで一度もない。

 異性愛者の女性がレズ風俗店を訪れる理由とは、いったい何なのだろう?

ゆう「初めてのお客さまにはなぜこのお店にいらしたのかを訊くのですが、ノンケ女性は『男性との行為で満足を得られないから』と答えられる方が多いですね。既婚者でもセックスレスだったり、パートナーの技術に問題があるのか相性が悪いのかはわかりませんがセックス自体を愉しめない。かといって浮気や不倫はできず、出張ホストや性感マッサージを利用するのも、なんだかコワイ。お話を聞いていると、みなさん、知らない男性と関係をもつことに強い抵抗があるのだと感じます。でも、知らない女の子とだったらできるかも……と思われるみたいですね。なかには夫公認で、お店を利用される既婚女性もいらっしゃいます」

 もともとのセクシャリティが何であれ、何かしら求めるものがあるから女性たちはレズ風俗を利用する。

ゆう「ちょっとした好奇心で利用される方もいれば、日ごろから生きづらさを感じていて、救いや居場所を求めて利用される方もいます。デートコースでもビアンコースでも、ふたりきりでいるとお客さまのほうからいろいろお話してくれるんですよ、家庭のことやお仕事のことを。それはしんどい状況やな〜と思うこともありますが、ここに来ることで気持ちが紛れたり何かを見つけられたりするのであれば、どんどん利用してほしいですね」

『さびしすぎて〜レポ』の著者・永田カビさんも生きづらさを感じていたが、同店を利用したのを機に自分のことを漫画にし、親から自立しようと思えるようになり、実際に行動した。

ゆう「このお仕事は一期一会のことも多いですが、お会いしたときに聞いたお話やそのときの様子から、その後どうしているんやろ、と気になるお客さまもいます。永田カビさんのこともずっと頭の片隅に残っていましたから、漫画を読んで、ああ、あの後そんな変化があったんや、とうれしくなりました」

 待ち合わせの場所に近づいてきた。外国人旅行客も多く、平日だというのにたいへんな人出だ。落ち合った後は、そのままラブホテルに向かうという。界隈にはラブホテルが点在しているが、東京から来た筆者には大阪のラブホテルは外装が派手なものが多いように見えた。入り口が、人通りの多い通りに面しているのにも驚く。女性ふたりで入っていくと目立つのではないか。

ゆう「あんまり気にしませんね。私が気にしないから、お客さまも気にしないよう努力してくれるみたいです」

がんばって稼いで、風俗へ

 この日は、ビアンコース250分の予約。料金は56,000円だ。そこにホテル代が別途かかり、途中で食事などをすればそのぶんも利用客の負担となる。決して安くはないことは、ゆうさんも重々承知している。

ゆう「アルバイトやお仕事をしてお金を貯めて、それでお店を利用してくれる女性も少なくないんです。お客さまの地元まで出張する場合は、往復の交通費も加算されますし、ほんとうに強い想いを感じますね。ふたりきりで過ごしているときにお仕事の愚痴や悩みを聞くこともありますが、私、思わず『無理したらあかんよ』っていっちゃうんです。風俗店のキャストとして上は『もっとがんばって稼いでくれたら、もっと会えるよ!』というべきなんでしょうけど、私はそういうことがどうしてもいえない。性分ですね(笑)」

 一方で、豪快にお金を使う女性もいるという。

ゆう「常連になってくれたお客さまは距離が近くなり、いい意味で気を遣わなくなって、近場をデートするとかホテルでずっと過ごすとか以外の過ごし方を希望されるようになりますね。旅行に連れてもらったり、普段行けない素敵な場所に連れていってもらったり。どうやったらお礼できるかな、裸になったら喜んでくれるかな……って、いままでさんざん裸で一緒に過ごしてきたのに(笑)」

 ゆうさんの話には常に笑いがある。待ち合わせ場所が近づき、「じゃあ!」と片手をあげ、歩く速度を速めて人混みに消えていったゆうさん。彼女はこれから4時間超、どんな女性とどんな時間を過ごすのだろう。

▼中篇に続く

(三浦ゆえ)

田淵正浩に直撃! 男優賞を受賞したベテラン男優が明かす「楽して効率良くセックスできる“健康法”」

 知的かつ紳士。そして素敵な仕事人。もっと多くのステージで光が当たるべき人物――AV OPEN2016にて男優賞を受賞したベテランAV男優・田淵正浩さん(49)をご存知でしょうか。

 田淵さんがデビューしたのは、22歳の大学3年生だった1990年1月。当時アルバイトをしていた工事現場の先輩に「俺、AV男優になるんだけど、お前に後輩になって欲しい」と誘われたのがきっかけだったそう。当時の男優さんは自己主張の強い人が多く、ビビリな自分が本業にできるとは思っていなかった田淵さんですが、もう26年もこの仕事を続けています。

 90年代といえば、ギラギラした“いかにもな見た目”で“わかりやすい必殺技”を持つ加藤鷹さんやチョコボール向井さんが一世を風靡していました。彼らと同期の田淵さんは、当時の自分を「いわゆる“ヘタレ”な男。体力もないし、意志もないし、だらしない。その辺にいるダメな人」と振り返ります。でも、どうして49歳になった今も20代の男優さんに負けないような、高いパフォーマンスを発揮できるのか。

 その理由は、体力の低下を実感した20代後半、ご自身の健康を見つめ直したことにありました。今では“AV業界屈指の健康マニア”と呼ばれるほど、身体とまっすぐに向き合ったのです。先日発売された、AV監督・二村ヒトシさんとの共著 『秘技伝授 男ノ作法 人生と肉体を変革させる性交法則』(徳間書店)には、そのすべてのメソッドが詰まっていました。

 そこで今回、同書を片手に田淵さん本人にインタビューを敢行! 田淵さん直々に「田淵式メソッド」のレクチャーをしていただきました。ベールに包まれた素顔、そして、田淵さんの代名詞でもある粘着質なセックスに秘められたまさかの事実にもグイグイ迫ります!!

「一番楽して、一番効率の良い挿入」とは

――まずはやっぱり「田淵式健康法」についてお伺いさせてください。大きくわけると「呼吸」「骨格」「骨盤可動域」「食事」。これらは女性も必要な「人間の体調を整えるためのメソッド」だなと思いました。田淵さんは撮影中に「指やペニスをガシガシ動かさないから痛くない」と女優さんからの好感度はナンバーワン。その上で完璧な勃起をキープなさる、という優れた身体能力を維持されています。本には「鼻呼吸をすることで、頭を冷やして、身体をあたため、持続的なセックスが可能」と記されていましたが、鼻呼吸の方法は「5秒で吸って、5秒で吐く」という間隔であってますか?

田淵「本当は吐く時間のほうが長いと良いんですよね。例えば5秒吸って、10秒吐くとか」

――一回息を止める、などはしなくて良いんですか?

田淵「方法はいろいろあるんですよね。止める人もいるし止めない人もいます。僕が習ったところでも『息を吸って、1~2秒止めて、空気を味わってから吐いてください』っていう人もいれば『一回も止めちゃダメ』。っていう人もいて。ご自分のお好きな方法でやってみてください」

――次に「骨格」「骨盤可動域」。「人間の立つ、歩く、座るといった基本的な動作には、その態勢を何時間でもキープできるような、骨格に基づいたポイントがあります。田淵式骨盤トレーニングは、骨盤を前後左右に揺らすストレッチ。30~50回を朝昼晩の3セット 継続的に行えば、だんだんと可動域は広がり、無駄な動きがなくなります」とのことですが、こちらも女性に有効ですよね。

田淵「そうですね。カーヴィーダンスってあったじゃないですか。あれは同じ骨盤運動ですよね」

――確かに。ベリーダンスにも似てますよね。

田淵「そう。ベリーダンスって動いているのは骨盤のみで、上体は動いてないんですよ。あの動作が理想です。ベリーダンスが上手な人はセックスも上手いんですよ」

――見るからに上手そうですもん。

田淵「あははははは(笑)。セックスが下手な人って身体の使い方が下手なんですよね。上半身だけ動かして下半身がまったく動いてなかったり」

――それはまったく意味ないですね。

田淵「でも男優でも女優でも、そういう昔の僕みたいなおバカの人がいるんですよ。本当は僕がそういう人のところへ行って『もしもし?』って教えてあげたいんですけどね。人間の動作の『歩く、座る、起き上がる』って全部、骨盤の出力で動いてるんですよ」

――手だけじゃなくて、必ず骨盤から動いている、と。

田淵「はい。鞭と同じです。鞭をパーンって放つ時、最初に力が伝わるのはグリップなんですね。その後に先端がパッと動くじゃないですか。でも、しっかりと先端に力を伝えるには、どこも力んじゃだめなんですよ。エネルギーが綺麗に伝わらない」

――そうですね。力を抜くって難しいですよね。

田淵「セックスも一緒。グーって力が入ってるとエネルギーが手前で死んじゃうから、肝心な部分まで伝わらないんです。一番楽して、一番効率の良い挿入は、軽く腰を持って浮かしてあげて、フニャフニャになった骨盤でパーン、パーンって力を加える方法です。鞭のように使うんですね」

――乗馬みたいですね。何より省エネ。

田淵「ええ、楽ですよ。全然頑張ってないですもん」

食事で早漏改善

――そして「食事」。田淵式食事法の4つのポイントは「①身体を温める食事を摂る」「②水分を多め (1日4リットルほど) に摂る」「③よく噛む」「④栄養バランスの良い食事」。③の「よく噛む」ことで唾液が分泌されるんですね。唾液が分泌されておらず、口が乾くと、口臭の原因にもなってしまうので要注意、と。女性にとっても重要なことですね。

田淵「もちろんそうです。僕はこの食事法で早漏が改善しました」

――食事と早漏にはどのような関係があるんですか?

田淵「“身体を締める食事”というのがあるんです。まず身体は、硬く締まって熱がある『陽性』と、冷え性で柔らかい『陰性』にわかれます。早漏ってどちらかと言うと『陰性』なんです。早く出ちゃうということは締まってないんです。硬くする=締めるには、陽性の食品を食べることです。お肉、根菜類、小豆とか黒ゴマなどの小さくてぎゅっと固まっているもの。根菜以外の野菜だと、夏野菜は身体を冷やすので冬野菜が良いですね。それらを意識して摂取した上で田淵式食事法を実践するんです。並行して筋トレもしながら。そうすると、身体がグッと締まって、僕は早漏が改善されました」

田淵式ハグ&キスのヒントは「骸骨をイメージすること」

――本書の中で、実は難しそうだと感じたのは「立ってソフトキス、徐々に激しく。ベッドに移動してまたソフトキスからやり直し」という田淵式キスだったんです。ポイントは「舌の動きをパターン化しない」「意識しない動き・流れ・全身の力を抜く」と記載されていましたが、緊張しちゃって上手くできないとか、どうしても意識してしまうとか、流れに任せると強めになっちゃうという方も男女問わずいると思います。「無意識」って難しくありませんか?

田淵「基本は、硬くキスしてからフッと緩めるんです。抱きしめる時も同じ。その癖がつくとどちらも柔らかくできますよ」

――大きなポイントですね。

田淵「力を抜くと言っても動けなくなるほど脱力するってことじゃないですよ。僕が言ってるのは『骨で動いてください』ってことなんです。筋肉に力を入れちゃうと疲れちゃったり余計な力が加わってしまうので」

――筋肉と骨って別々に考えられない人がほとんどではないでしょうか?

田淵「そうですね。でも分離して考えたほうが生活しやすいんですよ。どうしても男性は女性よりも筋肉が多くて、筋肉が自慢になっちゃうおバカな生き物で、『チンコでかい』とか、女性では考えられない自慢をしちゃいますよね」

――女性でもおっぱい自慢さんとかいますよ。

田淵「そうですか(笑)。ま、なるべく筋肉は使わずに力を抜いてほしいんです」

――身体を動かす時に「骨だ、骨だ」と意識することで出来るようになりますか?

田淵「そうですね。自分を骸骨だと思うんです。骸骨って骨でしか動かないじゃないですか、骨しかないですし。なので骸骨をイメージしながら身体を動かすと、歩くのさえ楽ですよ」

――骸骨歩きですか。

田淵「わかりやすく言うと、自分の骨しかない身体を地球の中心に向かって倒すだけなんです。そうすると、まったく地面を蹴ってない=筋肉を使ってないから、いくらでも楽に早く歩けるんです。昔の日本人の歩き方は絶対これなんです」

――へえ。

田淵「センターに軸のある一軸歩行(軍隊式の歩行)だと着物がはだけちゃうので、着物文化で一軸歩行はあり得ないんです。なので、日本人は竹馬に乗っているような感覚の二軸歩行が向いています。肩甲骨と骨盤と同じ幅の竹馬を二軸、身体の中にイメージして前に倒すだけです。ずっと竹馬に乗ってるような感じ。手を振ると一軸になってしまうので、手を体の横に置いたままで」

――地面を蹴らなくて良いし、手も振らなくて良いんですね。

田淵「そう。蹴って歩くと身体がねじれて、腰痛になって長く歩けないんです。屈強な欧米人は一軸歩行でも耐えられるけど、小柄な日本人は二軸歩行が普通なんです」

――大変参考になりました。

田淵「僕は楽して一番効率が良いことが好きなんです。部分だけ使うと身体が疲れちゃって上手く機能しないんですよ。身体全体を使うとすべてが活きるから健康になるんです」

〈次回は、田淵さんの謎に包まれた私生活、そしてプライベートの性癖に迫ります!! ご期待ください☆〉

少女凌辱エロ漫画がなぜ女子に支持されるのか。「知るかバカうどんファン」インタビュー

殴られ、蹴られ、犯される。可愛い女の子が血まみれになり、目も当てられないほど凌辱される漫画を描く女性漫画家の知るかバカうどん。初の単行本『ボコボコりんっ!』(一水社)は、品薄となり重版が決まったほどの人気だ。彼女が登壇するイベントの最前列には女性ファンが並び、Twitterでも登場人物のコスプレをする熱狂的な女性ファンの姿が見られるように、愛読者は男性に限らない。女の子が酷い目に遭う漫画とその作者は、なぜ女子に支持されているのか。2名のファンに、その理由をうかがった。

香菜さん(仮名)「怖いけど見たくなる。女性が安心できる凌辱エロ漫画」

──知るかバカうどん先生(以下、うどん先生)の漫画は、ジャンルとしては男性向けアダルト漫画です。女性である香菜さん(仮名)が、うどん先生を知ったきっかけは何でしたか?

香菜 インターネットで、少女の誘拐をテーマにしたクジラックス先生の漫画「ろりともだち」(単行本『ろりとぼくらの。』に収録)を知りました。当時、実際に誘拐事件があったので、なんだか気になって。その後、似たテーマの漫画を探していたらうどん先生の作品にたどり着きました。

──うどん先生の作品はエロだけでなく過激な暴力表現が特徴ですが、抵抗はありませんでしたか?

香菜 抵抗がないとは言えません。でも、暴力を振るわれる女の子側に、その子の背景があるところが好きでした。殴られてエッチなことをされるためだけに存在するのではなく、普段は部活を頑張っていたり、好きな男の子がいたり。ただの暴力コンテンツや凌辱エロ漫画とはちょっと違う印象です。それと、もともと後味の悪い「鬱展開」があるストーリーが好きなんです。怖い話やモヤッと終わるお話って、好奇心で気になっちゃうじゃないですか。うどん先生の漫画も好奇心の強い人がつい見ちゃうんじゃないでしょうか。エッチな気分になりたいというより、怖いものやヤバいもの見たさのほうが強い。

── 一番好きなお話はどれですか?

香菜 全部好きで、選べないんですけど……同人誌『JS★ボコボコりんっ!』のオヤジギャグとかが好きです。おじさんが女の子に「ぴーちくぱーちく五月蠅いねん いうても今、七月やけど」って言う(笑)。うどん先生の漫画って暴力やエロなのに笑っちゃうときがあります。

──2016年11月11日の高円寺でのトークイベントやTwitterなどで、うどん先生も「暴力表現のあるアダルトビデオを見て笑ってしまう」とおっしゃっていますね。

香菜 女の子の顔面を酒の瓶で殴るとか流産目的で妊婦のお腹を蹴るとかは、現実の世界ではやってはいけないことです。だけど、うどん先生は「漫画の中でとことん酷いことをする」を突き詰めています。「悲惨すぎて抜けない(笑)」って言う男性もいるくらい。突き詰めすぎてギャグみたいになっている面と、安心できる面があると思います。

──うどん先生の漫画を読んで、安心するんですか?

香菜 はい。まず読み終わったあとに「これはフィクションだ」と思える安心です。読んでいる最中は、怖い、酷いという思いが強いし読後感も悪い。でも、「ここまで酷いことは、自分の身に起こったことがない。自分の人生はまだマシだ」と思って安心します。だから、つらい気持ちのときに安心したくてうどん先生の漫画を読むこともあります。

もう1つは「幼女・少女が『神聖なもの』として描かれていない」という安心感もあります。例えば、『おさんぽJKいちごちゃん』のJKリフレで働くいちごちゃん。いちごちゃんには好きな男の子がいて、リフレで働くのはその男の子のため。だからお客さんを大切に思えずバカにしている、という女の子側の感情的な背景が描かれます。現実にJKリフレで働いている子や援助交際をしている子なども、そういうことをしている時間だけがその子の全てじゃない。エロとは別の時間や人間関係を持つ女の子たちの「人間らしさ」がわかるのは、うどん先生ならではだと思います。

──アダルト漫画が好きだと言うと「エッチな子だ」と決めつける人もいると思います。そういう経験はありますか?

香菜 ありますね(笑)。うどん先生のファンだとTwitterに書いたら、男性から「君は、こういうことをされたいんだね^^」というリプライが来たこともあります。うどん先生の漫画の魅力は、暴力を振るわれたりレイプされたりする女の子が、最後までエッチで気持ちよくならないところ。「少女が『神聖なもの』として描かれない安心感」に近いですが、女の子は基本的には暴力・レイプなんてされたくないし、気持ちよくないと思います。うどん先生はそこを誤魔化しません。この人はちゃんと読んでないなーって笑っちゃいました。

──アダルト作品の中で女性の「人間らしさ」が描かれていることは、女性にとって魅力的ですか?

香菜 はい。表現方法は全く違いますが、女性向けAVを見るときの安心感にも似ています。男性向けAVのレイプシーンで女性が気持ちよくなる演出を見ると、男性のために作られた人形みたいで気持ち悪い。でも、女性向けAVでは、女性の感情の変化や性的な気持ちよさに配慮されています。うどん先生の作品の女の子にも感情があって、性暴力を嫌がり、痛がっている。どちらも「女性が感情ある人間として描かれている」のが共通点です。それは魅力だと思うし、私にとっては見やすいアダルトコンテンツ。世の中のアダルト作品が、どんどんそうなっていくといいのになって思っています。

みっつうさん「うどん先生は根が真面目な人。凌辱エロは本質じゃない」

──みっつうさんは、うどん先生が商業誌で話題になる前からのファンなのですね。きっかけは何でしたか?

みっつう はい。うどん先生が二次創作で同人誌を出していた頃からのファンです。うどん先生の『ニコ生はたたん』という二次創作の同人誌を知ったことがきっかけでした。

──うどん先生の作品の、どんなところに惹かれたのでしょうか。

みっつう 漫画を読んで「この人は、自分の体験や気持ちを描いているのかな」と感じました。何かつらい経験があって、それを昇華するために作品を作っている気がして。同人誌のあとがきにも、それをにおわせるコメントがあったんです。私は当時から、引きこもりながらインターネットで音楽活動をしていたので、体験を作品で昇華する姿勢に共感しました。

──うどん先生はインタビューで「JKリフレで働いていた」や「(幼少期は)殺されるかもしれないと思っていました」「だいたい、ホンマの話しか書いていないんですけど……」と話されていたのが印象的でした。今も商業誌の作品に実体験が生かされているのだと思います。同じインタビューで「ヌキどころが自分でもわからなくてダメやろうな」と先生自身がおっしゃっています。みっつうさんは、うどん先生の作品をエロ目的で読むことはありますか?

みっつう もちろん、エッチな部分が読みたい場合もあります。個人的には、ドラッグやハーブを使ったセックスの描写が好きです。ただ、うどん先生の作品の多くで女の子がレイプされますが、女性にとって、犯されるということはセックスではありません。犯されることは、傷付けられることとイコールです。うどん先生の作品は「エロ漫画」というジャンルにまとめられがちですが、実はエロ部分は、先生の暴力表現の一部だと思います。

──確かに、女の子がお話の最後まで泣いて痛みを訴えるのは、それがセックスではなく暴力だからかもしれません。他には何を求めてうどん先生の漫画を読むのでしょうか。

みっつう うどん先生の漫画には名言が多く、私はそういう言葉も好きです。同人誌『ニコ生はたたん』の「幸せは他人に願うものではなく 自分で掴み取るもの」とか。社会や自分の経験に関するメッセージが含まれた作品だと感じます。

──例えば、どんなメッセージが感じられましたか?

みっつう 作品の中で、ホームレスや障害者など社会的弱者が、さらに弱い者である女児を痛めつけるカットがあります。それは、どうしようもない不条理さや、多くの人が目を背けている社会の暗い部分です。それを「かわいそう、不幸だ」と言うのは簡単だけど、うどん先生は「じゃあ何ができるの?」と訴えていると思います。暴力表現やエロ表現は目を引きます。でもそれは、先生がメッセージを見てもらうための工夫や装飾として利用しているだけだと、私は想像しています。

──古参ファンであるみっつうさんから見て、うどん先生はどんな方ですか?

みっつう 実際にお会いしてもインタビューなどを読んでも、とっても真面目な方だと感じます。忙しい中、Twitterでファンからのリプライには「いいね」を返してくれるし、ファンが送った画像やプレゼントはほとんど保存しているみたいです。ファン想いな人。

──2016年開催の児童買春をテーマにした企画展「私たちは『買われた』」に対する、先生の「よくある話」「こういう出し物してお金稼いでる人たち見て心底吐き気がした」などの感想が話題になりました。「酷い」「被害児童をあざ笑っている」と感じた人もいたようです。

みっつう 世の中のアンダーグラウンドな部分を身をもって知っている先生。だから、本人にとってはただの素直な気持ちでも「酷い」「過激」と思われる場合があるのかもしれません。その内容が世間的に正しくても間違っていても、ご本人の経験に基づいて発言しているところを信頼しています。頭でっかちでなく、芯があるからアンチも増える。だけど、だからこそファンを超えて信者になる女性も多いのではないでしょうか。

──どんな女性がうどん先生のファン、信者になっているのだと思いますか?

みっつう うどん先生の描く「報われない話」は、先生の経験や感情が投影されているから、うどん先生自身を知ることができたように感じ、距離が近く思えて応援したくなります。「描きたいものしか描かない」と公言する先生が、万人には受け入れられない表現を使って大きく成長していく。それは、例えば虐待被害者やナイトワーカーなど、私を含め、世の中に受け入れてもらえないと感じている女性の救いになっていると思います。

──今後のうどん先生に、期待していることはありますか?

みっつう 自由でいてほしい。商業誌に進出し、制約も増えたと思いますが、描きたいことを描いて、もし描きたくなくなったら漫画を辞めてしまってもいいと思っています。先生が自由に生きてくれること自体が、私を勇気づけてくれます。

***

知るかバカうどん先生の作品を初めて読んだとき、アダルト漫画という先入観があり「ここまでの悲惨さを男性はエロに求めているのか?」と怖くなった。うどん先生を批判する人もそんな恐怖感を持ったのかもしれない。

そのため、女性ファンお二人が「安心」「救われた」と感じていることに驚いた。男性に都合よく作られがちなアダルト作品の世界で「描きたいものを描く」と自分を貫くうどん先生の姿は、女性をエンパワメントしている。また、実体験をベースにすることで、理解されない生きづらさを抱える女性の支えになる。それを知って改めて作品を読むと、暴力やレイプを推奨しているのではなく、むしろその惨さを描き続けていることに気づかされる。トークイベントで作品を褒められて「そんなのどうでもいい!」と照れたうどん先生。その表情の可愛さや、任された仕事を全うしたいという真面目な姿が印象的で、今も頭に残っている。
(聞き手・文 むらたえりか)

『逃げ恥』ラスト、籍を入れない幸せの形とは?「永久就職」は万人の逃げ場にはならない/最終回レビュー

 20日に放送された『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の第11話が平均視聴率20.8%を獲得。初回からじわじわと視聴率を更新し続けた結果、見事、有終の美を飾りました。「女性の幸せ=永久就職」という大昔の負の遺産に真っ向から立ち向かうという、現代社会においてちょっとリアルな内容だった最終回。死ぬほど可愛いみくり(新垣結衣)と異常に優男な平匡さん(星野源)みたいなカップルが実在するかは別ですけども。

 前回、大好きな平匡さんからのプロポーズを、その小賢しさで台無しにしたみくりはモヤモヤしながら落ち込んでいました。そのモヤモヤとは、「専業主婦として生活費を受け取ることは、最低賃金と同じだと思う」「専業主婦は雇用主である夫しか評価できない=生活費+愛情という評価がほしい」「でも愛情は数値化できず不安定。その上、時間も無制限」と、良い雇用主のもとでストレスなく働けるなら良いかもしれないけど、こんなブラック企業まがいの労働環境でやっていけるか……という不安。そして、これらすべてを平匡さんに説明します。わざわざフリップを買い込んで。

 平匡さんは、フリップが出てきた瞬間こそ驚いたものの「説明したいという気概を受け止めました」とポジティブ変換。さらに、「主婦も家庭を支える立派な職業」「夫婦を雇用主と従業員と位置づけるのはおかしい、303カンパニーの共同経営責任者としてみてはいかがでしょうか?」と、家事の分担を提案しました。あの、代行を雇うほど家事が苦手な平匡さんがですよ? 優しすぎる!! もちろんみくりは食い気味に賛成です。しかし、やっさん(真野恵里菜)の誘いで副業している“青空市(商店街のイベント)”の準備に時間を取られてしまい、みくりの心に余裕がなくなっていきます。そんな矢先、事件が起きてしまうのです。

 平匡さんは、お風呂掃除をしていたら、みくりに頼まれたお米を炊くことを忘れてしまいます。みくり激怒。気まずい平匡さんは、仕事に集中するみくりに声をかけずに就寝します。パソコンに向かうみくりの後ろ姿を、声をかけるか悩みながら見つめる平匡さんが可愛すぎたのはさておき。平匡さんが自室に入ると、みくりは「今日の私は最低だった」と頭を抱えます。「余裕がないと途端に本性が現れる。生意気で偉そうで小賢しいみくりが」「平匡さんが愛したのは、家事は完璧で、いつも笑顔で優しい理想の妻で、お米ひとつで酷い態度を取る女じゃない」と泣いちゃいます。

 その間、平匡さんは、ベッドに座って穏やかな顔で温泉旅行での2ショット写真を眺めているんですけどね。もっと言うと、みくりがプロポーズを受けた後に後悔していた発言「好きの搾取」をも、平匡さんは「(僕は)いつの間にこんなに思い上がってしまったのか」と反省していたんですよ。誰に何を言われても、相手を責めずに自分に非があったと自省する平匡さんって、“自尊心が低い”とは違って、べらぼうに優男じゃないですか。何でも受け入れてくれる平匡さんに、ボロが出ちゃうのもわかります。でも、平匡さんが愛したのは「家事は完璧で、いつも笑顔で優しいみくり」だと思っている間は、勝手に追い込まれちゃうんですよね。

 そんなみくりの余裕のなさを察した平匡さんは、穏やかなトーンで「家事分担をやめませんか?」と「できるほうがやる制度」を提案しようとするのですが、懲りずに皮肉を言ってしまうみくり。そして、「やめるなら、今です。平匡さんも面倒ですよね」「小賢しいことを言わないで、平匡さんのプロポーズを素直に受け止めてくれる女性はたくさんいます。それが普通です」とお風呂にこもってしまいます。困り顔の平匡……。さすがの優男もお手上げか? と思ったのですが、微笑みながらこんなナレーションが聞こえてきました。

「みくりさんが閉じたシャッターは、いつか僕が閉じたものと同じかもしれない。だとしたら……僕は開け方を知っている。何度も何度も呆れるほど、見捨てずにノックしてくれたのは、他の誰でもないみくりさんだ」

 すごいの一言。そして、お風呂の前に移動して「生きるって面倒くさいんです。それはひとりでも2人でも同じで。どっちにしても面倒くさいんだったら、一緒にいるのも手じゃないでしょうか」「みくりさんは自分のことを普通じゃないと言ったけど、僕からしたら今更です。とっくに知ってました。世間の常識からすれば、僕達は最初から普通じゃなかった」「青空市楽しみにしてます。おやすみなさい」と言い残し、笑顔で去っていくのです。みくり号泣。私も号泣。そして泣きながら「上手くいかない時に待ってくれる人、信じてくれる人。見失っちゃいけない」と気付くのです。主題歌『恋』のオルゴールバージョンのBGM、2人の柔らかい声質、みくりの涙……。泣かせる演出です。

 そして、青空市当日。現地には、平匡さんを始め、主要出演者全員が集結☆ 平匡さんと2人きりで、「青空市を通して、私の小賢しさが喜んでもらえて、小賢しいからできる仕事もあるって気づきました」と清々しい顔で語るみくり。すると平匡さんは、「小賢しいって相手を下に見て言う言葉でしょ。僕はみくりさんを下に見たことはないし、小賢しいなんて思ったことは一度もありません」と、みくりのコンプレックスをさらっと解消してくれたのです。これにはみくりも嬉しさが爆発し、みんなが見ている前で平匡さんに抱きつきます。耳元で「ありがとう、大好き」と言いながら。良かったね、みくり!!!

 そして、百合ちゃんと風見さん(大谷亮平)はと言いますと。百合ちゃんは、どうしても年齢を考えてしまい、「無理なの」と風見さんを振りました。風見さんは「これからも一緒に飲もうね」という百合ちゃんの申し出を断り、疎遠になってしまいます。ちなみに田島くん(岡田浩輝)も「あの人は息子の母親がほしいだけ」で、すでに「終わってる」とのこと。現実的に考えて、47歳の女性が17歳年下の男性と付き合うって、なかなか勇気がいるわけで。

 とはいえ、いわずもがなですが、百合ちゃんと風見さんは青空市で再会。風見さんは再度告白するのです。すると百合ちゃんは「私も好きよ。先のことはわからないけど、今の気持ちに素直になってみてもいいかなって」と今度はOKの大どん・でん・返し! さらに、抱きついてきた風見さんの耳元で「会えなくて寂しかった」と甘えます。よかったね、百合ちゃん!!! 19歳差の吉田美和と鎌田樹音夫婦、13歳差のほしのあきと三浦皇成夫婦、11歳差夫婦の菊地凛子と染谷将太夫婦だって実在しますもんね!

 さらに、百合ちゃんの部下・梅原(成田凌)は同僚の堀内(山賀琴子)にゲイをカミングアウトし、アプリで知り合った「絶対に気が合うのに、絶対に会ってくれない」という気になる男性に青空市に誘われます。そして、そのお相手こそ沼田さん(古田新太)なんですね~。ようやく会えた2人はニコニコ! そして、日野さん(藤井隆)の家族登場の際には、実嫁・乙葉が登場! みんな笑顔で、よく出来たハッピーエンドを迎えました。

 結局、みくりと平匡さんは籍なんてどうでも良くなり、事実婚のまま終わった本作。「早く結婚して仕事辞めたい」「専業主婦になりたい」と嘆く女性に一石を投じ、専業主婦の労働を改めて見直すきっかけとなった人も多いでしょう。「恋愛」「結婚」とは万人にとっての「安心できる逃げ場」ではないですよね? という問題提起とも思える作品でした。それにしても。量産型ママタレ、パパタレのように多くは語らずとも、夫婦円満が身体中から滲み出ている藤井隆・乙葉夫婦には驚きました。

(ドラマウォッチャー:ナチョス)

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『逃げるは恥だが役に立つ』レビューはコチラから!

▼アンチすら虜にする『逃げるは恥だが役に立つ』の星野源がズルすぎる!

▼恋人の定義がぶっ飛びまくり! 号泣超展開『逃げるは恥だが役に立つ』/第四話

▼恋愛の美味しいとこだけ食べる宣言の『逃げ恥』、恋愛や結婚を無条件に良いものとしない価値観/第五話

▼入浴&キスシーンとガッキーの勝負下着! 視聴者しか恋心と結び付けない“不思議ドラマ”/『逃げ恥』第六話

▼キスは良いけど性行為は無理、な臆病メガネに絶句/『逃げ恥』第7話レビュー

▼問題は「男なのに、女なのに、ゲイなのに」というレッテルではなくて/『逃げ恥』第8話レビュー

▼「与えられた価値に押し潰されそうな女性」を安心させようと、女性が泥をかぶる不条理/『逃げ恥』第9話レビュー

▼想像以上の濡れ場!『逃げ恥』竿おろし回で最高平均視聴率獲得/第10話レビュー

★その他ドラマレビュー

タモリとSMAPの濃密な関係に涙…最後の『SMAP×SMAP』と紅白出場

 SMAP解散まであと10日あまり。冠番組『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)も、12月26日の特別版放送で最後だ。実質最終回である通常放送がおこなわれた19日の内容は、タモリ(71)をゲストに招いてのビストロSMAPコーナーがメインだった。90分スペシャルでの放送となった19日の平均視聴率は16.3%と発表されたが、近頃は10%台を切る回も多くなっていただけに、この数字は久しぶりに叩き出した高視聴率であり、注目度の高さが伺えるというものだろう。ちなみに瞬間最高視聴率は午後10時56~57分の18.6%で、タモリが草なぎ剛(42)香取慎吾(39)ペアの料理に舌鼓を打ち、タモリのふん装をした香取がデザートの仕上げをするという場面だった。

 筆者はリアルタイムで同番組を見ていたのだが、やはりタモさんがそこにいるというだけで、この日はスタジオの雰囲気が最初から違ったように思えた。とはいっても、タモさんは特に張り切っていたわけでもなんでもない。いつものごとく飄々と、マイペースに振る舞っていただけのように見えた。だが、コーナーを仕切るMC中居正広(44)は明らかにテンション高く楽しそう(まるでタモさんのそばにいられることが嬉しくて仕方がない、というような)に進行していたし、タモさんとお互い“友達”であることを認め特に親交が深い草なぎ、同じく『笑っていいとも!』レギュラーで長年世話になった香取もどこかリラックスした表情で収録に挑んでいるかのようだった。

 番組内では、これまでのタモさんとSMAPメンバーとの共演シーンを集めたVTRが「タモリ&SMAPヒストリー」として流された。15歳当時の中居と木村拓哉(44)が光GENJIと共に(欠席メンバーの代理として)『MUSIC STATION』(テレビ朝日系)に出演しガチガチに緊張しきっている姿、そして同じく中居と木村が『いいとも』の「テレフォンショッキング」コーナーに初出演した際の姿が、特に筆者には印象深かった。あどけない少年そのものの顔をした二人、まだ幼さの残る屈託のない笑顔で「俺たち、同級生で……」とタモさんに話す木村の楽しげな様子。今年、あらゆるメディアでメンバー間の確執や深い溝を報じられてきた彼らだけに、「あぁ、この頃はまだなんの確執もなかったんだろうな。ふたりで『絶対スターになろうぜ』とか熱く語り合ったりしていたんだろうな」と、不覚にも涙ぐみそうになったほどだ。筆者は特別SMAPを応援してきてはいないし、もちろんファンクラブ会員でもなく、思い入れの強い“推しメン”もいないのに、それでも胸の奥に込み上げるものがあった。30年近くにわたり彼らの成長を近くで見守り続けていたタモさんはこの収録の日、きっと万感の思いがあったことであろう。

 「ビストロSMAP」はメンバーのうち4人が2組に分かれてゲストの要望に沿った料理を提供し、どちらがより美味しかったかゲストが勝者をジャッジするというルールだが、最後の判定はSMAPと長く濃いつきあいを続けていたタモさんらしいものであった。この日のテーマである「タモリさんに食べさせたい料理」を、稲垣・木村ペアのボリュームあるメニュー(しゃぶしゃぶ鍋に、油そば&羽つき餃子!)も、草なぎ・香取ペアの控えめなメニュー(さば寿司にさば蕎麦、デザート)もモリモリ食べていたタモさん。中居に判定を求められると「最終回だから判定はいいでしょう」「どちらもおいしかった」とし、5人全員に「長い間ごくろうさまでした」と星形のペーパーウェイト(おそらくバカラのザンザンスター、ネット上では早くも売り切れ続出の気配だ)をプレゼントしたのだ。SMAPメンバー5人に、5角形の星型オブジェを贈呈する。タモさんらしいなんとも粋な終わり方ではないか。筆者はまたここでもやや目頭が熱くなってしまった。

 各メンバーとの共演経験がいずれも豊富でプライベートの付き合いもあり(草なぎは初『いいとも』出演から4年後の97年正月にタモリ宅に4泊5日の滞在を許されたほど)、解散騒動が勃発した当初はSMAPがジャニーズ事務所を離脱してタモリ所属の田辺エージェンシーへ移籍するのでは、という話も濃厚だった。今回のラストビストロはその絆の深さを存分に見せつけるものであり、12月31日放送の『第67回NHK紅白歌合戦』にサプライズでSMAPが出場するという、ファンおよびNHKの“悲願”も俄然現実味を帯びてきたといえるかもしれない。

 20日発売の「週刊女性」(主婦と生活社)は、12月7日にNHKが「タモリがゲストとして紅白に出演する」ことを発表したのは、SMAPの出場に関係がある、と報道している。同誌には、出演する・しないと二転三転していたSMAPだが、現在ではメンバーも「ファンがあってのSMAP。最後はファンに向けてちゃんとお別れを言おう。すべてはファンのために」ということで意見が一致している、との芸能関係者のコメントが。ただ、NHKホールで生歌を披露するものではなく「ビデオレターのようなものでファンへのメッセージが流れます。収録か中継かなど、詳しいことはまだ決まってないようです」ともある。

 なんともモヤっとした話だ。紅白に出ると決めたのなら、「ファンにちゃんとお別れを言おう、ファンあってのSMAPだ」と彼らが言うのならば、NHKホールで生のパフォーマンスを見せて有終の美を飾りたいのではないだろうか。たった1曲でいい、25年という長きに渡って活動してきた国民的アイドルグループであるSMAPだ。これまで彼らの歌や踊りに励まされてきた人は世の中に大勢いるはずなのである。もちろん注目度をいっそう高めたいNHK側もそれを望んでいるだろう。しかし認められない、生歌唱は難しいという理由があるのだろうか。

 他方、12月10日放送のレギュラーラジオ『ヤングタウン土曜日』(MBS)では、明石家さんま(61)が「SMAPは紅白に出ないと思う」と私見を述べた。村上ショージ(61)が「ひょっとしたら出てくれるんじゃないかなって」と期待を込め、藤本美貴(31)も「ひょっとしたら、と信じたい」と続けたが、さんまは「一般の人はせやな。でも、俺は……ないと思うな、もう」と諦めのトーンであった。タモリとは異なる形で、SMAPメンバーたちと交流を持っていたさんまは紅白出場に否定的だが、果たしてSMAPは最後にどう動くのか。最後の最後、大晦日まで気になってしまう。

(エリザベス松本)

益若つばさブランドのSuGデザインパクリ事件、責任者としてありえない逃亡に非難! 会社よりタレント生命を優先?

 益若つばさがヴィジュアル系バンドのブランドのデザインを丸パクリした上に、「逃走&被害者面をしている!」と大炎上している。

 益若がパクったのは、V系バンドSuGのボーカル・武瑠がデザイナー兼プロデューサーをしているファッションブランド「million $ orchestra」のモチーフ。バラの茎部分を「holic」という文字の筆記体に変形させ、茎の先は「→」をイメージさせ尖っている、というデザインだ。一方、問題の益若がディレクターを務めるファッションブランド「EATME」のデザインは「holic」という文字を別の文字に変えた程度の差しかなく、デザインはほぼ同一。バラの葉の付き方、生え方など、細かな部分も全く同じで、たまたま同じコンセプトだったというレベルではない。

 このモチーフをあしらった帽子を益若がかぶっている画像を、武瑠のファンが武瑠のTwitterへ送り「もしかしてコラボですか?♪」と質問したところ、武瑠が「コラボじゃないです」とリプライ。さらに武瑠は「刺さったらその人中毒になる堕天使の矢。わざわざバラをリアルに撮影して、新しく作ったデザインだから。詳しくは分からないけど、これによって自分がお気に入りのモチーフを使いづらくなるのだけはやだな。。。」と自身がモチーフを作った時の経緯を明かした。これにより、一部で噂になっていた「どちらも同じ素材サイトやフリー画像サイトを使った説」も消え、益若がデザインを“パクった”ことが証明されたとして、SuGファン怒りの炎上はまだ収まる気配を見せない。

 その後、武瑠と益若の双方のTwitterやブログを見る限りでは、益若が直接、武瑠に謝罪したようである。益若のブログには経緯が細かく説明されているが、要約すると「明らかにパクリであったことは認める」「作ったのは会社のデザイナーであるが、益若がOKを出した」「益若と武瑠はブランドを通じて元々知り合いだったため、武瑠のショックはかなりのもの」「益若自身も会社に裏切られたと感じ、悲しみも感じている」「益若の商品はサンプル段階でまだ発売はしていなく、これで利益を得たということはない」。

 益若は謝罪を繰り返し、「まだまだ謝罪の言葉としては足りないかもしれません」と綴り、ファッションブランドを経営するものとして今回の事件をどれほど問題視重罪すべきか認識しているようだ。ところが益若がTwitterに「ご本人とやり取りをし、謝罪と経緯を話しました。これ以上は逆に迷惑をかけてしまうので消します」とコメント投稿し、ブログでは「悔しくて悲しくて一晩中泣きました」と被害者のような振る舞いを書いたことが、燃えさかる火にさらなる油を注いだ。

 益若の説明した経緯が事実ならば、益若自身が意図的にデザインを模倣したものではなく、「会社に裏切られたと感じ」「悔しくて悲しい」感情も当然あるだろう。だがブランドディレクターであり、広告塔として同ブランドの顔をつとめる立場であることを考えると、まるで被害者のような恨みつらみを綴るべきではなかっただろう。彼女のファンは同情し、「芸能人・益若つばさ」は守られるかもしれないが、ファッションブランド「EATME」を守ることは難しくなる。たとえば食品企業の製造ラインで異物混入などの問題が起こったときに、直接その作業に関与してない企業のトップが謝罪したとして、「この人は関係ないのにな~」と同情を寄せるようなものである。

 Twitterでは「売れたら自分の業績。不祥事は部下や仲間のせい。最悪な代表の典型」「全てディレクターである私の責任です。すみませんでした。でいいじゃんそれだけでいいじゃん。みんなトップはそうやって公には言って、裏で会社の人達に怒って注意したり家で泣いたりしてるよ」「保身しかできないならその立場から降りて一人でやれよ」「普通の企業なら倒産レベルの謝罪文」と益若に対する批判が収まる気配はまだ見えない。
(プラント)

ありのままを見つめられない男性には、「心の醜形恐怖」がある? 「男性論ルネッサンス」検証

『非モテの品格 男にとって「弱さ」とは何か』(集英社新書)の著者・杉田俊介さんと、Twitterで「男らしさ」について積極的にツイートされているまくねがおさんによる連載「男らしくない男たちの当事者研究」。今回から複数回にわたって、現在の「男性論ルネッサンス」について、3冊の本を取り上げます。

「おっさんバッシング」はしてもいい?

杉田 さて、「男らしくない男たちの当事者研究」第二回目です。

ここ何年か、いわば「男性論ルネッサンス」とでも呼ぶべき活況になっています。それらの中から田中俊之『〈40男〉はなぜ嫌われるか』(イースト新書)、坂爪真吾『男子の貞操』(ちくま新書)、二村ヒトシ『すべてはモテるためである』(文庫ぎんが堂)の三冊を取り上げてみることにしました。今回は田中さんの本が中心になると思います。

「草食系男子」の話などもあわせて、これらの著書は「男性問題」を自分のこととして考えたい、と思う男性たちの有効な手引きになりそうです。将来、若い人や子どもたちが性や恋愛で悩んだ時にも勧められそうです。それぞれのアプローチの違いも、なかなか面白いですね。恋愛や性愛のことで悩むヘテロ男性たちにも、色々な選択肢や対処法があった方がいい、と思いますしね。

まくさんは最近の男性論ルネッサンス的な状況については、どうですか? 我々の当事者研究も、その流れの中にあるわけですけれども。

まく 田中さんの『はなぜ嫌われるか』が2015年、坂爪さんの『男子の貞操』は2014年、二村さんの『すべてはモテるためである』が2012年に、それぞれ出版されているわけですよね。確かに、一昨年ぐらいから男性論をテーマにした本が沢山出版されている印象が僕もあります。

僕は1、2年前に、この三冊の本に初めて目を通しました。今回、三冊ともあらためて読み直してみましたがとても面白かったですね。それぞれアプローチ方法が違っていて。読み比べするのも、楽しかったです。

杉田 ちなみに女性たちの側からも、渋谷知美さんや奥田祥子さん、水無田気流さんらが男性論を書いています。そのうちこれらについても話し合えればいいですね。

男性論ルネッサンスの背景には何があるのか。ひとつは、まず日本の戦後型の男性像(男らしさ)が大きく変化しているということ。たとえば働き方も企業の終身雇用が当たり前ではなくなったり、男性の非正規雇用も増えていたり、あるいは恋愛や性愛、家族のあり方も根本的に考え直さねばならなくなってきた。少なくとも、それらはすでに自明のものとはいえない。素朴にそういうことがあると思います。

それに加えて、最近よく指摘されることですが、シスヘテロのマジョリティ男性たちの葛藤や鬱屈を公の場で語るという社会的な回路があまりない(ように思える)こと。強くてデキる男性、男らしい男性としての自分について語る言葉はあるけれど、いったんそういう「男」から脱落すると、ひたすら黙って耐えるしかなくなる。そういう言葉の無さをこじらせると、ねじれた被害者意識になってしまったりする。それをマジョリティかマイノリティか、という話として論じられるのかどうかについての疑念も、前回、話題にあがりました。そういう状況の中で、男性学・男性論的な語りが様々な形で出てきているのかな、と。

まく いま杉田さんが挙げてくれた背景に重なるのかもしれないですが、田中さんの『はなぜ嫌われるか』を読みながら顕著に感じたのは、男性論的な語りが注目され始めているということでしょうか。もっと言うと「鬱陶しいおじさん」叩きみたいな言葉が売れるというのかな。

そういう意味では、読みながらとても複雑な気持ちにもなりました。田中さんが言うように、「鬱陶しいおじさん」にはなりたくない。でも、「ああはなりたくない」という気持ちであれこれ考えるのって、おかしいんじゃないのかな、という気持ちもあったりして。そうした息苦しさというか、モヤモヤを男性たちが感じ始めている。それも、男性学・男性論的な本が多く出版されている背景なのかもな、と思いましたね。

杉田 確かに差別を批判するリベラルな人たちの中にも、「中高年男性批判」「おっさんバッシング」はしてもいい、というタイプの人を時々見かけますね。それを単純に「男性差別だ!」とまで言えるかどうかも微妙なところがあり……そういうもやもやっとした感じがつねに付きまとうようなところはありますね。

というのは、そこには同時に、シスヘテロでマジョリティの男性たちが男性問題を自分の言葉で語ることの危うさが見え隠れしてもいるからです。被害者意識にもとづくバックラッシュになりかねないところがある。大きな話になってしまうけれど、近年の国内の「日本会議」的なものに象徴される右傾化や、トランプ現象などを考えると、多数派の男性たちが男の生きづらさや「男もつらいよ」と語ること自体に警戒心を抱かれる、というのはもっともなことだと思えます。しかしやはりそこは内側から男性的な葛藤を言葉にしていく必要もあり……このへんは実に微妙で悩ましいですけれども……。

ありのままに見つめられない「心の醜形恐怖」

まく 例えば田中さんの『はなぜ嫌われるか』は、30代後半から40代前半を生きる男()の置かれている状況を色んな角度から光を当て、著者の田中さんがコメントをしていく、という本でした。ファッションや、友だち、恋愛感情、仕事、夢、政治など。僕自身も36歳ですから、読みながら自分の今の状況と重ね合わせて思うところが沢山ありました。

杉田 語り口がうまいし、とてもわかりやすいですよね。色々なマンガを引用したりして。

まく 一方で、田中さん自身が結構苦しそうだな、と思ったりもしたんですね。あとがきに「自分も書いていて苦しかった」といったことを書かれていましたが、一方で鬱陶しいオジサンを批判するときに凄く筆が踊っているようにも見えたりして。引き裂かれてるんだろうな、と。田中さんのこの書きぶりが、まさに男性が男性問題を語るときの難しさを表していたのかもな、と。そんなふうに思いましたね。

杉田 田中さんは、最近の男性学ブームの中心にいる人ですね。多くの本を出しているし、メディアへの露出も多い。個人的な印象だと、かつての50代・60代の男性をメインターゲットにしていた1990年代的な男性学を、〈40歳〉という中年層まで押し下げてきた、という印象があります。とにかく、さらっと読めて、とてもわかりやすい。けれども、今まくさんが言ったように、ところどころに引き裂かれた感じがあるんですよね。

たとえば、自分の姿を鏡に映して、何も成し遂げられなかった40男のしょぼい現実をちゃんと見つめよう、と何度も読者に語りかけるところ。批判もあるかもしれないけど、僕はあそこ、好きなんですよね。ちゃんと自分の惨めな現状を認められないと、色々と手遅れになるし、さらに「男らしさ」をこじらせてしまうよと。若い女性からの性的な承認を求めたり、「若いですね」と言われたくて仕方なくなる、とか。

僕には鏡恐怖症と醜形恐怖があるんですけど、それほど病的な形ではなくても、もしかしたら、大人の男性たちの中には「心の醜形恐怖」みたいなものがあるのかもしれないですね。上でも下でもなく、右でも左でもなく、まっすぐに、心を揺らさずに鏡に映った「男としての等身大の自分」に向き合うことができる、っていうのは結構大切ではないか。僕、ほんとにそれが出来なくて、日々、困ってますから……。

まく うーん……、いやー、わかります。「自分をありのまま見つめよう」というところ。ホント、難しいです……。二村ヒトシさんも「自己受容」が重要だ、と述べていて、田中さんの本と同じようなメッセージを送ってくれているとは思うんですが……。本を読んで「自分のありのままを認め、受け入れよう」と思っても、日常生活で自分のことを思っているときは、「僕はダメだ……」とか「これで(凄く)良いんだ!」とか、0か100かになっちゃう。「心の醜形恐怖」、これは難敵です。ラスボスです。

杉田 『はなぜ嫌われるか』の最後の方に出てくる「これからの40年」問題もひしひしと怖いところですね。男性は特に、人生の折り返し点のあとの、40歳~80歳の時期の人生の「物語」がないんだと。若い頃は学校、恋愛、仕事、家族……みたいな分かりやすい上昇型の物語があるけど、人生の限界がみえて次第に心身が老いていくと多くの男性たちにとっては成長型モデル以外のモデルがない。そうすると会社や仕事に自分を託すしかなくなるし、女性たちと比べて会社以外の社会的なネットワークが薄い。

田中さんが男性にとっての友達問題の大切さを強調するのもそのへんでしょうね。男性は定年退職後に、仕事関係の「知り合い」はたくさんいたけど、「友達」はいないことに気づくんだ、とか。仕事の成果や能力の競い合いではない、たんなる「雑談」が出来る男性同士の場がなかなかないんだ、とか。

まく ホント、読んでいて、突き刺さります……。僕も「友達」はいないし、「雑談」できる場にもなかなか行かないし、行っても「雑談」できる自信はないし……。誰かと会ったときに、「仕事」とかの役割抜きに、一緒にいて何となく楽しむ、ということをあんまりできるイメージがないんですよね……。

これはきっと、やらずにクヨクヨ「無理なんじゃないか」と妄想を膨らませるんじゃなくて、実際にやってみて「ああ、じんわり楽しいな」という経験を重ねるのが一番なんだろうな、とは思ってるんですが、なかなかね……。

田中さんの本、ホントに耳が痛いんですけど、その痛さが大事なんだろうな、ともすごく思います。いっぺん「底つき体験」というか、とことん「このままじゃマズイ」と思わなきゃ変わろうという行動に出られないですから。多くの男にとっての、40歳~80歳の人生の「物語」、なんとか僕たちの手で作りたいものですねえ……。

早くおじいちゃんになりたい!

杉田 まくさんからすると、田中さんは少し年上感があるんじゃないですか? 僕の印象だと、田中さんの本って、読んでいると40歳よりもちょっと老けている感じがあるんですよね。最初読んだ時に、もう少し年上の人なのかなと思ったら、同い年なのでちょっとびっくりした。

まく ええ、少し年上感はありましたね。出てくる話題も、僕より少し上の世代の感じは、確かに。ただ世代間のギャップというより、「田中さんって僕と違って、ファッションとかに乗っていた、乗ろうとしてきた人なんだな」というギャップの方が僕には気になりました。僕はこれまで、ファッションのことを全然気にしないで生きてきたので。僕と同い年で、それなりにファッションに気を使ってきた人は世代間ギャップの方であれこれ思うのかもしれないけど、僕はそこはあんまり……。それより、モテ/非モテ的なギャップの方が気になっちゃって。

杉田 確かに田中さんにはバブル的なものの記憶があるんでしょうね。でも一度それが破綻して、若い頃に挫折というか幻滅のようなものを経験した、というか。若い頃に就職氷河期やデフレ不況などがあって、戦後的な男性のライフスタイルの梯子を外されたという。

まく なるほど。

杉田 しかし、これまで何となくいっしょくたにしてきましたけれど、まくさんは「中年男性」「おじさん」というアイデンティティはまだ無いんじゃないですか? 36歳ですよね。

まく 僕は仕事の関係で、自分よりも15歳近くも年の離れた若い人と一緒にいる機会が多いから、普段「自分はおじさんだ」と意識するようにしているので、その影響かなあ。自分が「おじさん」だという感じは、なるべく大切にしてます。それこそ田中さんの本を読んだ影響もあるかもしれないけど。自分が「若い」と勘違いしないようにしていると言いますか。実際、若い人と会話していると、世代間ギャップを感じるシーンは多いですしね。

杉田 職場環境のことは大きいですよね。田中さんも大学教員だから、そういう意識はあるのかな。僕はいまフリーライターで、一人で家にいる時間が多いから、その辺の違いもある気はしますね。

まく なるほど。突然ですけど、僕、早く「おじいちゃん」になりたいんですよ。そういう気持ちって、杉田さんにはないですか?

杉田 どうだろう。あまり考えたことないですね。

まく ないかー……。なんか、色々降りることができて良いな、と。すいません、突然へんなこと言って(笑)。

杉田 様々な欲望やしがらみから早く解放されたい、解脱(?)したい、という気持ちなら、少しわかりますけれどもね。ただ、僕の印象だと、たとえ年老いてじいさんになっても人間は色々な欲望やしがらみから解放されたりはしないような……。かえって幼稚な欲望がむき出しになったり、がんじがらめになったり……。

まく うう、そうか……。確かに、現実の「おじいちゃん」は、そうなのか……。

杉田 もちろん色々な欲望や自意識から自然に「降りられる」老人もいるとは思うけど。でも老人になっても介護施設先でセクハラしたり、パワハラしたり、小さな権力をふりかざしたり、リハビリする男同士で能力競争や承認欲求を戦わせあうというのは普通にあることですから。そういうじいさんになってしまうのは怖い、という気持ちは正直ありますよ。「男」という病が年齢によって自然に解決する気がしないというか。これは非常に傲慢な言い方かもしれないけど。ただ怖いものは怖い。

 だから田中さんが「鬱陶しいおじさん」にはなるのは嫌だ。「清々しいおじさん」になりたい、とおっしゃるのは何となくわかるんですよ。僕も人間としてはかなり鬱陶しいタイプですからね……。ただ、僕の『非モテの品格』等の男性論はいまだに「こじらせ青年」というか、田中さんの中年らしさに比べるとだいぶ子どもっぽくて成熟していない感じがしますが……。

(次回、「40男」を嫌っているのは女性ではなく自分? 軽さと過酷さを兼ねそなえた『〈40男〉はなぜ嫌われるか』に続く)

恋愛もAV出演もしながら2人の娘を育てた母親として。「子供に迷惑かけたけど、女としてやり直さないわけにはいかなかった」/神田つばきさん

 神田つばきさん、57歳。今年、自らの人生を綴った書籍『ゲスママ』(コアマガジン)を出版した。祖母・母と女だけの家で育った幼少期、結婚、セックスレス、38歳で子宮頸癌による子宮摘出からの離婚。12歳と8歳の娘二人を連れて家を離れ、働きはじめた彼女は、同時に性のオデッセイに出航した。縛られたり殴られたりしたいという欲望、テレクラや出会い系の利用、緊縛モデル志願、アダルトライター、自ら企画してのAV出演……。“常識”で見れば、眉をひそめたくなる話だろう。

 彼女は当初、この本で子育てについて書いてほしいと編集者から依頼されていた。

「AVも含むセックスワークをされている女性が子供を産み、家庭を持つっていうのは現実に起こっていることで……それこそ産まれてから成人するまで、お母さんがセックスワーク関連の仕事をしていたという家庭もいっぱいあります。しかし世間では、AVにしろ風俗しろ、セックスワークの女性に家庭的なイメージを認めない、あるいは両者が水と油であるかのように見てしまいがち。神田さんは以前から面識がありましたし、神田さんの娘さんの話も人づてに聞いていましたから、当初は単純に“神田さんの子育てってどんなふうだったんだろう”って興味を持ったんです」(担当編集者)

 しかし神田さんは、自らのバックグラウンドを描きながら、育児のあれこれを同時に描くことは不可能だったという。なぜだろうか? このインタビューでは、『ゲスママ』で描かれなかった、セックスに溺れる母親と子供との関係について、聞いていきたいと思う。

仕事もセックスもしたかった

神田 私が性を仕事にしていて、家に帰ったらお母さん、という女性だったらきっと、子育てについて書けたと思います。だけど私は、プライベートで性を探求したくて、それが高じて性に関わる仕事をしていたから、話がぐちゃぐちゃになっちゃって、書けなかったんですよね。家に帰ってもお母さんの顔になってない日があったと思う。子供にしてみたら迷惑な話なんですけど、「今日何考えてんだろ、この人、なんか上の空だけど」みたいな日がほとんどだったんじゃないかしら。

――ご結婚は早かったんですか。

神田 24歳でしたね。1人目を出産したのは27歳のときで、2人目は31歳のとき。上の子がもうすぐ30歳になりますね、下がまもなく26歳になるのかな。

――すっかり大人ですね。つばきさん自身、女性だけの家庭で育って、物心ついた時には離婚されていてお父さんの影も家の中にはなかったんですよね?

神田 そうですね、父が家に居た記憶っていうのは、多分2歳くらいの時かな、離婚直前の時だと思うんですけど。本にも書きましたけど、父は自衛隊に所属していたらしくて、自衛隊の官舎から週末に帰ってきていたんですね。そのことを、父がくれたチョコレートの包み紙で覚えてる感じ。父の姿そのものは、覚えていません。ぼんやりどころか、何にも。

――写真とかなかったですか?

神田 写真は3枚だけあったんですけど。でも、母が亡くなったあと、実家から大量に父の写真が出てきたんですよ!

――捨ててないんだ。

神田 捨ててないんですよ。だからやっぱり母もなんていうかやっぱり女性なんですよね。父だけじゃなく、離婚後に自分をチヤホヤっていうか崇拝してくれた男性の写真とか貰ったラブレターとかは全部保管してあって。

――お母さまも結婚と出産が早かった?

神田 早かったですね。19歳で結婚して、21歳で私を産んで。で、24歳で離婚し、バリバリ働いて。昔は私、母のことをすごく可哀想な人だと思ってたんです。母が私と祖母を養うために必死に働いていることを、みんなの犠牲になって可哀想だなって……でもそうじゃなかったのかもしれない。自分が仕事をバリバリやるようになってから、働くってすごく幸せな面もあるとわかりました。母は自分の好きな洋裁を仕事に選び、祖母はそんな母を高く評価していたんですね。経営面はすべて祖母が取り仕切り、母は仕事・家事・育児すべてをやっていましたけれど、責任はうまく二人で分担していたようです。

――母と祖母の二人三脚だったんですね。つばきさんのおうちでは、父と母の離婚は「誰のせいでもない」っていう空気だったんですよね。離婚の理由が語られなかったことで、少女時代のつばきさんは「自分が変な子のせいで離婚しちゃったのかな」と思いつめてしまったことがあった。やっぱりどこかのタイミングで明かしてほしかったなとは思います?

神田 思います。何回も聞きましたし、父に会いたいって言いましたし、どこにいるのかとかも教えて欲しいとお願いしたんですけど、母も祖母も一切言わないの。

――つばきさんご自身も38歳で離婚されて。2人のお嬢さんの親権を持たれているわけですが、お嬢さんたちに離婚の理由ってお話になりました?

神田 正確な理由はやっぱり、言えなかったですね。

――すごく端的に言うと「セックスしたいから」ですもんね……。言いづらいですね。

神田 セックスだし、仕事したかったし、っていうことも理由ですよ!(笑) 嫁だったときは働くことを禁止されていて、こっそりバイトしてはバレて辞めさせられてたんですから! 娘たちには、「もうパパとママは別々に暮らすことにしたんだよ。でも、いくらでもパパにもばあばにもじいじにも会いに行っていいんだよ」って言って、それだけだったんですけど……今にして思うと、あんまりいいことじゃなかったですね。嘘でもなんかハッキリ理由を作らないと、やっぱり子供って迷っちゃうみたいで、長女はちょっとグレました。

――グレちゃった、というと?

神田 長女が12歳のときに離婚して、離婚成立の2カ月後に引っ越しをして中学に入ったんですね。そこからね……家にあんまりいたくなかったみたい。それまでは元夫の実家のすぐそばで暮らしていて、初孫としてチヤホヤされて、いつ家に帰ってもママかおばあちゃんがいるような状態だったんですね。だから離婚後、ママと妹しか家にいないってことが単純に寂しかったみたい。もうずーっと部活やって、部活終えても誰か友達の家に行っちゃって、なかなか帰ってこなかった。毎晩、学校に探しに行ってました、子供のこと。

――何時くらいまで?

神田 19時……だんだん遅くなっていって20時、21時ですね。

――その時間まで連絡なしに帰ってこないのは心配になりますよね。連絡してきたとしても夜道を一人で歩かせるのは恐いですし。

神田 そうですよね。それがずーっと続きましたね、高校卒業して就職しても。私自身もそのことで気が狂ったように、キーッてなることがよくありました。田房永子さんの漫画『キレる私をやめたい』ってご存知ですか? あれに出てくるキレ方みたいな。目が吊りあがって、突然キェーって叫んでおたま持って走って、ヨーグルトを壁に投げつけたりとか。ヨーグルト、ネギ、携帯はよく投げましたね。

――ますます帰りたくなくなりますね……。長女につばきさんがキレてる時、2人目のお嬢さんは?

神田 やっぱり嫌だったんですって、すごく。当時の日記読んだら……。

――お嬢さんの日記があって?

神田 いえ、私の日記ですね。ずっとつけているんですが、日記に書いてあるのはほとんど男のことなんですね。家族の話といえば、私が長女に腹を立て、長女が家の外に出て行って、私が洗い桶に茶碗を投げつけて、次女がふすまの向こうで「もうやめてよ、いい加減にして!こんなのイヤだ!」ってわめいている……とか。もう、最悪ですね~。自分の度量が狭すぎたと思います。

――度量ですか?

神田 すぐに悪い方に連想しちゃって、「これがこうなったら、あーなって、こうなって、こうなっちゃうじゃないのー、そうなったらどうすんのよ! キエェー!」ってキレる。子供たち、なんで母親があんなにキレてるのか、まったく意味がわかんなかったと思う。ヒステリーですね。

――ご自身でそれを直すっていうか、緩和しようとは。

神田 考えて……もちろん考えようとはするんですけど、なかなか出来ませんでした。仕事も忙しくて、恋愛もずっとしていて、子供の生活とか進路とかもあるし、次々に頭の痛い問題が発生するので、まいっか、とりあえずヨーグルト投げとけ! みたいな。

――立ち止まれなかったんですね、そのときは。今現在はどうですか? 30歳と26歳になったお嬢さんに対して、どう接しているのか。

神田 本当に悪いことしたなと思っているんですけど……まぁ2人ともそれなりに歪んだんですよ。家に寄り付かなくて向き合うことが出来なかった長女とは、まだ距離があるように思います。家にいてそれなりに反抗期をやった次女とは、今も一緒に暮らしてるんですけど、反抗期をやり切って、尚且つ私がもう弱ったババアに見えてきて、「そろそろこの人を何とかしなくちゃいけないんじゃないか、みんなが困らない形で死んでもらわなきゃいけない」って次女は考えてるそうです。次女の頭の中に結婚や家族についての事業計画が出来ているらしいんですよ(笑)。この間の日曜日かな、友達の結婚式に行って帰ってきた次女に言われたのが、「私の結婚式の時、多分ママの顔で『エロの人だ』『SMの人だ』と何人かにバレるだろう。私はそれでも結婚はしたいし、結婚式もしたい。だからあなたもこれからは、『あぁ、あのSMの評論家の人ね』って言ってみんなが嫌な思いをしないような仕事をしてくださいね」って。何か恐かった~。

――みんなが嫌な思いをしない仕事ってなんですかね。

神田 それなりに納得のできる、筋の通ったことを言ったり書いたりしてくださいって。『ゲスママ』はその意味ではよかったけど、中途半端な仕事はしないでね、と言われました。

元夫のことは今でも信用してる

――上のお嬢さんはどうですか?

神田 もう1年半くらい前から大阪でパートナーの男性と同棲してますね。今の同棲相手は別れた夫にも会わせていて、夏に元夫の還暦祝いがあったんですけど、彼の今の奥さんと私と長女と長女の彼氏と次女という6人でお祝いしました。きっともう長女はその人と結婚するんだろうなとは思うんですけど。

――元夫との関係、途絶えてないんですね! しかもあちらは再婚なさっていて。もしかして『ゲスママ』も渡していたり?

神田 私は読ませないつもりだったんですけど、次女が「読め!」って言ったらしくて、元夫からLINEがきました。彼は読書家で格好つけなんですが、ローレンス・ブロックの『八百万の死にざま』というミステリ小説のハードボイルド探偵のセリフを引用して、<今、最高にくだらないことが起こった。俺は泣いていた>って書いてあったんですね。「え、なに?」って返したら、<今すごい本を読んで泣いてるんだ>って、『ゲスママ』を読んだと。私が「ごめんなさい、あんなこと書いてごめんなさい」と謝ったら、<いや、頑張りなさい。次はSMじゃなくてSFの本を書くように>って返事がありましたね。そのとき、許してくれたんだっていう思いでいっぱいでしたね。うれしかったですね。一番うれしかったなぁ。

――こういう形になったのに、元夫婦としても親子としても交流が途切れてない。

神田 そこだけしか私たちは夫婦として頑張れたことがなかった気がする。他はもう、わがままをぶつけちゃったんで。

――あちら側のわがままは何だったんですか?

神田 彼の中でのわがままは、一番はお母さん(姑)と対峙したくない、闘いたくない、だから君が我慢して、っていう。妻と母親(姑)に挟まれて、逃げちゃった。私とお母さんを常に戦わせて、自分は後ろのほうからホイミだけかけるって感じだったから、たまには戦闘してよ! みたいな。それが彼のわがままじゃないかな。あとのことは別に……お金を入れないわけじゃないし、酒癖は、ちょっとお酒にだらしないんですけど、そんなのはお互い様なんで、どうでもいいことで。お母さんに対して、「俺の嫁の言うことだから、そこは聞いてください」みたいなことは彼は言えなかったの。それが彼のわがまま、唯一のね。

――お姑さんは、つばきさんが嫁いでから、実の娘のように可愛がってくれたんじゃないんですか。

神田 お義母さんは、お義父さんと息子をいかに管理するかってことしか頭になかったんじゃないかな……私のことはその家を守るための「女兵士」みたいに見ていたと思います。私自身も最初、それに従って兵士やってたから、どんどん色気のない家庭になっていくのね。夫が帰宅するや、「今日の連絡!今からお母さんに聞いたことを伝えます!イチ~!えー、服のホコリを払ってからコタツに入ってください!よろしくお願いします!」みたいな。あと、同じ家に住んでるわけじゃないんですけど、うちの合鍵をお義母さんが持っていて、連絡なしにガチャッて入ってくるのもちょっと……いやでしたね。

――それは誰でもいやですよね。実親でもいやだと思います。

神田 でも義母もすごい人ですよ。男たちに稼がせた収入を全部没収して、うまく分配して、旦那に外に出して恥ずかしくないパリッとした格好をさせて、へそくりもキッチリする。いざという時はドーンとお金を出して、それでどんどん利権を勝ち得ていくっていう……もう、立派。立派のひとことしかない。

――お子さんたちにとってはおばあちゃんですけど、離婚後もそこの交流は?

神田 私を含め、しばらくは交流してましたね。子供たちは今も老人ホームに会いに行ってます。私は自分で会社を立ち上げると決めた時から会いにいかなくなりました。やっぱりお義母さんの頭の中では、それはダメなことなのね。女が会社をやるっていうのは。ちょっと自分が今、くじけたくないので、お母さんに会うと、またあの頃の洗脳が蘇るかもしれないから、会わないって決めました。そういえば、元夫が再婚した女性は同じ職場の人だったそうで、お義母さんから後で「あなたと別居したとき、もう二人の関係は始まってたと思うわ。あなたは腹が立たないの?」と言われたんですよね。私は全然そのことに腹が立ったこと一回もなくて、自分が自由に仕事したり恋愛したりしていいって言ってくれるんであれば、何でもよかったの。だからその通り「腹は立たないです」って言ったらお義母さんビックリしてましたけど。それは私のわがままですよね。「仕事したい」っていうのと、「恋愛も自由にしたい」っていう2つのわがままを通したので、私が一番頑張んなきゃいけないのはしょうがないなぁって思いました。

私、元夫のことを好きかって言ったら、喧嘩してる時はやぱり嫌いだったと思うんですけど、今でも信用してますね。男性で一番信用できる人は誰かって言ったら、現在のパートナーはもちろんですけども、同じくらい元夫のことも信用してます。愛してはいないですよ。全く別物。

女として性の探求をしないで結婚して母親になって

神田つばきさん
答えにくい話題でも、真摯に向き合ってくださった神田つばきさん
――結婚して出産して子育てをすることになったら、もう恋愛しないし、旦那とセックスがなくてももういいじゃないかって、自分自身で思ってる女性もいるだろうし、世の中的にも思われてるんじゃないかなって思うんですよ。でも、つばきさんはそうは思わなかったわけですもんね。

神田 私、本当にね、子供に対して「この子たちさえいれば」っていう執着が出来なかった。それよりも自分だったんですね。自分が女としてもう一回ちゃんとやりたいっていう方が強かった。女として性の探求をしないで結婚して母親になって、でも40歳手前でやりたいことを止められなくなったんですよね。全体の割合が100だとしたら、「女をやりなおしたい:90」の「子供に対する母性愛:10」くらいな感じですよ。それは娘に対しても「悪いけど私はもう、こうだから、しょうがないから」と言ってしまってた。しょうがないですね、それはね。嘘をついて、私の母性愛はこういうものなのよみたいなことを言っても、騙されないので、子供も。
娘たちには、離婚したことは申し訳ないけれど、思い描く理想の家庭があるならあなたは自分の家庭を作りなさいね、離婚しない家庭がいいならそれを作りなさい、ってことも言いました。

――でも、離婚しない家庭の作り方って言われても、わからなくないですか。

神田 難しいよね、どこにも正解書いてないですからね。私も教えることなんて到底出来ないし。反面教師なのかもしれませんけど、上の娘は「自分はママみたいに仕事を頑張るつもりはないから。3年間は正社員で会社に勤めるけど、3年過ぎたらもう結婚しちゃうかもしれないし、家庭作ることしか考えてないから、いいよねそれで」と私に言ってきました。専業主婦として家庭を守る女になりたいって。

――それで家庭が守れるかどうか、実際のところはわからないですけども。

神田 やってみないとね。ただ、今の彼氏を紹介された時に、彼に「この子はそういう願望があるって私にもハッキリ言ってきてて、家庭を作るために生きたいというので、この子には一切、婚姻届け以外の一切の書類に一生ハンコをつかせないで下さいね」なんて男親みたいなこと言っちゃいました(笑)。お母さんのセリフじゃないような気がするんですけどね。

――つばきさん自身は、お母さんから、恋愛とか性愛を厳しく制限されてたじゃないですか? それがあったから、結婚すれば家を出れると思って、経験の少ない状態でいきなり結婚に飛び込んだ。もしも家庭で性がタブーじゃなくて、若い時点で自由に性の探求をできてたら、色々変わってたよなぁとは思いませんか?

神田 タラレバなんだけどね。母がもっと性愛に関して自由にしてくれてたらっていうのは今でも1週間に1回くらいは考えてて、そしたらすごい母とも仲良かったと思うし、母も早死にしなかっただろうなとも思うし、仕事をして、結婚して……ああでも、それなら少なくとも子供は産んでない、あの2人はこの世にいなかっただろうなと思うと……やっぱりこれでよかったのかって、そう思うしかないですね。

うちの母に対しては……なんでもうちょっと、ちゃんと説明してくれなかっただろうなって。母がもっと豊かな言葉で対話してくれれば、私もっと楽に生きれたのになって、毎日思ってしまうのね。だけど母は、次女の祖母として、次女が一番精神的に辛かった時期に、すごく支えてくれた人でもあって。母が亡くなる直前も、次女は母とメールしてたのね、そのメールのやりとりの中で、母は次女に<何があった時に、お金がなかったり困った時に、外の人を頼っちゃダメだよ。オーママを頼りなさい><あなたたちのスーパーマンはオーママだけなんだよ>って言ってくれたらしいんですよね。だから私の子供たちにとって彼女は支えだったと思います。

やっぱり母が亡くなってから、子供たちがすごく変わったんですよね、家族だって意識が強くなったように思います。一番私がありがたいのは、「自分の親ももう20年くらいの間には死ぬかもしれないんだな」っていうことを体で理解してくれて、家庭を大事にしようと意識が向いてくれていること。私が出来なかったことだけれど、代わりに母が最後に示してくれたことだと思います。

<12/18更新予定の後編では、現在も続く長女との葛藤、今のパートナーとの性愛、娘たちへの性教育についてお伺いします>

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