「14ウーマン」の記事一覧(3 / 161ページ)

ゴム(コンドーム)アレルギーを言い訳に“ナマ挿入”を要求する男、それ通用しなくなってるよ?

女性同士のセックスにまつわる会話では「相手がコンドームを装着している間ってどうしてる?」話がよく出てきますね。私は相手の足あたりをナデナデしています、こんにちは、大根 蘭です。

 最近、知人女性から聞いた話。彼女がある男性とはじめてのセックスに及ぼうとしした時「俺、ゴムアレルギーだからコンドームつけられないんだよね」と“ナマで挿入します宣言”をしてきたそうです(現在謹慎中の芸人さんも、同じようなことを言ってナマ挿入していると伝えられちゃってましたね~)。その知人女性はピルを服用していたこともあり、ナマ挿入を受け入れてしまったようですが……まぁ、ゴムアレルギーじゃ仕方ないですね……って! んなワケありませんよっ! そんなしょーもないことを言ってくる男性を撲滅するため、そして、自分自身のためにもゴムのアレルギーについて理解しておきましょう。

ゴム手袋で痒み=ラテックスアレルギー? 

 ナマ挿入したいがための言い訳として嘘をつく男性もいるかもしれませんが、実際に「ゴムアレルギー」を抱えている人がいることも事実。正式名称は「ラテックスアレルギー」。日本では100人に1~3人の割合でラテックスアレルギーが発症しているといわれています。「今、なんともないから大丈夫!」と安心している方も、突発的に発症するものなので、ラテックスコンドームを装着したちんこを挿入している女性(アナタ)もひとごとではありません。意外と身近なアレルギーとして認識しておいてください。

 ラテックスアレルギーの症状は、痛みや痒みを感じない軽度の症状で自覚がない方から、蕁麻疹や唇の腫れ、喘息や息切れなどの呼吸器の症状や、急激な血圧低下で意識を失ってしまうこともある非常に危険な状態の「アナフィラキシーショック」を引き起こすこともあるようです。

 「天然ゴムの手袋で手がかぶれたことあるから、ラテックスコンドームもダメ」と思っている方もいるようです。症状が似ている部分もあるため勘違いされやすいみたいですが、手袋でのかぶれはもしかしたらラテックスアレルギーとは別物の「接触皮膚炎」という症状かもしれません。簡単な症状の違いはこちら。

◆「ラテックスアレルギー」(即時型)

*天然ゴムそのもの(天然ゴムの樹液など、自然物)にアレルギー反応を起こす

*蕁麻疹が、局部に限らず全身へ肥大する可能性がある

◆「接触性皮膚炎」(遅発型)

*天然ゴム製品を作る過程で使われる化学製品にアレルギー反応を起こす

*蕁麻疹が触れた部分(局部)にあらわれる

※ただ、どちらにしても自己判断はキケンです。気になる方・不安な方は、皮膚科でアレルギーの血液検査をしてみてください。

ポリウレタンこそがアレルギーフリー

 さて、「ラテックスアレルギー」の苦しみはわかりましたし、こういった理由でラテックス製コンドームがつけられないのは理解できました。が、現在コンドームに使用されている素材の二大巨頭は「ラテックス製」と「ポリウレタン製」。ラテックスだけじゃないんです。この「ポリウレタン製」こそが、アレルギーフリーのコンドームなんですよっ!

 ポリウレタン製のコンドームといえば、相模ゴム工業が生み出した、世界最薄0.01mmのコンドーム「サガミオリジナル」。薄さだけではなく熱伝導性に優れ、肌のぬくもりが瞬時に伝わることや、ゴム特有のニオイがしないことが話題になりました。今は、「オカモト」も同じポリウレタン製コンドームを販売しています。とはいえ、世界市場に目をやれば、そこではラテックス製が9割を占めていますし、国内の出荷量でみても値段の安さや種類の豊富さもあり圧倒的にラテックス製コンドームが主流です。

 そのため「俺、ゴムアレルギーだからナマで」男と出会ってしまい、「じゃ、ポリウレタン製のコンドームを買いに行こう!」とコンビニに入っても、品薄状態のポリウレタン製コンドームは、なかなかお目にかかれない可能性がもあります(実際に私が昨夜3店舗のコンビニでチェックした結果、陳列を確認できたのはラテックス製コンドームのみでした。ドラッグストアではポリウレタンも発見!)。

女性が自分好みのコンドームを選んでしまおう

 アレルギーを言い訳にしてナマ挿入を要求してくる男性に対しては、お断りするのが自分の身を守る1番の対策ではありますが、今やコンドームもネットで手軽に購入できますし、ポリウレタン製のコンドームをポーチに装備しておけば「これアレルギーフリーだよ★」と出せますね(その男とヤリたい気分が持続しているとして)。

 また、お互いにラテックスアレルギーではない場合も、「コンドームは男性が所持しておくもの」という概念は捨てて、女性が自分好みのコンドームを選んで備えておく日があっても良いですよね。最近では、女性のために開発されたコンドームも登場しています。可愛いパッケージだけではなく、気になるゴム臭さのないフルーティな香りつきや、たっぷりのゼリーで挿入が滑らかに……といった女性向けの商品です。

相模ゴム HOT KISS 5個入

今月、サガミから登場したのも、女性向け商品! ※この商品は、ラテックス製品です。

「俺、コンドームアレルギーでさ……」と言われ、流れのままにナマで挿入することのないよう、コンドーム対策を考えていきましょ。

(大根 蘭)

綾瀬はるか、「今後フジテレビには絶対出ない」!? 担当マネジャーを激怒させた出来事とは?

 デビューから16年がたとうとしている女優・綾瀬はるか。これまでに数多くの連続ドラマに出演しているが、綾瀬はとある理由から「今後、フジテレビのドラマには絶対出ない」という。一体綾瀬に、何が起こっているのだろうか。

 綾瀬のデビュー作は、2001年の『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系)で、一躍有名になったのは04年『世界の中心で、愛をさけぶ』(TBS系)。この2つの局には、近年も出演しているが、フジでのドラマ出演は09年の『ほんとにあった怖い話「怨みの代償」』が最後となっている。

「フジは2000年台前半、当時はまだ売り出し中だった綾瀬の営業を、ことごとく無視していたんです。その後、『世界の中心で、愛をさけぶ』でブレークすると、今後は手のひら返しでオファーをするようになり、08年の『鹿男あをによし』など、いくつかフジのドラマに出演することもありました。しかし、綾瀬の担当マネジャーが昇進した現在、過去のフジの悪態が許せないという理由で、『主演だろうがヒロインだろうが、絶対に綾瀬をフジには出演させない』と息巻いているんだとか。現在、フジは視聴率不振が深刻化し、自社のタレントを出したがる事務所自体も少なくなっていますが、たとえ今後フジが天下に返り咲いたとしても、綾瀬が出演することはなさそうです」(芸能プロ関係者)

 また綾瀬は、意外なことに、テレビ朝日のドラマには一度も出演したことがないという。

「綾瀬は大手芸能事務所・ホリプロの看板女優で、普通に考えれば各局バランスよく出演した方が、会社同士の付き合いが円滑になります。しかしテレ朝に関しては、業界の通例として『若手が出演する局ではない』という風潮があり、若年層に向けて売っているタレントは、そもそもテレ朝のドラマを避ける傾向にあるそう。綾瀬はすでに30代ですが、ホリプロはいまだにその姿勢を崩さずにいるのだと考えられます。近年は『相棒』、『ドクターX~外科医・大門未知子~』など人気シリーズを生み出し、視聴率も好調なテレ朝ですが、綾瀬がドラマ出演する機会はまだまだなさそうです」

 事務所判断でいまだ出演機会がないテレ朝はまだしも、フジは綾瀬が売れっ子女優になると見極められなかったために、“縁切り”されてしまったようだ。今後も綾瀬の活躍が見られるのは、TBS、日テレ、NHKの3局のみとなるのだろうか。

AVから「本番」が消えたら私たちは困るのか。己の妄想力をもっと信じよ!

 SNSでアダルト業界の方と多くつながっているせいか、現在AV業界を取り巻く問題についてはわりと頻繁に目に入ってきます。しかし私自身にとってAVはノータッチの業界、何かいえる立場にはありません。が、巷を賑わせている「AVから本番がなくなってしまうかも!」というニュースには「そんなに困ることなんだろうか?」と首をかしげてしまうのです。

 私はバイブコレクターとして活動をするようになってから、アダルトグッズ業界や数は少ないながらAV業界の人たちと会って話すようになりました。当時は、そのオープンなセックストークにいちいち目を丸くしていましたね。こういうことを下品にならず率直に話せるってステキだなと思ったものです。

 そんなあるとき「AVを観てどこに興奮するか?」という話題になりました。これに対して某大手AVメーカーの女性ふたりが口をそろえて、「ハメシロ!」と即答したのです。言葉の意味もわからなかった私が問い返すと、「女性器に男性器が入っている、まさにそのドアップです!」と教えてくれました。私は挿入シーンより前戯シーンのほうが好きで、女性全体もその傾向にあると勝手に思い込んでいたので、またも目がまんまる状態でした。

 女性でもそういう人がいるくらいですから、男性の「モザイク越しでもガチで挿入していることがわかる」本番シーンへの需要は、やはり高いものなのでしょう。でも、セックスを見せる映像作品の歴史のなかでも、「本番が当たり前」となったのは、比較的、最近のことですよね。日活ロマンポルノや初期のAVは演技や演出によってしている「ように」見せるものでした。ピンク映画はいまでもそうです。

 では、ピンク映画やその他一般映画の「本当はしていないセックス描写」が物足りないかというと、私自身はそんなことはないと感じています。

本番でないと興奮しない、は不自由

 むかーし何度かお試しでいたした男性のなかに、「俺の乳首を強く噛んでくれ! じゃないと絶対にイカないんだ」という人がいました。ほんっとに強く……血が出るほど強く噛まないと射精に至らないんです。私はそれがツラくてツラくて、もう会わないことにしました。後日、ある泌尿器科医の先生にこの話をしたところ、「射精のための絶対条件が多いほど、不自由になりますよね。条件は、ゆるいほうがいい」と返ってきました。

 これを思い出し、「性的興奮の絶対条件」もゆるいほうがいいのではないかと感じました。

「絶対に本番シーンってわかるものじゃないと興奮しない」って、実は不自由なことなのではないかと。本番至上主義が「どうせならナマ!」「さらに中出し!」と観る側の欲望をどんどんエスカレートさせ、結果的として本番をしない“牧歌的”な表現では満足されなくなってきたのでしょう。

 人の脳は見えていない部分を「補完」できるものです。映画ではセックスシーンだけではなく残虐シーンによってもR指定が付きますが、それを避けるための映像テクニックについて聞いたことがあります。

 たとえば剣で人を殺すときに、それが人体を貫く瞬間そのものを描写してしまうと「残虐」とみなされるので、そこはダイレクトに描かないそうです。刺される人の顔を大写しにして「ブシュッ」という効果音を入れれば、人は勝手に「いま貫かれてます!」と感じてくれるのだとか。さらに、この後で背中から突き出ている剣を映せば、多くの観客が頭のなかで「貫通する瞬間を見た」と錯覚するそうです。

 本番をせずにセックスを描くときも、多くの人たちがこれと同じようにしてリアリティを出そうと腐心してきたはずです。濡れた効果音や女性の喘ぎ声、ベッドが軋む音、肉と肉がぶつかる音、さらには演じる人の表情などなど。それが真に迫っていれば、視覚と聴覚で補完され、「物足りない」と感じることもないと思うのですが。

空気人形でイケる妄想力

 そもそも妄想力、特に男性の妄想力ってもっともっとポテンシャルを秘めていると思うんですよね。ラブドールといえばオリエント工業の精巧な人形が有名ですが、お値段がスゴいので、あれは相当なマニア用。実際に売れているのは↓のようなものです。

 リアリティとは対極中の対極にある空気人形を相手に、パッケージの女の子なり、その他好みの女の子なりを妄想し、興奮し、それで射精までできちゃうのです。その行為のあいだに、どんだけのものを補完しているというのでしょう。

 触覚を媒介として妄想を膨らませるという方法もあります。そのためのグッズがいま、市場にはあふれるほど存在しているのです。特に男性向けのオナホール市場は充実しまくりでなので、選びたい放題。股間でオナホールと本番をいたせば、その快感が視覚で受け取る刺激をはるかに上回るということも考えられます。つまり、そこで行われているのが本番かどうかは、イクための絶対条件ではなくなる可能性があるということです。

 私はアダルトグッズというのはすべて「使いよう」だと思っています。どう使うかは、その人次第。妄想を広げる媒介として上手に利用されるようになれば、本番至上主義からの脱却に少しは役立つのではないかと思うのです。

 性的興奮を高める手段がこんなにたくさんある現代において、「本番じゃなきゃダメ」となるのって、ある意味、思考停止なんじゃないかと思うわけです。自分たちの妄想力を侮りすぎ、といえるかも。もっと信じてみましょうよ、そして鍛えてみましょうよ、妄想力!

人生をやり直したのは「普通」に生きたかったから、もうやり直したくないのは今が幸せだから/『カルテット』第九話レビュー

 TBS火曜ドラマ『カルテット』、いよいよ佳境です。夢が叶わなかった30代男女4人、真紀(松たか子)、すずめ(満島ひかり)、愉高(高橋一生)、司(松田龍平)が“偶然”出会って軽井沢の別荘で共同生活を送りながら弦楽四重奏を組むところからこのドラマははじまりましたが、“嘘つきは大人のはじまり”。4人はそれぞれ“嘘”や“秘密”を抱えており、全員、真紀を狙って(それぞれ違う意味で)わざわざ出会ったのでした。ひとつひとつの謎が毎回明かされ、張り巡らされた伏線を回収しまくってここまで来ましたが、第八話ラストで最大の謎が投下され、もう視聴者は大混乱、一週間脳内カオス状態だったのではないでしょうか。

 二話で司、三話ですずめ、四話で愉高と、彼らの嘘・秘密・過去が徐々に明かされていき、やがて真紀の夫さんで失踪中だった幹生(宮藤官九郎)も姿を現し、紆余曲折を経て離婚に至ったのが前々回。前回は、“全員、片想い”として「愉高→すずめ→司→真紀」の好き好き光線(今となっては死語でしょうか。使用するの小学生以来です……)模様が繰り広げられ、もうみんながみんな片想い過ぎて、切なくて切なくて……、高橋一生に萌えキュン♡でした。

 が、ラストシーンで怒涛の展開、衝撃事実が。真紀の元義母・鏡子の元に富山県警の刑事・大菅直木(大倉孝二)と船村仙一(木下政治)がやって来て、“真紀は真紀じゃない、本物の真紀は別にいる”ことを告げたものだから、もうまさかの「まさか」。ってことは、“最後の嘘つき”は、真紀……。

真紀が「普通の主婦」になりたかった理由

 そして迎えた最終章・前編こと第九話。真紀の嘘が発覚するきっかけとなったのは、富山で自転車泥棒を働き、捕まった女(篠原ゆき子)が、14年前、闇金絡みの業者に戸籍を売っていと警察に明かしたこと。女は戸籍の売買が罪になると思い込み、住民票を取らず、ツタヤのカードも作れず生きてきましたが、大菅刑事曰く「戸籍って他人に売っても罪にならない」そうです。へぇ……。無知って怖いですね。とはいえ、戸籍売買を行っていた業者には捜査が入り、14年前に、女・早乙女真紀の戸籍を購入したのが、カルテットの真紀だった、と。冒頭、別荘のシーンで愉高が「ホッチキスはステープラー、バンドエイドは絆創膏、ニモはカクレクマノミ。本当の名前を言って」と(いつもの面倒くささで)メンバーに熱弁を奮いますが、では、真紀の本当の名前は。

 大菅刑事が鏡子に語った真紀の生い立ちは、こうでした。

「本名は山本彰子(やまもと・あきこ)、富山市出身。10歳の時に母を事故で亡くし、その後、母親の再婚相手である義理の父親に預けられた。その父親から日常的な暴力を受け、家出を繰り返すものの連れ戻されていた。平成15年12月19日、現金300万円で戸籍を購入し、それ以来姿を消した」

 14年前、平成15年(2003年)に戸籍を買ったのであれば、真紀は当時23歳です。また、亡くなった母・山本みずえ(坂本美雨!)は、元は売れない演歌歌手で『上り坂下り坂ま坂』というタイトルの曲を発表していました。真紀が時々、口ずさんでいる不思議な曲はこれだったんですね。

 そして警察は、真紀が義父の暴力から逃げるために戸籍を買った、とは思っておらず、別の疑いを抱いている様子です。真紀が姿を消したのと同じ頃、義父は心不全で亡くなっているのです。警察は、真紀に殺人容疑をかけている、ということでしょうか。鏡子からこの話を聞かされた幹生(現在コンビニ強盗の罪で拘留中)は、信じられない様子でした。真紀からは結婚の際、「子どもの頃に父親は病気で、母親は事故で死んでいる」と聞いていたようです。

 回想、というか鏡子が警察から聞いたことを元に幹生に語った内容が、幼き日の真紀(山本彰子)母子の風景として映し出されます。右手にヴァイオリンケース、左手に楽譜を抱えた10歳の真紀(彰子)は、母・みずえと連れ立って富山の田舎道を歩いていました。長い髪をお嬢様結びしてピンクのコートに身を包み、赤い靴を履いた真紀と、上品な装いの母(およそ演歌歌手らしさは皆無)。田舎の風景が似合わない母娘です。2人が風に飛ばされた楽譜を拾っているところに、下り坂を降りてきた中学生の少年(12)の漕ぐ自転車が衝突……。真紀をかばった母は亡くなり、遺された真紀は、義父(母の元再婚相手)に預けられます。

 自転車事故の被害者遺族である真紀には加害者家族より賠償金が支払われ、その額、2億円。弟の誕生を心待ちにしていた加害者の少年は、産院に駆けつける途中にこの事故を起こし、結果、家族は家と職を失い、少年が弟と暮らすことはできなくなり……それでも被害者遺族である真紀の家族、すなわち義父は12年間に渡って賠償金を請求し続けました。12年間というのは、つまり、真紀が失踪する前までということ。義父は賠償金で真紀をバイオリン教室や大学に通わせました。その一方で、真紀の顔には痣ができていることもあったそうです。このお話がどこまで事実か、誤解をどれくらい含んでいるのか、まだ油断はできませんけど。

 幹生は、真紀は義父が加害者遺族に賠償金を請求するのをやめさせたくて、戸籍を買って失踪したのではないかと推測、「俺の知ってる真紀ちゃんはそういう人ですよ」と刑事に食ってかかります。話しながら結婚生活での真紀の様子を思い出し、幹生はハッと気が付くのでした。自分は彼女に特別さを求めていたけれど、真紀は普通の人になって生きたかったのだということに。真紀は幹生と結婚して名前が<巻真紀>になることを望み、ときめきよりも安らぎある「家族」を求め、ヴァイオリンを続けることよりも専業主婦になって「家庭」を守ることに固執していましたが、その理由が今になって腑に落ちたのでしょう。他人の名を騙ることで生き延びた真紀は、早く普通の人になりたかった、表に出るより家庭という裏方に回って安心したかったのだ、と。

 確かに真紀の過去、つまり結婚以前の生活についてはずっと明かされなかったし、上品で育ちのよさそうな女性として描かれていることから、てっきり東京か、あるいは神奈川、埼玉あたりのそれなりに裕福な家庭に育って、ヴァイオリンを習い、音大に進み、プロになったんだとばかり(賠償金で真紀が進んだ大学は音大なんでしょうか)。偽名で生きている人って、世間をはばかりながらひっそり暮らすイメージがありますが、真紀は失踪後もヴァイオリンを続け、楽譜の出版社でバイトするなど比較的大胆に行動しています。ネットやSNSが普及した現在、いつ自分の正体が発覚してもおかしくありません。だからカルテットを組んで表舞台に立つことを拒まなかったことも、視聴者としては不思議なのですが……真紀は内心びくびくしながらも、心のどこかで覚悟を決めていたのでしょうか。

女同士の嘘なき信頼関係

 何も知らないカルテットの4人は、いつものように食卓を囲み和やかに過ごしています。前回の全員片想い問題は、おそらくそのまま放置された感じなのでしょうね。目下の悩みは、現在暮らしている別荘(司の祖父所有)の売却問題。司から打ち明けられて他3人は、それぞれ自活しながらカルテットを続けるとの考えを示しますが、司は「そっち(バイトなど)が本業になっちゃう」と断固反対。「飢え死上等、孤独死上等じゃないですか。僕たちの名前は、カルテットドーナツホールですよ。穴がなかったらドーナツじゃありません。僕はみなさんのちゃんとしていないところが好きなんです。たとえ世界中から責められたとしても、僕は全力でみんなを甘やかしますから」「少し時間ください。この別荘は僕が守りますから」と力説、説得。司は幼少時から「きちんとしようよ」と周囲を諭し続けてきた自分が音楽家として大成せず、「きちんとして」いなかった周囲の子どもたちが世界に羽ばたいていきました。カルテットのメンバーと出会ってその「ちゃんとしていないところ」に魅力を感じるにつれ、自分自身も杓子定規な生き方を変えようと決意したのですね。

 あるとき、すずめは真紀に「ずっと東京でしょ?」と問いかけ、真紀は「うん」と答えたものの目を逸らしました。それに気付かず、真紀のことが大好きなすずめは、もしかしたら昔、たとえば真紀が中学生で自分が小学生の頃地下鉄ですれ違っていたのかもしれない、もっと早く出会っていればと残念がります。

すずめ「周りは嘘ばっかりだったから。自分も。どっか遠くに行きたいなあっていっつも思ってて、真紀さんみたいに嘘がない人と出会ってたら、子どもの頃も楽しかったかな」

 そんなすずめに、真紀は子ども時代の思い出として、家から少し離れた場所にある廃船で一晩中星を見ていたことを話します。

真紀「そこにいるとね、そのままわぁって浮き上がって星を渡る船になって、どっか遠くに行けそうな気がしてた」
「(軽井沢にたどり着いた現在は)あ~ここに来たかったんだなぁって、今はね思う。もう十分」

 しかし、ようやくたどり着いた安住の地に真紀は長くはいられません。土砂降り雨の夜、大菅刑事らが来訪。真紀に任意同行を求めます。「何かの間違いじゃないですか」と事態を呑み込めないすずめとは対照的に、真紀は冷静に応対、任意同行は明日のノクターンでの演奏後になりました。もちろん、そんなのは外面で実際は、突如訪れた幸せの終わりに、真紀は激しく動揺。部屋にこもって、爪を噛んだり、服を投げつけたり……その取り乱しぶりに、二話で自分に告白してきた司に「捨てられた女舐めんなよ!」と怒りを露わにしていた姿を思い出しました。手に入れたと思っていた幸せが自分の手からするりと落ちていく瞬間や、それを思い出した時の真紀はとても激しいのです。

 真紀は観念し、メンバーに懺悔します。「私昔、悪いことをしたから、それが今日返ってきたんです」と。

真紀「ごめんなさい。私、早乙女真紀じゃないです。嘘ついてたんです。私嘘だったんです。本名は別です。別にあります。14年前、戸籍を買いました。戸籍買って逃げて東京へ来ました。それからずっと早乙女です。偽、早乙女真紀です。成りすましてました。幸い、幸いずっとバレなくて、調子乗って結婚しました。名前貰ってしれーっとしてずーっと騙してました。みなさんのことも騙しました。カルテットなんかはじめちゃって、仲よくしたふりして……、私嘘だったんですよぉ。見つかったので、明日の演奏終わったら警察行ってきます。もうお終いです。お世話になりましたね。本当の私は……、私は……、私は……」

 声を絞り出すように過去を打ち明けようとする真紀を、すずめは「真紀さん、もういい」「いい、いい、いい、いい」と必死にかばいます。真紀が昔誰だったかなんてすっごくどうでもいいのだと訴え、さらに「人を好きになることって絶対裏切らないから。知ってるよ真紀さんがみんなのこと好きなことくらい。絶対それは、嘘なはずないよ。だってこぼれてたもん」と、自分たち4人の関係は紛れもない“本当”であるのだと伝えるすずめ。

すずめ「好きになった時、人って過去から前に進む。私は、真紀さんが好き。今信じてほしいか、信じてほしくないかそれだけ言って?」
真紀「信じてほしい……!」

 4人は最後の夜を楽しみます。映画を見たり、ドミノ倒しをやったり、小学生がするようなじゃんけんゲームをしたり。愉高はこんなことを言いました。「人生やり直すスイッチがあったら、押す人間と押さない人間。僕は、もう押しません。みんなと出会ったから」。地獄と称する結婚生活を送っていた頃は「子どもに戻りたい」と思っていた愉高ですが、今は違うようです。この手のセリフって、一歩間違えば陳腐というか、たとえば先日怒涛の最終回を迎えた『奪い愛、冬』(テレビ朝日系)で同じ台詞があっても「さむいわぁ」と思っちゃいそうですが、『カルテット』だと人生に“穴”を抱えた4人がそれぞれ自分の人生を受け入れはじめたんだな……と肯定的に捉えられました。

 翌日の夜。ライブレストラン「ノクターン」にて、カルテットドーナツホールの週末だけの定期演奏会が開かれました。客席には刑事たちの姿があります。最後の曲は「モルダウ」。「モルダウ」は、第一話、結成したばかりのカルテットドーナツホールが「ノクターン」にて初演奏した時にも演奏されていた曲で、弦楽器初心者である役者たちにとって難易度の高い楽曲だそうです。初回では、謎だらけで腹に一物ありそうな4人の演奏する姿がひとりずつ映し出され、彼ら彼女らの心にはどんな思いが交錯しているのだろう、と考え込んでしまったものです。

 終演し、真紀はいよいよ行かなくてはなりません。あくまでいつも通り、明日の朝のパンがないから買って帰らなきゃとか、シャンプーの買い置きとか、普通の生活の話をしたい彼ら。でも、真紀はこのあと一緒に別荘に帰ることは出来ないのです。

 真紀は一人ずつ、言葉をかけます。愉高には「私も、人生やり直しスイッチはもう押さないと思います」。司には「あの日カラオケボックスで会えたのはやっぱり運命だったんじゃないかな」。そして、真紀をもっとも慕っていたすずめには(司がいるので、そう言っていいのかわかりませんが)、ヴァイオリンケースを託します。真紀の誕生日は、8月10日ではなく、本当は6月1日。「(ヴァイオリンと)一緒に待ってるね」と応じるところがすずめらしい。けれど真紀が行ってしまうと、すずめは泣き崩れるしかありませんでした。

 真紀は富山県警の車に乗り込み、大菅刑事らとともに軽井沢を去っていきました。真紀ともっと早くに出会っていれば……とすずめは言っていましたが、真紀もまた、もっと早くにすずめと出会っていればと思いを馳せているようで、前回の“全員、片想い”をも超える切なさ、やりきれなさが、第九話にはありました。というか、前回すずめが「好きな人(司)の好きな人(真紀)のことも私は好き」って言っていたのが、今回より一層説得性を帯びたような。困難の多い子ども時代を過ごし、大人になってからも過去から逃れられなかった孤独な女である真紀とすずめは、嘘を介しながらも、“嘘のない信頼関係”を芽生えさせていました。正直、最初はここまで女性2人の絆がクローズアップされるとは思っていなかったです。真紀不在の食卓で、残されたカルテットメンバー3人が、すずめの作った夕食を食べるシーンをもって、第九話は終了しました。

 来週はいよいよ最終回。真紀、すずめ、愉高、司。4人のこの先の人生はどこへ向かっていくのでしょう。これまで散々視聴者をびっくりさせてきた『カルテット』ですので、やっぱり最後の最後の最後まで見当がつかないし、目が離せません。

 ちなみに「ノクターン」の目が笑っていないアルバイト店員・有朱(吉岡里帆)は、お店をクビになりました。シェフの大二郎(富澤たけし)に色時掛けするも全く効果ナシで(愛人になってカネをせびろうとしたのでしょう)、現場を大二郎の妻・多可美(八木亜希子)に見られたのに悪びれない有朱、でも当たり前に即日解雇です。別れ際、「不思議の国に連れてっちゃうぞぉ~(2回繰り返し)、有朱でした、バイバイ♡」と元地下アイドルらしい決めポーズで去っていった有朱ちゃん、もちろん目は笑っていませんでした。この子は最終回にも出てくるんでしょうか。

二宮和也の理想の女性像は「都合のいい女」! ブーイングを浴びるその鬼畜っぷりとは!?

 3月12日に放送された『ニノさん』(日本テレビ系)の企画「二宮和也のちょうどいい会議」で、嵐の二宮和也(33)が「理想の女性像」について語ったのだが、それがなかなかヒドイと話題になっている。

 番組では「容姿を褒められた時のちょうどいい返答」「初デート後に送るちょうどいいお礼メール」などを、斎藤工(35)、波留(25)、劇団ひとり(40)、横澤夏子(26)などが議論していった。「ちょうどいい異性像」を聞かれた二宮は、少し考えてから「自分のやってることとかに何も言わないってことかな」と回答。これに劇団ひとりが「それちょうどいいっていうか都合がいい……」と思わずツッコミ、出演女性陣からもブーイングを受けた。

 だが二宮は以前からも理想の女性について、とにかく空気を読んで都合よく振る舞える人というような回答をしている。

 2010年の雑誌インタビューではモテる女性について「気遣いができてよく気づく人はモテると思う」「空気が読めて気が利いているっていう性能は大事」と答え、「ぶりっ子が好き」と宣言。というのも、ぶりっ子女性は自分を異性として意識してくれているとわかりやすく感じるかららしい。「ぶりっ子好き」というのも、ブリブリする行動が好きというより、場に応じた行動ができることを評して「ぶりっ子」と呼んでいるだけのようだ。そして自分をオトすには「程よい距離感」「あんま近すぎてもって感じなんだよ、オレは」「近づかないのが一番いいですよ」と語り、理想の妻像も「あんまり干渉しない人」としていた。つまりこれは、「放っておかれたい」という意味ではなく、空気=二宮の気分・機嫌を察知して行動する「気遣い」を求めているということである。

 二宮は休日は1日14時間ほどもゲームをすることもある重度のゲーマー。その趣味と嵐としての仕事の配分を、恋愛で崩されたくはないのだろう。

 ただそんな二宮でも大好きな女性がいるわけで、それは竹内結子(36)である。ジャニーズアイドルとしては珍しく、二宮はずっと彼女への憧れを公言しており、2015年2月放送の『嵐にしやがれ』(日本テレビ系)では「ユウコ」と呼び捨てにして「向こうさん(竹内)は引いてますけど、僕は押してるんで」とグイグイだった。ドラマで竹内の髪形がロングからショートになったことで、自分の好みがロングからショートカットに変わったとも言っていた。

 結局のところ、なんとなくの好みはあるものの、その時の好きな人によって「好きなタイプ」や「理想像」なんてコロコロ変わるものだ。竹内が空気の読めない強引な性格の女性キャラをドラマで演じたら、今度は空気が読めないのも可愛いと言い出すかもしれない。

(ゼップ)

男性はセックスの前に自分の心を知るべき!セックス講座から見えた男性の歪みと希望

2月26日、東京都内のバーでイベント「夜のワンポイントレッスン」が開催された。講師は、セックスオタクの男性・かねどーさん。かねどーさん自身がセックスを好きなことはもちろん、これまで100人以上の男女のセックス相談を引き受けてきた。

「夜のワンポイントレッスン」は、アダルトビデオのようにパフォーマンス的なセックステクニックを手に入れたり、特殊なセックスができるようになったりする講座ではない。目標は「安心かつリラックスして、痛くない、気持ちいいセックスができること」「セックス中のマイナスポイント(=ストレス)をゼロに近づけること」だ。

普段のセックスに不満や悩みがある女性には、セックスについて気軽に話せる場があるのは嬉しい。男性にとっても、男性同士でなかなか聞けないセックスのコミュニケーションやメンタル面の悩みを相談できる有意義な場になる、と想像していた。しかし当日、会場に足を運んでみると、予想に反して男性の参加者が少ない。また女性からは質問がどんどん飛んでくるのに対し、男性は聞いているだけの人が多かった。セックスに興味があってもセックスについて真面目に話すのは嫌だ。そんな男性の抵抗感の正体は、いったい何なのだろうか。

射精できればいいのか? 男性の問題意識の低さ

男性A「勉強にはなりましたけど……」

参加者の男性Aさんが、戸惑った様子で答えてくれた。約1時間の講座が終わり、女性たちは講師を囲んで矢継ぎ早に質問している。

「遅漏の男性とのセックスを自分が楽しむにはどうしたらいいか?」
「フェラチオをしている最中は男性とどうコミュニケーションを取ったらいいか?」

具体的なシチュエーションをポンポンと質問できるのは、女性たちが普段からセックスに問題意識を持ち、観察して、疑問や向上心を心の中に溜めていたことの表れだろう。一方、男性たちは講座が終わるとすぐに散り散りになってしまった。煙草を吸いに行く人、お酒を飲み始める人……女性との意識の差がさみしい。

男性A「講座で教わったポイントを、自分が実践できるかというと正直わからないです。『セックス中のストレス』について今まで考えてもいなかった。実践してみたいけど、自分のしてきたセックスが気持ち良いからそれでいいじゃん、という思いもあります。些細なことでも女性が悩んだり困ったりしているということが、意外でした……」

今回、講師のかねどーさんが提案したのは「リラックスできて気持ち良いセックス」だった。リラックスしてセックスをすることのメリットについて、講義中にこんな説明があった。

かねどー「男性、女性の双方がリラックスできていないという状態は、緊張感や警戒心が残っているということです。緊張感や警戒心によって、セックスの気持ち良さに上限が生まれてしまう。自分をさらけ出すことが怖くないリラックス状態を作ることで、セックスの楽しさと気持ち良さを存分に堪能できます」

もちろん緊張感や警戒心を快感に変えることが得意な人や、それによって快感を高めることができる人もいるが、それは一部の人や上級者。パートナーや友達との一般的なセックスでは、素になって楽しむことがお互いの気持ち良さを高めると前置きがあった。

お互いにリラックスするためには、何をするかよりも「何をしないか」が大切。用意されたレジュメには、こんな項目が並んでいた。

×:相手や自分その他について、否定的な言葉が多い
×:自分ばかり話す、相手にばかり話させる
×:初対面の相手にタメ口で話す、アドバイスや説教をする
×:酒を飲ませる

これは、お互いにリラックスして楽しく関わるために控えた方が良いことの一覧だ。セックスじゃなくてコミュニケーションの話じゃん! レジュメを見てそう思ったお客さんもいたかもしれない。しかし、かねどーさんは「セックスの満足度は、始まる前にだいたい決まってしまう」と言う。確かに、これからセックスをする(かもしれない)相手にされたら、心のどこかに不安が残るような行動ばかりだ。セックス後に否定的な言葉をかけられるのでは? 自分ばかり愛撫させられるのでは? 逆に一方的に攻められて断れないのでは? そんなことが脳裏に浮かんだままのセックスが楽しくないのは当然。だけど、それもその場にいた男性たちには受け入れ難いようだった。

セックスを真面目に話すことが許されない男性のつらさ

男性B「会社の同僚男性や、学生時代の男友達とはセックスの悩みについて話したことはない。男同士でセックスについて話すとしたら『あの女とヤッた』とか『こんな変態的なプレイをした』とか『潮を吹かせた』とか、武勇伝的なものが多いかも。『彼女が正常位での挿入は痛いって言うんだけど、どうしたらいいかなあ……』なんて話せないし、別に話さない」

男性同士でセックスの悩み相談をし合っている人もいるかもしれない。でも、Bさんの状況に「わかる」と頷く男性も多いのではないだろうか。男性同士が悩みを話せない理由については、messyの連載「桃山商事の『先生“男らしさ”って本当に必要ですか?』」でも語られている。

清田 からかいや人格テストといった行為は、ある種の“予定調和”を崩す刺激的なコミュニケーションだと思います。そして、「俺はここまで踏み込めるぜ」「俺はこんな予想外の切り返しができるぜ」みたいなやりとりの中で互いに存在証明を得ていく、というのも確かにあることだと思います。

(ハゲが怖いのは自分のせい? ディスり合って相互承認していく男たちのTHE・自縄自縛 より)

これは、男性が「ハゲ」「デブ」などの外見的特徴についてからかい合うことで生まれる自縄自縛現象について、昭和大学准教授の須長史生さんが解説した回だ。男性には、友達同士でディスり合う(=真面目な話をしないようにする)ことで、度胸試しをしたりポジションを上げたりするコミュニケーションの取り方を採用するコミュニティがよく見られるという。「なに真面目な話をしちゃってんの?」という男性コミュニティの空気が怖いという話を、男性から聞いたこともある。悩みを相談できない状況を自分たちで構築してしまっているのだ。つらそうに思えるが、そのつらさにも気が付かないのかもしれない。

また、別の回では男性が自らの欲求を自覚できていないことも指摘されている。元一橋大学非常勤講師の村瀬幸浩さんがゲストの回だ。

村瀬 それを考えるにはまず、「快楽としての性」をどう捉えるかが鍵になると思います。これには2種類あると僕は考えていて、ひとつは身体的なオーガズム、男の場合で言えば射精につながるような“性的快感”(からだの快感)です。そしてもうひとつは、触れ合って、ほっとして、安心して……という心理面で味わう“心的快感”(こころの快感)です。

清田 一般的に「快楽」としてイメージするのは前者ですかね。

村瀬 そうだね。まず100%。特に男子はそちらに囚われている傾向が強いかもしれない。

(「勃起と射精」に拘泥する男の“性欲”と、ニッポンの「性教育」より)

桃山商事の清田さんは、さらに「性欲って本来は幅広くて多様なものなのに、男性はその一部分にすぎない『射精欲求』のみを性欲と認識している。裏を返せば、心的快楽を欲しているときにも、それを自覚できず、つい性的快楽のみを追求してしまう……。そういう問題があるような気がしてきました」と続けている。かねどーさんのセックス講座で提案されていたのは、まさに村瀬さんが言う「心的快感」の向上だった。もっと言えば、心的快感を高めることで性的快感が増す良い連鎖を生み出そうという講座だったのだ。自分の中にある心的快感の存在をつかみきれていないために、男性が講座の内容に納得感を得られなかったならば残念。セックス以前の、自分の心の在り方から考えていく必要があったのかもしれない。

芽生えつつある「男性の連帯」

男性が自分の心について同性と話し合いたい、わかり合いたいと考えたとき、それが叶う場所はまだ少ない。かねどーさんのように積極的に男性の話を聞きたいとアクションを取る人がいても、積極的にそこに乗り込んでいける男性も少ない。しかし、宮城県仙台市に面白い団体がある。「男性の男性による男性を考えるための勉強会を行う、市民団体『Re-Design For Men』」だ。

Re-Design For Menは、仙台市で定期的に男性参加限定の討論会、勉強会をおこなっている。2月25日には男の勉強会「男と暴力」が開かれた。10代から60代まで幅広い世代の男性が、暴力を切り口に「男らしさ」にまつわる問題や自分自身の悩みについて語り合ったそうだ。過去には「男と愚痴」「男と性欲」「男と親」「男とアダルトビデオ」などのテーマが設定されたこともある。からかい文化があるために友達同士では話しにくいと感じている男性が、Re-Design For Menのような場所で自分の心を見付けられるなら、それは素敵なことだと思う。男性が自分の内面について考える機会の増加は、男性自身の幸福にも女性の幸福にもきっとつながっていくはずだ。

今回のセックス講座を通して痛感したのは、男性には「射精やプライドのためのセックスは好きだがコミュニケーションや満足度を求めるセックスには興味がない」という層がある程度いるという事実だった。しかし一方で、かねどーさんやRe-Design For Menのように男性の課題を男性同士でわかち合っていこうと活動を始めている人たちもいる。自分の気持ちや欲求が把握できていないと上限が生まれるのは、セックスの気持ち良さだけではない。恋愛や仕事、家庭、趣味、果ては人生の満足度にも天井ができてしまうのではないだろうか。気持ち良いセックスをしていくため、そして自分の人生を生き抜くために「俺の心」をてらいなく見つめていける男性が増えるよう、これからも応援していきたいと感じた。
(むらたえりか)

miwaが女に嫌われる女トップに立った理由…それは「警戒心」の発動ではないか

 3月3日でデビュー7周年を迎えたシンガーソングライターのmiwa(26)。歌手としてだけでなく女優としても活動の幅を広げている彼女だが、4日には初のビジュアルブック『SPLASH☆RHYTHM』(ワニブックス)も発売。撮影をレスリー・キーが務め、衣装は伊賀大介のオリジナル、アートディレクションは森本千絵と、そうそうたるクリエイターを揃え気合の入った一冊だ。

 その発売を記念してmiwaは5日にトークイベントを行い、イベント後の取材では女優業進出について「慣れないことに挑戦する不安や大変さはあるけれど、そこから学べることもあります。自分自身の枠を広げていければ」と話していた。

 しかし女優として出演した作品の伸びは今ひとつ良くない。ヒロインを演じ映画初出演作となった『マエストロ!』(2015)は公開初週の観客動員数ランキング5位で興行収入は1.2億円、そしてつい先日公開された主演映画『君と100回目の恋』もまた初週5位、興収は約9560万円にとどまり、公開二週目の『キセキ−あの日のソビト−』をはるかに下回ってしまった。

手あわせ事件

 『君と100回目の恋』では劇中バンド「The STROBOSCORP」としても精力的にPRし、ダブル主演で恋人役の坂口健太郎(25)と共に音楽番組にも出演したが、これが逆に大ブーイング。miwaを「あざとい!」と毛嫌いする層が一気にバッシングのようなコメントをネット上で展開することにもつながってしまった。具体的には、生放送音楽番組『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)にて、トーク中に突然「映画の中でも手を合わせるシーンがあるんですけど、(坂口は)手が本当におっきいんですよ」と坂口と手のひらを合わせたこと、歌唱中も坂口のソロパートで坂口の顔を上目遣いで見つめ続けたこと、最後のエンディングトークでもMCのタモリと話している坂口を隣からずっと見つめていたことなどがブーイングの火種だ。

 森永「ベイク」のCMでの演技も「この女はヤバイ」と一部視聴者層から危険視されていたが、Mステで一気に着火、拡散し「女に嫌われる女」のトップに一躍おどりでた格好だ。ちなみにmiwaは昨年9月の「第23回 東京ガールズコレクション2016 AUTUMN/WINTER」で坂口が登壇したステージにシークレットゲストとして召喚された際も、Mステと同様に「手がおっきいの!」と興奮気味に坂口と手のひらを合わせていた。このときもまた、客席からは動揺の悲鳴が上がっていたという……。行動ひとつで同性を阿鼻叫喚させるmiwa、恐るべし。現在は消えたが、一時期はGoogle検索で「miwa」と入力すると、「miwa あざとい」がキーワードのトップになっていた。

 しかしmiwaのようにアイドルに近い売り方をする歌手や女優なら、多少の「あざとさ」や「ぶりっ子」は通常営業。突き抜けた「ぶりっ子」はむしろ女子ウケするもので、InstagramなどSNS全盛の今はどれだけ可愛く盛れているかが同性支持を左右する。女子大生層から圧倒的な支持を集める元アイドル・ゆうこすなどはその良い例だ。美人だったりスタイルが良かったりメイク上手だったりモテる事実を隠さなかったり、そうした要素は少なくとも同性から嫌われる要因にはならず、下手に非モテアピールをするほうが「あざとい」と叩かれる。他の女性タレントとmiwaのどこに違いがあるのか。

罠にハメられそう

 一言で言えば、miwaは同性に対して「警戒心」を抱かせるタイプなのである。「近くにいたら、自分が悪者にされそう」な要注意人物として認識されている、ということだ。もちろんmiwaは基本的に一般人の近くには来ないので無害ではあるのだが。

 また、Twitterアカウント:OLちゃん(@kawaii_ol_)さんが2月に『君と100回目の恋』のメインビジュアルと共にツイートした文章、『miwaと坂口健太郎のこと好きでも嫌いでもないんだけど、どうしてもこの画像を「好きな男に私の悪口を吹き込んで横取りした女」と「女の言うことを真に受けて私を嫌いになった男」という設定で見てしまい、勝手に腹を立ててる』は多数の共感を集め拡散された。

 自分が悪いことをした覚えはないのに、いつのまにか仲間内で悪者扱いされていた苦い経験。その黒幕が、誰からも好かれる明るく優しい女子だったというえげつない真実。そうした個人的な記憶がmiwaを見ることで呼び起こされ、miwaへの嫌悪感に繋がる……という構図が、あるのかもしれない。繰り返すようだが、miwaがそうしたえげつない行動をしたわけではないのだが。

 そんな苦い記憶と共にmiwaバッシングが錯綜するも、彼女の所属する芸能プロダクションであるトライストーン・エンタテイメントの社長が「男女の仲」を噂されるほどmiwaに入れあげているため、当分はゴリ押し状態が続くだろうという見方もある。フジテレビが夏と冬に催す一大音楽イベント番組『FNS歌謡祭』にも欠かさず出演し、大御所歌手と組んで持ち歌でない楽曲を歌いこなすmiwaだが、共演した大物シンガーからの評判も軒並み上々で、年輩方から可愛がられていることが伺える。miwaによって心がザワついてしまう女性たちがどれだけいようとも、当面、彼女の活動は安泰だろう。

 とはいえ現状の「かわいくて爽やかで明るい」シンガーかつ女優としてのウリは、30代を過ぎても変わらず通用するスタイルではない。そのまま継続するだけでは幼すぎるし、何より飽きられるのが自然だ。Aiko(41)や椎名林檎(38)、YUKI(45)など30代~40代でも一線で活躍を続ける女性シンガーもいるが、彼女たちのような独自の世界観および支持層をmiwaが確立しているとは言い難く、現状の路線では難しいだろう。同世代では西野カナ(27)が同性支持という側面で一歩も二歩もリードしている。そんな西野を意識したのか、昨年6月にmiwaがリリースしたシングル「Princess」は、まだ見ぬ運命の王子様に出会う日を夢見る女性を歌ったものだが、その歌詞は「まんま西野カナのパクり」と酷評された。miwaの持つ唯一無二の独自性、それこそがアンチの言う「あざとさ」に他ならないのだから、いずれはその側面を存分に強調したオリジナルな楽曲を期待したい。

(hin-nu)

餌を撒くだけで不倫希望男がみるみる寄ってくる!既婚者同士の合コン現場がアツかった

「100発100中、喰えるんスよ! マジでウテウテの入れ食い状態! 熱い! ヤバイ! 間違いない!」

 昨年、知り合いの既婚男性Y氏(40代前半)が、テニサーのようなテンションで教えてくれたのが、“既婚者合コン”なる出会いの場を斡旋するサイト『X』でした。一応サイト名は伏せますが、別に怪しい雰囲気のサイトでも、知る人ぞ知る的なサイトでもなく、Google検索窓に「既婚者 合コン」と打ち込めばすぐに出てくる、明るく健全な雰囲気のサイトです。表面上、背徳的要素を醸して不倫を煽るようなことは一切していません。

 不倫の出会い系といえば、数年前に既婚者向け出会いサイト『アシュレイ・マディソン』が大流行&登録者の個人情報流出で大混乱、ブームが下火になったことは記憶に新しいところです。海外からやって来た不倫推奨サイトが沈没した後、男性を中心にふつふつとその名を知らしめていたのが『X』でした。

 システムは非常にシンプルで、月に数回開催される飲み会に申し込み、参加するだけ。当日は、男女各3人ずつが座るテーブルがいくつかがあり、30分ごとに男性陣が各テーブルを順繰りに回るというもの。お見合パーティーの“回転寿司”の、グループバージョンと想像していただけたらわかりやすいかと思います。

 価格は男性約7000円、女性約3000円。開催日は平日や土曜の昼か夜、日曜の昼が多く、「30代から40代前半の日」や、「45歳以上の日」、「年上女性と年下男性の日」、「年収800万円以上の男性の日」といったように、年齢や趣味嗜好により選べるようになっています。

 まず苦労するのが、「申し込むこと」だと、T氏は言います。男性参加枠の約15席を巡り、予約の時点から水面下での戦いが繰り広げられているというのです。

「人気がありすぎて、男性枠は申し込み開始と共に即満員になってしまうんですよ。いつ予約が開始されるかわからないから、毎日30分おきに『X』のサイトを見て、新規申し込みが開始していないかをチェックしていた時期もあります。ここで知り合ったIT系の技術者には、『申し込みが開始したら、自動で申し込みができるプログラムを作った』という猛者もいたほどです」(T氏)

 それほどまでの人気の理由はほかでもない、冒頭にもある通り、「とにかくヤレる。魚影が厚い濃い」(T氏)の一点に尽きるといいます。昨今のお見合いパーティーなどの婚活市場では、男性不足が深刻化しているといった報道もありますが、逆転現象がここでは起こっているのです。いや、逆転ではありません、『X』をチェックしてみると、女性側も開催日の1週間前には埋まってしまいますから、男女ともに人気の高さがうかがえます。

「僕の印象では、子どもも手が離れ、純粋な飲み友達を探しにきた女性50%、夫の浮気の腹いせに自分もヤッてしまおうと企む女性40%、残り10%は、継続的な不倫パートナーを欲している女性です。既婚者同士だから、こういうところに参加している=ヤリ目と認識してOKなんで、話が早いんスよね」(Y氏)

 ギラつき系40代のY氏はそう言いますが、本当にそうなんでしょうか。マジでみんな、そんなにヤリたがっているものなんでしょうか? そこで、既婚・1歳と3歳の2児持ち30代女性である筆者が真偽を確かめるべく、ある土曜の昼下がり、既婚者合コンに参加してみました。

それは確かに合コンだった

 このサイトの合コンはすべて異なる年齢制限が設けられているのですが、私が参加したのは男女ともに30代半ばから40代半ばまでの会です。その日の人数は、男女計25人ほど。男女各3人ずつが1テーブルに割り振られていました。座る場所は『X』スタッフが采配します。見た感じ、男性はランダムのようで、女性は近い年齢ごとに同じテーブルになるようになっていたように思います。

 私のテーブル平均年齢は30代半ば。北関東から「午前中、仕事の研修ために都内に来た」からついでにここにも参加したという、全盛期の堂真理子(テレビ朝日アナウンサー)を彷彿とさせる女性(小6の息子アリ)と、10歳年上の夫がいる、山田優にアバズレ感をプラスした雰囲気の女性。いや、ふたりとも、まごうことなき垢抜け美人です。びっくりしました。

 ふと見渡してみると、年齢層が高めな女性はそれなりに(ああ、40代後半なんだろうな、とか)わかるのですが、でも総じて魚住りえっぽいというか、可愛いんですよ。うさんくさいサクラ臭もまったくなし。これはレベルが高い! もしいつも女性陣がこのレベルなら、Y氏があんなに興奮するのも頷けます。

 一方、男性陣はというと、Y氏のようなギラギラ系ばかりかと思いきや、みな、超普通。外見は好みがあるので言及しませんが、人畜無害な平均的男性ばかりです。一見、“不倫”とは無縁に見えるんですけど。

 そして、いざ1回転目、乾杯の合図と共に会話開始です。

「どこに住んでいるの?」
「仕事は何しているの?」
「休みの日は何してる?」

 当たり障りのない会話を、みな、緊張の面持ちで進めますが、いまいち盛り上がりに欠けます。つまらないと感じたのか、「このあと、予定があって」と、山田さんはここで帰宅してしまいました。

 そして2回転目へ。ここから徐々に、『X』ならではのプレイスタイルが垣間見えるようになりました。そう、ここはおみパのような個人戦ではなく、“合コン”の場。つまり、3人1組で回っている男性陣のチームプレイがいかに仕上がっているか否かが、テーブルが盛り上がる決め手だったのです。特に2組目はチームプレイの良さが顕著だったので、盛り上がりました。たとえば、こんな具合に。

「さっきのテーブルで、俺は岡田将生に似てるって言われてて、彼は堂本剛に似てるって言われてて。で、彼だけ何も言われなくて(笑)」
「おいおいー! 俺だけおっさんだからってひどいよなー(笑)」

「どっ」となる、一同。面白いか否かは別として、イジったりイジられたり、盛り上げようとする努力は好感が持てます。ここでついつい私ってば、「いやいや、鈴木浩介に似てますよー大丈夫ですよ」なんて言ったばかりに「え? 誰?」「え? 蒼井優にフラれた人? え? 誰?」となって、プレイを乱してしまったんですが。

 それは置いておいて、岡田が堂さんに夢中になり、山田優は去ってしまったので、鈴木と剛は私と喋る羽目に。剛が「この『X』をどうやって知ったのか」と聞くので、こう答えました。

「すごいハマっている知人男性が、オススメだと教えてくれたんです。鈴木さんはどうやって知ったんですか?」

すると鈴木、眼球をせわしなく左右に動かし、グラスを持つ手をぷるぷるさせながら、

「けっけけけけけけっっけっけけけけけっけ検索でっっ!」

と回答。そんなに動揺するなんて、一体なんて検索したんでしょう。<人妻 即ハメ 出会い>とかかな? さらに剛には参加動機を聞いてみると、不敵に笑い、なにやら語り始めました。

「俺には2人の師匠がいる。そのひとりは、団鬼六なんだ」

おお、さすがは既婚者合コン、話が早いどころの騒ぎではありません。「SMがお好きなんですか?」と聞くと、「ちょ(笑)違うから!」と、まるで私がバカみたいな反応。

「そうじゃなくて、団さんの思想に共鳴しているんだ。師匠って言っても会ったことないんだけど(笑)。いわゆる、エフィカシー的な話」

……え? えふぃかしー?

「あとひとり、これはマジの師匠なんだけど、苫米地英人さん。彼が言う、自分の壁を取っ払うことを実践しに、ここに来たってわけ」

 まさかの苫米地氏きたーーー! どうやら剛は、苫米地氏のセミナーの生徒のようです。まさかこんなところで、本サイトの運営会社・サイゾーのオーナーである苫米地氏の名前が出るとは思ってもみませんでした……。ひとしきり苫米地氏の話題で盛り上がったのち、3回転目。ここもチームプレイがよく、堂さんから「夫とは結婚する前から付き合い長いですからねー……」なんて発言を引き出すことに成功していました。

 そして4回転目。酒が回って疲れたのか、それともコミュニケーション能力が低い男性ばかりが集まったのか、全く盛り上がらず。しかも私が、「今日は1歳と3歳の子どもを夫に預けて来た」と言うと、ワンボックスタイプの軽自動車に乗り、パズドラばっかやってそうなロバートの馬場裕之(料理が得意なメガネの人)といった風情の男が、こう言ったんです。

「え! 旦那さんに!? 大変じゃん。すごいことさせるね!?」

 はあ? すごいことさせる? いや、おめえも子ども2人、奥さんに預けて、しかも仕事だって嘘こいてここに来てんだろが。つうか、なんで「夫が子どもを見る」=「大変なことをさせる」と文句言われなきゃなんねーの? と、小出愛氏の「イクメンとかいう言葉そのものが、妻にとっては邪魔でしかない」がよぎりつつ、反論。

「いやー普通に、私が見る日もあれば、夫が見る日もある、それだけですよ? 普通にやりませんかみなさん? しかも私はいつもやっていることですが、夫だけが大変なのですか? ねえ堂さん!」

 優しい堂さんは「そうですよお! うちも夫はやりますよ」と味方についてくれました。その後、馬場と険悪になり、残り10分、会話なくデザートをもそもそと食べていると、終了の合図。ちなみにご飯はコースになっていて、美味しかったです。飲み放題ですしね。

 2時間の飲み会が終了しましたが、ここからが、この“既婚者合コン”の本番だったのです。みな一斉に、まずは同じテーブルの人たちとLINE交換。それが終わると、男たちが他テーブルに移動し、続々とLINEを聞いてゆきます。堂さんには長蛇の列ができており、隣にいた私には、「堂さん並んでるし、その間にこいつのLINEも聞いておくか」くらいのテンションの男性数人から交換を要請されました。

 なんだか、“不倫”なんて空気、全然感じなかったなー。みんな、やけにあっさりとしていて、ギラギラも、ガツガツもしていなかったなあ。そんなことを考えながら帰路についていると。前言撤回。なんと鈴木から、こんなLINEが来たのです。

<次に研修で都内に来るとき、教えてね。一緒にごはん食べよう。ナイフとフォークを使うお店がいいな>

堂さん宛のギラギラメッセージ、あんた送り先間違えているよ……。指摘してあげると、

<ごめんなさい。間違えましたm(_ _)m はるさんとは友達になりたいです!>

と、こっちがフラれたみたいな一線を引かれてしまいました。ぎゃふん!

 さて、鈴木以外からも、数人からもLINEが続々。

<タイプだと思ったので、またゆっくり話せたらいいなと思いました>
<もっとゆっくり話ができれば良いな。今度ごはんでもどうですか?>
<近く会えるならお願いします。空いている日あったら教えてください☆>

 なるほど、男性側は合コン中はギラギラせず、餌を蒔くときだけ勢いをつける。あとは釣り糸を垂らし、女性が食いつくのを待つだけ。虎視眈々と、水面が揺れる瞬間だけを、狙う。一方の女性側は、お腹が空いていなければ食べなくていいし、空いたときに餌をつんつんとするだけで、男性側がすぐ釣り上げてくれると思います。どちらも過度にエネルギーを使わなくて済むから、傷もつかない。それが、既婚者合コンの正しいスタイルなのかもしれません。まあ、その後に修羅場が待ち受けているかもしれませんが。

 一番気になったのは、なぜ堂さんのような美人できちんとした女性が来たのか、ということ。堂さんは国家資格取得のため大学院に進学しました。となると、子どもの年齢的に、院卒と同時に結婚したのでしょう。「夫とは付き合いが長い」と言っていましたから、男性は夫しか知らない可能生もあります。あれだけ美人ですから、自分が美しい女だという自覚はあると思います。だけど夫はその価値を大切にしてくれず、行き場のない承認欲求が募り、ちやほやを求め、ここに来たのかもしれません。そんな、「週刊大衆」の名物連載漫画『感じる人妻』のような世界が、本当にあるんだあ。

 どうか堂さんには、しょうもない男の釣り糸に引っかからないでほしい――そうおせっかいに願いますが、それって美人な女友達と一緒にナンパされるブスが断るときの発想じゃん……。既婚女性のみなさま、たまには既婚者合コンに参加して、自分のモテ力を再確認してみるのもいいかもしれませんよ。きっと、明日への糧になります。

小栗旬の「労働組合」は、業界を変えることができるのか

俳優の小栗旬氏が俳優のための労働組合を立ち上げようとしているとのニュースがありました。ハリウッドのSAG-AFTRAをモデルとした組合にしようとしているそうです。以前の記事でも何度か触れたことがありますが、そもそも労働組合の意味や役割がアメリカと日本では大きく異なる現状において、俳優のための労働組合がどのように機能するのか、興味深く見守っていきたい話題です。

折しも、今月はまさに春闘まっただなか。労働組合の活動が最も活発になる時期です。

春闘は、毎年2月から4月にかけて、企業、業界ごとに行われる賃上げや労働条件の改善を求める労働運動です。特に春闘がその目的として大きく掲げるのが「ベア」ですが、これは賃金の底上げを求める「ベースアップ」という意味です。基本給が上がれば、それに紐づいて算出されるボーナスや残業代なども総じて上がるため、少しでも基本給を上げることは、労働者にとって非常に重要なことなのです。

しかし、春闘には大きな問題があります。それは、非正規雇用者は参加できない、また非正規雇用者には「何の関係もない」ということです。

以前お話したように、日本の労働組合というのは、正社員による、正社員のための「企業内従業員組合」です。日本の労働組合は、企業の成長を第一としたうえで、可能な範囲で賃金や労働条件の改善を求めるという妥協的な姿勢をとっています。したがって、日本の労働組合でブルーカラー労働者が求めるのは、同一企業内の「正社員」として、賃金や労働条件を雇用主に対して交渉していくことが前提となります。日本の労働組合は、ブルーカラーもホワイトカラーも全社員一丸となって企業の経営目的を達成するための「企業内従業員組合」なのです。そして、このような形態の労働組合に、非正規雇用者が参入する余地はありませんし、直接雇用されているのではない派遣労働者などには基本給アップなど関係のない話です。

欧米の労働組合が、同業種に従事するブルーカラー労働者の権利を守るための横のつながりによる業界内組織であるのに対し、日本の労働組合が「正社員」のための組織となっているのは、第二次世界大戦中の翼賛体制までさかのぼります。

戦時中、企業とは「高度国防国家の建設」に貢献する「生産人」の共同体であり、すべての国民は生産者でした。どのように国家目的達成のための生産活動に貢献するかによって区別はされても、全国民は勤労者であり、生産活動における「正規構成員」そのものでした。事実、徴用を中心とする労働義務制、賃金統制、給与体系の規定、就業規則の規制などを通じて、企業が「軍隊化」するとともに、すべての国民が生産活動に組み込まれていきました。勤労という概念は、国家目的達成のために、全国民が等しく生産活動に従事し、等しく貧困を分け合うことに正当性を与えるマジックワードでした。

戦後、企業経営の目的が国家目的の達成から、企業の収益アップを通じた成長へとシフトしても、企業の組織体制は国家によって管理されていた当時のシステムを引きずっています。日本企業の多くが垂直的なピラミッド型の序列構造を持つのも、違法な長時間労働さえもいとわない「滅私奉公」のサービス残業がはびこるのも、正規構成員どうし「我慢しあう」「助け合う」ことが美徳であり、「勤労奉仕は国家に対する責務」であった時代の負の遺産なのです。

一方の欧米では、企業の「軍隊化」や構成員たる労働者の「正規構成員」化は日本ほどには進みませんでした。日本は短期間で近代化、工業化を成し遂げ、国民一人一人が滅私奉公で無理をすることで欧米に追い付くしかありませんでしたが、時間をかけて近代化を達成していた欧米では、一人一人が日本ほど無理をする必要が無かったからです。ある程度余力がある中で戦争をしていたので、日本のように国内の全企業、全国民が挙国一致で戦争するという体制にする必要がなかったのです。

日本では戦後、農業従事者や地方出身者が大挙して都市部に流入し、ブルーカラー労働者として製造業に従事するようになるという大規模な社会移動が起こりました。これによって、大多数の国民が、同じような企業で、同じような職業につき、同じような賃金で働くという状況がしばらく続きました。「一億総中流」社会が誕生したのです。

欧米ではこうした産業の変化による社会移動や階層意識の変遷も、日本よりも長い時間をかけて変化していきました。日本では「お父さんは地方の農家の息子だったが、1960年代前半に高卒で東京に出てきて製造業に就職。高卒で事務職をしていたお母さんに出会って結婚し、子ども3人に恵まれた。長男は高卒で大手自動車会社に就職。長女は短大卒業後に就職したが結婚を期に退職。次男は大卒でバブル末期に銀行に就職し、同僚の女性と結婚」というのも珍しい話ではありません。

日本では、父である1世代目で大きな社会移動が起こり、2世代目では同一家庭内にブルーカラーもホワイトカラーも混在しているという状況も珍しくはありませんが、欧米ではこうした大規模な社会移動も3世代以上かけて、ゆっくりと達成していきました。

一つの家庭内であれば、こうした階層の違いは「中流意識」のもと黙認されますが、3世代目、4世代目ともなれば、それぞれ全く違う階層に属する状況が固定化し、階層意識の分断も進みます。著しい経済成長が終わり、社会移動が見込まれなくなった社会では、3世代目がブルーカラーならば、4世代目もブルーカラーとなり、3世代目がホワイトカラーならば4世代目もホワイトカラーとなります。欧米社会で日本よりも明確な階層の分断が見られるのは、階層意識も日本よりも時間をかけて形成され、強固に踏み固められてきたからです。そして、日本もこの状況に近づいていますが、日本の労働組合はその変化にキャッチアップできていません。

日本の労働組合は、80年代中盤までの製造業における「ブルーカラーもホワイトカラーも関係なく、正社員を中心とした企業形態」が基本系です。90年代以降に急増し続けているサービス業やIT業界、非正規雇用の急増といった状況に対応できていないのです。

階層の分断が明確な欧米では、労働組合の役割というのは「正社員」にこだわるのではなく、あくまでも「労働者階級」のための階級闘争的側面の強い、社会運動です。しかし、一企業内の「正社員」を基準にした日本の「企業組織」は、階級闘争としての社会運動としては弱く、「正社員」の枠組みの外でさらに苦しんでいる労働者を救うような社会運動としても弱いのです。

翻って、小栗旬氏の「俳優労働組合」について考えてみましょう。アメリカの「SAG-AFTRA」という組織は俳優、アナウンサー、脚本家、演出家など、エンターテイメント業界のあらゆる職種の人が加盟しています。

アメリカの俳優というのは、自分でエージェントを探し、自分で仕事を見つける完全なる「自営業」です。しかし、日本の俳優の場合、事務所に所属し、事務所が仕事を見つけ、事務所から給料をもらうという「正社員」と同様の形式になっています。もちろん、雇用契約自体は事務所と「自営主」という関係かもしれませんが、「自営業」といえるほどの自由度はありません。

SAG-AFTRAはエンタメ業界で働くすべての労働者が、賃金や労働環境の改善を求めて団結して戦うための組織です。そこには、アメリカという階層分断の強い社会で、業界内のすべての労働者が横の団結である労働組合を通じて階級闘争、社会運動を行ってきた歴史が反映されています。

アメリカで「エンタメ業界労働者のための労働組合」が誕生したのに、日本ではそうした労働組合が誕生しなかったのも無理はありません。階層分断があいまいに見過ごされ、労働組合が職種に関係なく正社員のための「企業内従業員組合」である日本で、「業界内のすべての労働者、ブルーカラー階級のための社会運動」としての労働組合は盛り上がりようがないのです。

もはや日本社会の階層分断はごまかしようもなく、「目に見える」格差です。労働者の半数が非正規社員で、正社員のためだけの交渉を行う労働組合など、労働者のための組織ではありません。仕事内容そのものや生活水準の違いに目を向け、業界全体や労働者どうしの横のつながりによって団結し、賃金や労働環境の改善を求めていくことこそ、日本の労働者に必要なことです。労働者が一人で経営者に対して待遇改善を求めることは不可能です。労働組合には、一人ではできないことでも、団体交渉を通じて達成するための力があります。その力を、「企業内従業員組合」としてではなく、社会運動として生かしてほしいと思います。

フジ『めちゃイケ』『みなさんのおかげ』、5%割れの大爆死連発も「打ち切れない」裏事情

 間もなく新年度とあって、現在テレビ各局から改編情報が続々と発表されている。視聴者のテレビ離れが叫ばれる中、各局とも打開策のために試行錯誤していることが見て取れるが、「最も視聴率不振に悩んでいるはずのフジテレビは、視聴者から“打ち切り寸前”といわれている番組を切ろうとしない」(スポーツ紙記者)という。

「フジといえば、“月9ドラマ”の低迷が目立ち、現在放送中の『突然ですが、明日結婚します』も、第6話で歴代最低単話視聴率の5.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録し話題になりました。しかし、バラエティも他局に比べて落ちこぼれており、中でも、ご長寿番組の『めちゃ×2イケてるッ!』と『とんねるずのみなさんのおかげでした』に対しては、ネット上で『面白くないのに、何でダラダラ続いてるの?』『もう打ち切りにするべき』といった反発の声が上がっているほど。マスコミの間では、ここ数年ずっと“打ち切り説”がささやかれていますが、両番組は今年4月以降も相変わらず続くことが発表されました」(同)

 業界内外から「さっさと打ち切れ!」といわれるのにも理由がある。まず、『めちゃイケ』は2004年に平均視聴率33.2%を記録したこともある人気番組だったが、近年は1ケタ台を連発し、16年1月には4.9%にまで落ち込んだ。また、『みなさんの~』の方も、同10月に4.7%、11月には4.6%と、やはり“5%割れ”という悲惨な結果を残している。

「数字だけ見れば、どう考えても打ち切りにすべきですが、実は両番組ともに、フジ幹部の“後押し”があるため、現場が打ち切りたくても打ち切れないんです。『めちゃイケ』は長年の功労番組として、亀山千広社長から評価されており、また、『みなさんの~』は、とんねるずが日枝久会長と親交深いため、誰も口が出せない状況が、長らく続いています」(テレビ局関係者)

 こうして、赤字続きの『めちゃイケ』と『みなさんの~』が残される一方、14年には『森田一義アワー 笑っていいとも!』、16年には『ライオンのごきげんよう』と、昼のご長寿番組が続けて終了になったという。

「ただ、功労番組であるはずの『いいとも』や『ごきげんよう』が打ち切られた前例もありますから、『めちゃイケ』には見切りがつけられるのでは……ともいわれています。しかし、『みなさんの~』に関しては、日枝会長がいる限り、打ち切りはあり得ないでしょう」(同)

 各局が本気で改編に取り組む中、思い切った改革に踏み出せないフジには、来期も期待できそうにない。

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