「やっぱり女は夫を立てないと」? 蓮舫の『金スマ』恐妻家アピールをどう捉えるか
民進党の蓮舫代表(48)が、18日放送の『金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)に出演、自宅にテレビカメラを招き入れ、家族を公開した。蓮舫は元タレントであり、スタジオには1980年代後半~90年代の同時期に若手タレントとして活躍した仲間としてRIKACOがゲストで招かれた。二重国籍問題を追及された“渦中のオンナ”蓮舫に対する世間のイメージを、番組では「キツそう」「恐そう」「家庭のイメージがない」「プライベートが見えない」等とパネルにまとめて紹介。そこで自宅にカメラが初潜入、そのプライベートを明かし、イメージアップを図る企画……と思われた。
だが、放送内容がむしろイメージダウンにつながってしまったかもしれない。結果的に彼女の「キツそう」「恐そう」の面がクローズアップされるばかりで、Web上でも「これで好感度が上がると思ったのか?」と計算違いを指摘する批判が多数上がっている。どのような内容だったか。
目黒区に立つ一戸建ての豪邸が蓮舫の自宅。庭にも草木が生い茂る邸宅はそもそも蓮舫の実家であり、彼女の母親と夫、よく吠える愛犬たちや愛猫と暮らしている。19歳の娘と息子(双子)は海外留学中だというが、この二日前から、ニュージーランドの高校に通う娘が日本の大学受験のために帰国していた。
結婚生活24年めだという夫婦の寝室にはベッドがふたつ、離して置かれていた。レポーター役の男性アナウンサーに「別々に寝るんですか? 旦那さんと」と質問され、「もちろんです」。
アナ「たまに、一緒に寝たいなあというときはどちらかのベッドに?」
蓮「ない。ない」
アナ「甘えたいときとか?」
蓮「ないですね。その気持ちがないですね、感情として」
といった具合で、番組冒頭で示した“世間のイメージ”を裏切るどころか強固にするスタートを切った。「仮面夫婦なのではという疑惑はさておき…」とナレーションが入る。ここで早速登場した娘・翠蘭さんは1000年に一度のフレーズでお馴染み・橋本環奈にも似たアイドル並の可愛らしさ。彼氏の存在や、恵比寿の庶民的な居酒屋でのアルバイト経験なども明かしていたが、プライベートを追うストーカーが出没しないか心配になるほどだ。
他方、息子の写真およびコメントも紹介されたが、こちらもジャニーズタレントかという美形。蓮舫の誕生日には毎年、息子がスマートフォンケースを送ってくれるのだという。こちらも海外で学生生活を送っているため、日本で暮らす母からは「すごい数のLINEが来る」そうだが、「(母に)直してほしいところは無いですね、母は、僕が思うところは100点ですからいつも」「ネット上の悪口とかもあるけれど気にしないで自分のやることをやっていればいいんじゃないかと僕は思います」とのことで、よく出来た息子ぶりである。
蓮舫は高校のときから「双子を産みたい」と思っていたそうで、その理由は「だって(出産・子育て期間が)一回で終わるじゃないですか」。「妊娠期間も一カ月でいい。本当キツいですよ、10カ月って軽く言いますけども」とも話した。筆者もここは完全に同意した。
こうした子供たちとの関係性には、特に批判めいた声は上がっていない。やたら問題視されているのは、「夫との関係性」である。蓮舫宅の壁には子供たちの誕生日ごとに必ず撮影するという家族写真が飾られているが、その写真を見ながら夫(早稲田大学非常勤講師の村田信之さん)の髪が年々薄くなっていることをアナウンサーが指摘すると、「そのうちフェイドアウトするんじゃないですかね。居なくなる」と蓮舫は答えた。頭髪はすでに髪を残さない坊主頭なので、“フェイドアウト”とは、家庭から居なくなる、という意図のジョークなのだろうか。
さらに家庭内での序列について、ズバ抜けて一番上に君臨するのが母・蓮舫で、だいぶ離れた下位に双子、その下にペット、そして最も位の低いのが父親であると翠蘭さんが語り、蓮舫も同意。同じ質問を、スタッフが別の場所で夫・信之さんにすると、やはり答えは同じで「序列ですか? 家族の? 正直なところは最下位じゃないですか? 植物以下というか。邪魔にならないようにしてますね。植物は光合成で自立している、水があればいい。でも私は水だけでは生きていけない。(家族へ)今後とも宜しくお願いします」とコメントしていた。
また、蓮舫は夫を「村田」「村田くん」と呼ぶこと、夫婦の結婚記念日やプロポーズの言葉も覚えておらず「覚える必要がない」「すごいヤなオンナですね、ハハハハ」と自己申告している(一方の信之さんは覚えている)ことも含め、番組では“気の毒な旦那さん”という煽り方がなされていた。笑いを生むための演出……にしては、視聴者の反応を見ると、笑えない演出だと解釈した人も多かったようだ。「気の強い妻の尻に敷かれる、かわいそうな夫」の構図、確かにわざわざ笑えるような演出ではない。番組の意図がわからなくなる。蓮舫のプライベートを見せて、「キツい」イメージを少し和らげようということなのかと思ったが、むしろ強まるばかりである。
しかも、そのように「旦那を尻に敷くオンナ」演出がひとしきり済んだ後で、「料理や掃除などの家事は、ちゃんとやるんですよ」アピールのコーナーが入る。「子供がいるときは必ず料理をつくるが、いないときは全くしません」「息子と娘で食事の好みが違うから、それぞれの食べたいものをきいて作っていたので中学三年間の弁当作りは大変だった」等と話す蓮舫と娘。しかしアナウンサーは冷蔵庫チェックをおこない「本当にお料理しているんですか? してないでしょ?」と詰問する。外で仕事をしていて会食も多いであろう業務の人に、「料理しなきゃダメですよ」と圧をかける流れが不思議だが、それに応じるように「いえいえちゃんとやってますよ」と娘の好物だという炊き込みご飯を出す蓮舫も蓮舫だ。しかし出された炊き込みご飯に「店屋物ではない?」とツッコむアナウンサーの目線はとことん失礼だった。
結果、何が言いたかったのだろうか? 蓮舫みたいな強くてキツい女は、子育ても家事もしなさそうだけど、意外と料理や育児はやるんですね……でも旦那さんにはキツい態度そのままなんですね(笑)……ということなのだろうか。最後には、同居する蓮舫の実母も登場したが、「私はズボラだけど、この子は掃除も炊事もする」と後押し。実母は77歳といってもいわゆる“おばあちゃん然”とした女性ではまったくなく、豊かな髪にピンと伸びた姿勢、綺麗に施された化粧など60歳前後に見える若々しさがあった。台湾バナナの輸入会社を経営し今も現役で働いているという(若かりし頃、美の伝道師と呼ばれたBAの先駆け“ミス・シセイドウ”として活躍していた人らしい)。
長いVTRのシメは「旦那さん、蓮舫さんに負けずに頑張ってください!」というナレーションだった。彼女がわざわざ、持ち前のイメージを強化するだけのテレビ出演を果たしたことに意味があったのかどうかは疑問だ。だが同時に、番組の作り方次第で、彼女を「立派な妻」に見せることも、「カカア天下おばさん」に見せることも出来ただろうに、とも思う。夫婦揃ってのシーンを撮ることもスケジュール的に難しかったのだろうか? 話題にはなるけれども、彼女の支持につながるような放送内容ではなかったように思う。そして蓮舫のイメージだけの問題ではなく、「やっぱり女は夫を立てないと」「仕事をしていても家のことは女がやらないと」といった固定概念の強化にもつながる演出だったことが残念だ。
(ヒポポ照子)