『27時間テレビ』は、なぜ失敗したか……ジャニーズファンを犠牲に、努力を放棄したフジテレビ
フジテレビ『FNS27時間テレビ フェスティバル!』番組サイトより
『FNS27時間テレビ フェスティバル!』(フジテレビ系)が、歴代最低となる7.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。今年はメインMCを立てず、企画ごとに司会者が変わるリレー方式が採用されたため、番組としての一体感を欠くものとなったが、なによりコアな視聴者を落胆させたのは深夜帯の編成だろう。
「『27時間テレビ』の深夜帯といえば、ナイナイがダウンタウンと共演し大失敗(1997年)や笑福亭鶴瓶の“開チン騒動”(2003年)、ノブコブ吉村の2,000万円の愛車破壊事件(15年)など、放送事故ともいえるさまざまなハプニングが起こしてきました。ある意味では、お笑いメインの『27時間テレビ』の醍醐味といえる場所ですが、今年は実に味気なかったですね」(放送作家)
今年の『27時間テレビ』深夜帯の流れは、夜11時過ぎから東国原英夫をゲストに迎え『さんまのお笑い向上委員会』を放送。その後、毎年の恒例企画「さんま・中居の今夜も眠れない」が続く。東国原の生尻披露、ベッキーからの生電話、さんまから中居へのSMAP解散騒動へのツッコミなど、いくつか見どころはあったものの、今ひとつインパクトを欠く。さらに、例年ならば若手芸人が登場する深夜帯の第2部は、Hey!Say!JUMPとKis-My-Ft2のジャニーズタレントによる対決番組「いただきハイジャンプ×キスマイBUSAIKU!?超合体フェス」が放送された。
「メインコンテンツである“カッコいいキス対決”以外は事前収録のVTRをスタジオで観覧するだけで、生放送でやることはもちろん、果たしてこの時間帯に放送する必要があったのか疑問です。むしろ、日曜午後に連続して放送された若手芸人の出演企画『爆笑キャラパレード紅白キャラ合戦SP』『笑わせたもん勝ちトーナメントKYO-ICHI』と放送時間が逆ではないかとも思ってしまいました」(同)
確かに、ネット上の反応を見ても「(目当ての企画まで)長いから眠い」「放送時間遅すぎだから録画した」といったジャニーズファンの書き込みが目立つ。お目当ての企画まで、同じジャニーズ絡みでも、馴れ合いでダラダラと続く「さんま・中居」を見させられるのは拷問だっただろう。この編成には、フジテレビの姑息な視聴率対策も透けて見える。
「毎年この時間帯は、最も視聴率が低下します。そのため、若手芸人が暴走することで、視聴者をハラハラさせて眠らせない、テレビを消させない工夫をしていたといえます。ところが今年は、その努力を放棄し、ある程度の数字が見込めるジャニーズタレントをこの時間帯に配置するとは、あざとすぎますね」(同)
だが、この方策がなければ、平均視聴率はさらに底を打っていたことは間違いない。お笑いメインの27時間という自らの持ち味を中途半端に放棄したフジテレビは、視聴者から総スカンを食らってしまったようだ。
(文=平田宏利)