『HEARTWORK Symphony of Destruction』手にした人間を狂わせる銃…ハードボイルドエロアニメ
メタルファンが反応せざるを得ないタイトルのエロゲーを知っているだろうか。Activeの『HEARTWORK Symphony of Destruction』だ。 「HEARTWORK」はメロディックデスメタルの生みの親・CARCASSの名盤タイトルだし、「Symphony of Destruction」はスラッシュ四天王・MEGADETHの名盤『Countdown to Extinction』収録の大ヒットナンバーだ。これはシナリオライターの聖少女の影響だろう。聖少女はHR/HMファンを公言していた。 この作品はハードボイルドがゆえのエログロさや、エンディングによっては設定やキャラの性格が様変わりしてしまったり、マルチエンディングにしたがゆえのシナリオの短さなど、所々に気になる点が散見されたゲームであった。そのため、人によってかなり評価の異なった。 しかし、当時ではまだまだ珍しかった全キャラクターがフルボイスであり、ディスクレス起動などのシステム面は革新的でもあった。エロシーンも多く、鬱ゲー要素と抜きゲー要素を兼ね備えていた。筆者はかなりの良作と捉えている。 そんな『HEARTWORK Symphony of Destruction』だが、メディアバンクよりエロアニメ化し、3本リリースされている。とはいえ実際は2+1であり、最初の2本と1本は別ルートの物語となっている。ここでは最初の2本を中心に話を進める。まずは公式の紹介文だ。 “キャッチ”。それは持つ者を狂わせる魔性の銃。 危険なゲームの先に待ち受けるのは「生」か「死」か。 廃棄処分したはずの呪われた銃が、この世に存在していた。ある日、その銃を偶然に手に入れてしまう朝倉優。銃が入っていた鞄には大量の現金と、謎の人物による暗殺依頼のビデオ。元の鞄の持ち主は「ハンター」と呼ばれる殺し屋だった。 なんの変哲もない平凡な学生だった優の人生は、その日から一変してしまう――。 本作で重要な存在である銃・キャッチは、朝倉優ともう1人の主人公とも言われているほど重要な存在だ。銃は「コルト・オートマチック1911A1」。この銃を手にしたら精神が銃に支配され、平気で人を殺せるようになってしまう。これがなかなかにサディストで鬼畜だ。 薬漬けの女に乱暴し、ことが済んだら撃ち殺すなんてことは朝飯前。そのときの朝倉優の表情は、普段おだやかな彼とは似ても似つかない、狂気に満ちたものになる。 だが、常にサディストになっているわけではない。身の危険を感じたときや、銃の使用の必要性が感じられたときに豹変する。ずいぶんと都合のいい作りとなっているが、さらに身体能力も向上するというおまけつきだ。 物語の根幹は呪いの銃の謎と秘密を解くというより、その銃を持ってしまった人間の変わり様を掘り下げていく展開だ。『A KITE』にあったSFっぽさはない。本作品には謎解きやサスペンス要素を求めず、あくまで銃撃戦や暴力などのバイオレンス部分を楽しみ、最終的に主人公がどうなっていくのかを見届けるのが正しい楽しみ方だ。 血飛沫やグロの描写は良くできていて、作画崩壊などはない。少し古い作品なのでキャラデザには時代を感じるものの、大きな問題ではない。 ちなみに3巻目だが、先述通りこちらは別ルートなので、1~2巻で死んだはずのキャラが普通に生きていたりする。エロ目的だけでいうなら3巻がオススメだ。明らかにエロを中心にした展開となっている。銃も絡んでくるが、おまけ程度だ。 難解なものが多かった古き良きエロゲーや、ハードボイルドものが好きな方にはぜひオススメしたい作品である。ハンター・市原正樹が『マクロス7』の熱気バサラにそっくりなのもご愛嬌ということで。 (文=穴リスト猫) 【視聴はこちらから!】 ●HERATWORK Symphony of Destruction JUNCTION:01「焦燥」 ●HEARTWORK Symphony of Destruction JUNCTION:02「邂逅」 ●HEARTWORK Symphony of Destruction JUNCTION:03「禁忌」