ツキに見放された岩田康誠騎手に「評論家」が浅い意見
24日に開催される香港のクイーンエリザベス2世C(G1)に出走を予定しているヌーヴォレコルトが、武豊騎手鞍上となることがわかった。オークスを制するなど、この馬の大半のレースに騎乗していたのは岩田康誠騎手だが、痛恨の乗り替わりとなってしまった。
この馬への調教を主な目的として、スポット的にではあるが関東に身を移した岩田騎手。それだけ惚れ込んでいた馬に大舞台で騎乗できないというのは辛いに違いない。
先週大阪杯(G2)に出走したヌーヴォレコルトは、見せ場なく6着に惨敗。スローペースを道中3番手という好意につけての惨敗に、競走馬としての力の低下を感じた人も多かったかもしれないし、キレ味勝負が得意でない部分もあるだろう。その中には「直前の調教がきつすぎた」という意見も多く(ヌーヴォレコルトの直前調教のタイムが破格だった)、その判断をした岩田騎手に責任が......という声があるのも事実だ。
つまり、すべての責任が岩田騎手にあるというわけではない。斎藤誠調教師や厩舎スタッフにも、当然ながら大阪杯の敗戦の原因はある。「誰かが責任を取らなければならない」という状況で、岩田騎手が乗り替わりとなったとも考えられるだろう。
乗り替わった相手が武騎手というのも、理由の一端が見える。武騎手の海外経験の豊富さはもとより、今年はラニでアメリカのケンタッキーダービー(G1)、エイシンヒカリで欧州G1競走にも挑戦することが決まっている。「海外志向」が高まっている武騎手に白羽の矢が立ったと考えれば納得もいくところだ。
岩田騎手としても、現状は海外遠征よりも国内での勝利を伸ばすことに集中したかったという部分もあるのかもしれない。最近の岩田騎手はとにかくツキに見放された感があるが、様々な要因によって競馬の結果や騎手の選択は変わる。それは大前提であり、岩田騎手にも気分一新でがんばっていただきたい。
そんな中、大阪杯の結果に関して「岩田騎手の調教が原因では」と真っ向から批判した人物がいた。
その人物とは、競馬評論家の柏木集保氏。柏木氏はレース終了後、「追い切りは騎乗者の判断だったというが、 さすがに直前の調教がきつすぎた面もあるのではないか。 トップジョッキーは、レースでは一流でも、調教は加減しすぎて調教にならなかったり、 逆に走らせすぎたり、なぜか調教でも一流の乗り手とは限らないケースが多いとされる」と発言。その後「今回のような高速上がりのレースはもともと得意ではなく」などと付け加えている。
ずいぶんはっきりと言うものだと思うと同時に、いろいろと補足情報はあるものの「普通の、誰にでも思いつく浅い見解」と感じた。「競馬評論家」を語るなら、もう少し独自の見解を見せてほしいものだ。後出しジャンケンのように感じてしまった。
(文=ねある子)