松本明子が明かした「息子への行為」は性的虐待ではないのか?
1月25日に放送された『しくじり先生 俺みたいになるな!!自己中&無気力で大失敗スペシャル』(テレビ朝日系)での、タレント・松本明子(49)の発言が物議を醸している。
『自己チューで大問題ばかり起こしちゃった先生』として登場した松本は、1984年にテレビ出演した際に女性器の通称を叫ぶという通称『四文字言葉事件』を起こしているが、この真意についても語られた。“先輩芸能人にこの言葉をカメラの前で言うようそそのかされた”と過去にも何度かこの事件に至った経緯を説明していたのだが、最終的には「ウケると思った。よかれと思ってやった」と自発的な気持ちがあったと説明している。また「3回叫んだ」とも言っていたのだが、実際は1回、平坦なトーンで発言しただけであり、このあたりの盛りっぷりから、他のトーク内容にも多々盛りが含まれている可能性は否定できないが、その後に続いた、子育てに関するしくじりトークは、女性器発言なんかよりもずっと問題だった。松本は2000年5月に長男を出産しているが、この長男(しかも思春期の)に対し、
「息子がお風呂に入ったら、嫌がられても一緒に入る」
「1分に1回ぐらい『好きだよ』『愛している』などと言った」
「部活から帰ってくると全身をしつこくマッサージ」
「全裸で抱きしめる」
などなど「24時間365日、愛情のゴリ押しをした」と語ったのである。現在、長男は15歳。高校進学を控えた年である。
「部活〜」というくだりから察するに、幼児期ではなく、息子が中学生になった時点でこれらを実行していたということになるが、当然ながら長男は嫌がり「もう触るな」と言ってきた。するとそれでも息子との身体的接触を諦めたくない松本は「寝ている息子を密かに舐めた」。しかも「毎日舐めたので、舌で息子の体調がわかるようになった」とも。しまいには夫から「息子が"気持ち悪い"って言っている」と言われたことで、『相手のことを考えなければならないとようやく気付いた』のだという。それまでGPSで息子の位置を確認したり、勝手に荷物を整理したり、頼まれていないのにやっていた塾への送り迎えも止めた松本、最終的には息子から「ありがとう」と書かれた手紙を受け取れるまでに関係は修復できたらしい。
この息子への愛情表現についてネット上では「自己中という簡単な言葉じゃ済まされない」「自己中とかKYとかの範疇を超えてる」「引いた」などバラエティ的な面白さを通り越して恐怖を感じた感想が目についている。松本にしてみればおそらく“触るな”と言われたから“舐めた”のであろうが、寝ている間に舐められている長男の恐怖はどれほどであっただろうか。
松本が長男に対して行ってきた“愛情のゴリ押し”の数々に、同じく息子を育てる筆者としては異様さしか感じられなかった。確かに男の子を育てている母親は「恋人みたいで可愛い」などという表現をすることもあり、女の子とはまた違った気持ちを抱いて育児していることもあるようだが、松本の場合はその程度がすごい。長男と自分の境界がなく、ひとりの人格ではなく大事な所有物として見ていたかのようだ。特に問題だと感じたのは舐める行為である。越えてはいけない一線を越えており、テレビで笑いにしてしまえる話ではない。女親が、息子に対して「過剰な愛情表現」としてやったことだと発言しているから、問題視されなかったのだろうか。はっきり言って性的虐待ではないか?これが逆で、男親が娘を舐める、という事例であれば、受け取り方は全く異なるだろうし、番組サイドもこれを放送しただろうかと疑問に思う。おそらく、視聴者も笑って受け取ることができないはずだ。
また、現在も思春期まっただ中の長男が、この放送以後、学校などでどんな目にあうかも、松本は考慮する必要があったはずだ。笑いを取るためには家族でも何でも使う、というタレントとしての意気込みは理解できなくもないし、多くのタレントが実践していることだ。しかし家族にもプライバシーがあり、個人の私生活がある。それを話して番組でウケることと、その後の長男の生活への影響を、松本も天秤にかけたはずだ。そのうえで、松本は番組でウケること、すなわち自分が仕事で評価されることを選んだ。そして目論見通り、番組はウケ、話題になった。
長男の今後の人生を考えれば、この話をオープンにする必要は全くなかった。この放送が、ネットを中心に相当話題になってしまったことも不運である。松本のこうした行為自体、長男に気持ち悪さを抱かせているのに、放送で面白おかしく語ったことで、今後の長男の人生に何らかの影響を与えかねず、一度ならず二度、長男を困らせていることに松本は気づいているのだろうか。「相手のことを考えなければならないとようやく気付いた」というのであればこの長男に関する話は内容を吟味すべきだった。
(ブログウォッチャー京子)