「本」の記事一覧(16 / 17ページ)

羽田新ターミナルの全貌とは!? 空港の舞台裏を徹底取材した『空港をゆく2』

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『空港をゆく2』イカロス出版

 1月28日、“ミニスカCA”などで話題となった航空業界3位のスカイマークが民事再生法適用を申請し、事実上経営破たんとなった。JAL破たんに続き、何かと暗いムードが漂う航空業界だが、2010年、羽田空港にD滑走路が建設され、国際線ターミナルがオープンしてからは、近年落ち込んでいた空港利用者も増加傾向にあるという。

 以前は世界から評判の悪かった日本の空港(主に成田)も、東京五輪を控え、大きく変わろうとしている。『空港をゆく2』(イカロス出版)は、空港の舞台裏に迫ったムックだ。空港を「支える」「動かす」「守る」という3つのテーマを徹底取材し、全4章100ページにわたり、空港がどのように運営されているかを紹介している。世界で4番目に高い羽田の新管制塔、夜の滑走路を照らす航空灯火、ラブリーな麻薬探知犬など、普段見られない裏方の仕事をのぞき見ることができるのは興味深い。「美しすぎる世界の空港」など多数のグラビアも添えられ、ビジュアル的にも楽しい一冊となっている。

 くだんの東京空港(羽田空港)国際線旅客ターミナルとは、一体どのようなものなのだろうか。ゼロ年代初頭、航空需要の増加に伴い、羽田空港の再拡張が決定。着工から3年の月日を経て、2010年、4本目の“D滑走路”が完成し、待望の国際線旅客ターミナルがオープンした。

 この国際線旅客ターミナルビルは、機能性だけに偏重した従来のものと大きく異なっている。我々がイメージするターミナルというと、成田のような、天井が高く、内部もやたらと広いがらんどうの空間を思い浮かべるが、羽田の新ターミナルビルは建物を大きくせず、各施設間の心地よいアクセス性を重視。外国からの旅行者をおもてなしするため、和をデザインした“空の庭園”や、ショッピング街“江戸小路”、日本のカルチャーやトレンドを楽しめる商業エリア“TOKYO POP TOWN”などを設け、高いレジャー性を実現しているだけでなく、プラネタリムまで観られるという充実っぷりだ。富士の裾野をイメージした大屋根も流麗でカッコイイ。14年9月には、日本初のトランジット(乗り継ぎ客用)ホテル「ロイヤルパークホテル ザ羽田」も開業するなど、首都の空港としてふさわしい多機能と高いクオリティを備えたターミナルだといえる。「ザ羽田!」名前もイカしてる。

 成田・三里塚闘争に始まり、日航機墜落事故、赤字を垂れ流し続ける地方空港など、どことなくネガティブなイメージがつきまとっていた日本の空港・航空業界だが、この『空港をゆく2』を読むと、シビアな安全要求に応える裏方の努力や、過去の反省(主に成田)を生かして建設された新ターミナルの様子がよくわかる。鉄道や高速道路など、我々が利用するさまざまなインフラの裏側を描いたイカロスMOOK『○○をゆく』シリーズ。冬の寒い夜にいかがでしょうか。
(文=平野遼)

いったい誰が買うのか!? 『妹に教えたい世界のしくみ』が売れている……だと?

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『図でわかる!妹に教えたい世界のしくみ』(笠倉出版社)

 書店に行けば、ベストセラー書籍の影に隠れて「いったい、この本は誰が買うんだろう……」という本が、意外なほど数多く並んでいる。もちろん、そんな本のほとんどは、さっぱり売れないまま書店の棚から姿を消してしまうのだが、なぜか重版がかかるほど好調な売れ行きを記録しているのが『図でわかる!妹に教えたい世界のしくみ』(笠倉出版社)だ。「知った気になれる!」「政治宗教の派閥や力関係から経済のしくみまでいいかげんに図表化!」というキャッチフレーズが躍り、pixivでも人気の「米」氏による渾身の妹イラストが描かれた表紙。いったい、どんな人間が、なんのためにこの本を購入してしまうのだろうか……?

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東電、リクルート、4大証券会社が頼った“情報屋” 日本経済界の裏側で暗躍した「兜町の石原」とは

<p> 一般的に「情報誌」といえば、「ぴあ」や「東京ウォーカー」などを思い浮かべる人が多いだろう。しかし「兜町の石原」こと、石原俊介が発行していた「現代情報産業」は、そんな雑誌とは一線を画す“情報誌”だ。発行部数は1,000部にも満たず、価格は法人の場合で年額12万円。だが、内容はわずか7ページあまりの冊子にすぎない。</p>

「お手」や「おかわり」をマスターするかも!? 金魚をどんぶりで育てる『どんぶり金魚の楽しみ方』

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『どんぶり金魚』(池田書店)

 金魚を飼うというと、大きな水槽にエアーポンプやろ過装置、照明の設置、水草を植えたり……と、なかなか面倒臭いイメージがある。ところが、そんな余計な器具を一切使わず、どんぶりと水で育てよう! という画期的な飼育方法を薦める1冊が『どんぶり金魚の楽しみ方』(池田書店)だ。

 著者は、金魚博士の異名を持つ東京海洋大学長・岡本信明氏と、日本インターネット金魚愛好会副会長&日本らんちう協会常任理事を務める、金魚飼育歴40年の川田洋之助氏。その出会いは、東京海洋大学で開催された、普通の飼い主が形にとらわれない自慢の金魚を持ち寄る品評会「素人金魚名人戦」なるもので、川田氏は岡本氏が出陳した小さな金魚の“シロちゃん”に衝撃を受ける。涼しげで、ろくに水も入らないガラスの器の中で泳ぎ、近づくと、シロちゃんが遊んで遊んで~と顔をもたげ、愛嬌たっぷりで、会場のお客さんもメロメロだったという。

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生きるか、死ぬか――自給自足で登る、究極の山旅ハウツー本『サバイバル登山入門』

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『サバイバル登山入門』(デコ)

 電気やお金、常識、時には社会のルールからも遠く離れ、太陽の角度で時間の流れを読み、風を感じて天気を予想する。食べるものは自分で殺し、食べられるものと食べられないものは舌で味わい分ける。装備に頼らず、食料や燃料を現地調達しながら、登山道には目もくれず、道なき道を旅して歩く―――。それが、登山家・服部文祥氏独自の登山スタイル“サバイバル登山”だ。

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事件の裏に暗躍する半グレ、暴力団、中国マフィア……「餃子の王将社長殺人事件」は“企業テロ”だったのか

<p> 2013年12月19日、京都市山科区で一人の男が殺された。大東隆行、「餃子の王将」として知られる王将フードサービスの4代目社長だ。その死因は、4発の銃弾による失血死と判明している。事件から1年を経て、いまだに解決のめどがつかないこの事件をノンフィクション作家・一橋文哉氏が取材し、『餃子の王将社長射殺事件』(角川書店)として上梓。すると、そこには、ただの殺人事件にはとどまらない疑惑が数々に満ちていた……。<br />
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失敗と偶然が生み出す、神がかりショット写真集再び!『味写道』

<p> サブカル界のバイブル『バカドリル』シリーズ(アスペクト)の生みの親、天久聖一氏の著書『味写道』(同)が発表された。これは、2010年発売の『味写入門』に続く第2弾で、『ほぼ日刊イトイ新聞』の人気連載「天久聖一の味写道」をまとめた、前作からのファンも多い1冊。</p>

<p> タイトルにもなっている“味写”とは、「こんなつもりじゃなかったのに」「どうしてこんなものを撮ったんだろう」という失敗写真だったはずが、よ~く見ると、偶然が重なって重なって、妙に味わい深く仕上がっている写真のこと。本書ではそんな味写の中でも、よりすぐりの作品がずらり。とくに、筆者お気に入りの神クオリティの作品が、こちら。<br />
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90年代サバサバ脳を、コント仕立てでお届け! NHK有働由美子『ウドウロク』の正しい読み方

<p> 先日、昼間の再放送で『29歳のクリスマス』(フジテレビ系)を観た。山口智子、松下由樹、柳葉敏郎が恋に仕事に悩みながら、20代最後のクリスマスを迎える。最終回の視聴率は26%を超えた、90年代を代表する大人気ドラマだ。</p>

<p> 不器用で一生懸命、肝心なときにかわいくなれない元祖サバサバ女。山口智子は、現代に続く女の自意識問題というパンドラの箱を開けてしまったA級戦犯だな……と、『29歳のクリスマス』を観ながらぼんやり考えた。山口智子はその後、表舞台から姿を消し、「いつまでも変わらない美貌の女優」としてイメージの世界に生きている。しかし当時の山口智子に共感し、サバサバの道を選んだ女たちは、30代、40代になっても「いい女=男前」という呪縛から逃れられず、コントのような物言いをしながら21世紀をさまよう。山口より5歳下であるNHKアナウンサー有働由美子初のエッセイ『ウドウロク』には、そんな山口的サバサバ道を選んでしまった女の悲哀が、そこかしこにあふれている。</p>

高所、灼熱と極寒、異世界、廃墟……世界中の絶景を集めた『行ってはいけない! 危険な絶景』

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『行ってはいけない! 危険な絶景』(竹書房)

 世界には、立ち入り禁止、アクセス困難、極限の環境……とわかっていても、どうしてもこの目で見てみたいと思わせる、とんでもない絶景が存在している。海外へ行くと、安全第一の日本では絶対に考えられない配慮のなさで、自分の身は自分で守りやがれ! 死んじゃっても知らないよ、とばかりに野放しに開放され、その分、絶景が満喫できて感動も大きいことが結構ある。

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池袋に中華街、錦糸町にリトルバンコク……東京でアジアを感じる案内本『東京のディープなアジア人街』

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『東京のディープなアジア人街』(彩図社)

 かつて一大ブームに沸いた韓流の街・新大久保をはじめ、錦糸町のリトルバンコク、高田馬場のリトルヤンゴン、池袋の新中華街、西葛西のリトルデリー、竹ノ塚のリトルマニラなど、東京には母国を離れて暮らすアジアの人々が独自のコミュニティを形成しているエリアが多数存在する。『東京のディープなアジア人街』(彩図社)は、そんな異国情緒漂うディープなエリアを徹底的に紹介する、アジア好きにはたまらない1冊だ。

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