「05本」の記事一覧

5日間の出張のはずが……ジャパニーズサラリーマンの悲哀を描く『僕らはみんな生きている』

<p> GWという絶好の海外旅行シーズンを前に、旅行業界に激震が走りました。そう、格安旅行会社「てるみくらぶ」の経営破綻です。特に衝撃なのは、現在海外に渡航中の旅行者が自力で帰ってこなければいけないという、文字通りの片道切符状態。これはさすがに前代未聞でしょう。</p>

<p> ところで、行ったが最後、お国に帰れないワンウェイチケットなマンガといえば『僕らはみんな生きている』。ほんの5日間の海外出張だったはずが、テロに巻き込まれ、マラリアに感染し、パスポートを盗まれ……など、あらゆる災厄が降りかかり、帰国不可能になってしまった悲惨なジャパニーズサラリーマンの物語です。</p>

『ドラがたり』が読み解く「社会のインフラ」となったドラえもんと、“のび太系男子”の功罪

<p> 誰もが子どもの頃に一度は通り、そして大人になっても愛する心をどこかに持っている──それが『ドラえもん』だ。『ドラえもん』は、ダメなのび太とそれを助けるドラえもんの友情物語であり、2014年の映画『STAND BY MEドラえもん』のような泣けるコンテンツであり、そして現在新作映画『のび太の南極カチコチ大冒険』が公開中であるように、今の子どもたちにも愛される、世代を超えた名作</p>

子どもたちを救うはずが、ますます不幸にさせる? “限界寸前”児童相談所の実情とは――

<p>「児童相談所」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか?</p>

<p> 虐待を受けた子どもたちの相談や、養育困難な家庭への対応、そして非行や虐待によって家庭にいられなくなってしまった子どもたちを一時的に保護するといったことを行っている児童相談所の仕事は、社会からはなかなか見えにくくなっている。だが、その世界に一歩足を踏み入れると、そこには驚くべき現実が広がっていた。米・不動産ファンド「モルガン・スタンレー・キャピタル」出身で、NPO法人「Living in Peace」を設立し、子どもたちの支援を行っている慎泰俊による著書『ルポ 児童相談所 一時保護所から考える子ども支援』(ちくま新書)から、その実態を見てみよう。</p>

<p> 本書を一読して驚かされるのは、児童相談所における子どもたちの扱いだ。虐待、貧困、非行などによって、家庭での養育が困難となった子どもたちが一時的に預けられる「一時保護所」では、一昔前まで体罰が当たり前だった。現在では体罰こそ減ったものの、「外出禁止が徹底され、学校にも行くことができない」「脱走防止のために、窓を開くこともできない」「私物はおろか、服も持ち込めない」「男女のトラブルを避けるため、きょうだいであっても会話ができない」「連絡先交換を防ぐため、紙の使用も管理されている」など、すべてが「トラブル防止」の名のもとに、徹底的に管理されている。在所経験のある人々は、この施設について口々に「あそこは地獄だ。思い出したくもない」「刑務所のような場所」と表現。さらに、一部の保護所では、トラブルを起こした子どもに対しては「個別対応」という名目で、4畳の個室での隔離生活を強いる。まるで、独居房のようだ。</p>

ディズニー映画に隠されたメッセージを徹底解明! 見方がガラリと変わる『暗黒ディズニー入門』

<p>「ディズニー」という言葉ほど、人によって連想されるものが違う言葉はないだろう。印象も、知識の量も大きく異なるはず。『暗黒ディズニー入門』(コア新書)では、そんなさまざまなイメージを持つディズニーの正体の解明を試みる。</p>

<p> 著者である高橋ヨシキ氏は、ディズニー好きを自負しており、本書はニュースサイト「ブッチニュース」で連載されていた「高橋ヨシキのディズニー大好き!」をまとめ、一部加筆した一冊。まえがきで著者は、ディズニーによって「魔術への信頼」という影響を受けたとしている。サブカルチャーを主な主戦場とする著者の源流が、ここにあるようだ。<br />
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銀幕を彩る古今東西の女優へ、等身大の愛を語る『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』

<p> 私が初めて秋本鉄次さんの映画批評を読んだのは、1979年の春、「キネマ旬報」誌に掲載された角川春樹プロデュース&村川透監督による東映映画『白昼の死角』評だった。</p>

<p> 当時は日本映画界が2本立プログラムピクチュアから1本立大作路線へとめまぐるしく変貌していった時期で、映画マスコミはそれらの作品群を「贅肉のつきまくった大作」と頭ごなしに批判しまくっていたが、このとき秋本さんは「そんな贅肉なんて、バリバリ食ってやる!」といったエネルギッシュな気概で当時の風潮を一蹴し、その上で『白昼の死角』を贅肉の少ない映画として評価されていた。<br />
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『仁義なき戦い』のモデルの“元ヤクザ”美能幸三は、本当は映画化を望んでいなかった?

<p> 1973年に公開され、社会現象を巻き起こした日本映画の金字塔『仁義なき戦い』シリーズ。近年でも、菅原文太(2014年没)や松方弘樹(17年没)の訃報を伝えるニュースにおいて、今から40年以上も前の同シリーズが彼らの代表作として繰り返し紹介されたのは記憶に新しい。だが、公開から長い年月が経つにつれて、このシリーズが戦後の広島県で実際に起きた暴力団同士の抗争をモデルにしていることを知らない世代も増えている。</p>

<p> 本書<a href=”http://amzn.to/2nhtU74″target=”_blank”><u>『仁義なき戦いの“真実” 美能幸三 遺した言葉』(鈴木義昭/サイゾー)</u></a>は、後に広島抗争と呼ばれた抗争劇の真相を、その中心人物となった元暴力団員・美能幸三の手記とインタビューで解き明かす一冊。美能は10年に83歳でこの世を去ったが、著者は生前の彼のもとを何度も訪ねて聞き取りを重ねていたという。<br />
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マツコも愛した、バブル臭ムンムンのセクシーダイナマイト女教師マンガ『イオナ』

<p> 先日『マツコの知らない世界』(TBS系)を見ていたら、普段全然マンガを読まないというマツコ・デラックスが、学生時代に読んでいた数少ないマンガとして『イオナ』を挙げていました。バブル期を象徴するグンバツなバディのイケイケなナオンが登場する女教師マンガ、それが『イオナ』です。あらためて読んでみると、とんでもなくブッ飛んでいたので、本日はこちらをご紹介しましょう。</p>

<p>『イオナ』は「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に1990~93年まで連載されていた、澤井健先生の作品。当時は、スピリッツ誌面上で「ミス・イオナコンテスト」が開催されるほどの人気作でした。</p>

歴史あり!? エロに情熱を燃やす愛すべきオトコたち『わが青春のマジックミラー号 AV界に革命を起こした男』

<p> 一冊の本、一枚のCDによって人生が大きく変わってしまうということがある。 僕の場合、浪人中に手にしたひとつのアダルトDVD(AV)がそれにあたる。</p>

<p> 何の気なしにふらりと立ち寄ったブックオフで僕が手にしたアダルトDVD(AV)は、当時、『やりにげコージー』(テレビ東京系)や『ああ探偵事務所』(テレビ朝日系)に出演するなど、もはやAV界“最強”の風格すら漂っていた、女優の夏目ナナがパッケージを飾っていて、夏目ナナの口からは、「10枚も入ってるなんてお得やで~」みたいな吹き出しが飛び出ていた。<br />
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“怪物”と呼ばれた漫画家の軌跡……谷口ジロー版まんが道『冬の動物園』

<p> 2月11日、谷口ジロー先生が逝去されました。心よりご冥福をお祈りいたします。一昨年『孤独のグルメ2』発売記念イベントに出演させていただいた際、関係者の方から谷口先生の体調があまりよろしくないという話を聞いておりました。いつかまた元気になって『孤独のグルメ』の新作を描いていただけるものと思っていましたが……。</p>

<p> フランスの芸術文化勲章「シュヴァリエ」を受章するなど、海外でも評価が高かった谷口先生ですが、近年の代表作としては『孤独のグルメ』『「坊っちゃん」の時代』といった作品が語られることが多いです。実際、僕も『孤独のグルメ』をきっかけとして谷口先生の作品を読むようになったのですが、ハードな作風の『事件屋稼業』『餓狼伝』『神々の山嶺』、あるいは動物をテーマとした『犬を飼う』『シートン』などの作品に思い入れがある人も多いことでしょう。</p>

出版界に大旋風! 『夫のちんぽが入らない』こだまが語る、夫とネットと大喜利と

<p>「このタイトルで出せないなら、他社に持っていく」。担当編集者にそこまで言わせる作品は、昨今なかなかないかもしれない。文学フリマで異例の大行列を生んだ同人誌「なし水」。そこに収められた一編のエッセーが、2017年出版界に大波乱を巻き起こしている。ただ衝撃的なタイトルに惹かれて読み進めれば、必ずやいろいろな意味での裏切りに遭う。お涙頂戴路線で読もうとすると、センスあふれる表現力が痛快に感動のはしごを外す。ちんぽが入る人も入らない人も、すべての生きとし生けるものたちへの挽歌『夫のちんぽが入らない』(扶桑社)。うらやましい、あやかりたい、そして、こだま氏の素顔が知りたい!!</p>

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