「05本」の記事一覧(7 / 16ページ)

アフリカを愛する“全裸の写真家”ヨシダナギのクレイジー紀行『ヨシダ、裸でアフリカをゆく』

yoshidanagi.jpg
『ヨシダ、裸でアフリカをゆく』(扶桑社)

 人気バラエティ番組『クレイジージャーニー』(TBS系)への出演で、一躍話題をかっさらった裸の美人フォトグラファー・ヨシダナギが、初の紀行本『ヨシダ、裸でアフリカをゆく』(扶桑社)を発売した。当時、ブログに書いていた出来事などを加筆修正して完成させた1冊で、いやー、ぶっ飛んでいる!

 ヨシダ氏といえば、「相手と同じ格好になれば、ぜったい仲良くなれる」という確信のもと、ブラもパンツも脱ぎ捨て、少数民族と同じ格好で写真を撮る、独創的な撮影スタイルで有名。その行動の根底にあるのは、幼い頃からのアフリカへの強烈な憧れであり、愛。アフリカ人はカッコイイ、アフリカは魅力的だということが、本全体を通してひしひしと伝わってくる。

 本書に登場する国は、2009年から訪れた、エチオピア、マリ、ブルキナファソ、ジブチ、スーダン、ウガンダ、ガーナ、カメルーン、チャド、ナミビア、タンザニア。アフリカといえば、なんとなくどの国も一緒のような気がしてしまうが、この本を読めば、どれだけ国全体やそこに住む人々に、個性があるのかハッキリとわかる。

 たとえばジブチ。あまり聞きなれないが、アフリカ東部、エチオピアのお隣にあり、“世界一暑い国”といわれているそうだ。そんな暑い国で、ヨシダ氏は山盛りのアイスを食べていたのだが、量が多すぎて食べ切れなくなってしまった。すると、ガイドのフセインが「僕も要らない。ちょっと見ててね!」と、アイスを片手で持った。次の瞬間、すれ違いざまにひとりの少年が絶妙なタイミングでフセインからアイスを受け取って、何事もなかったかのようにおいしそうに食べているではないか! 知らない人からすれ違いざまに食べ物をもらうなんて、日本では信じられない話だが、これはジブリでは当たり前のことだという。

 一方、フランス語圏のマリでは、毎日、イライラ。ジャイアン気質で、下心のある下ネタ連発の現地ガイド・シセは、どれだけヨシダ氏が嫌がっても、<ナギはオレのことを好きに違いない>という、おめでたいプラス思考。終始、発言がうざい上、足場の悪い道では、転ぶと危ないからとカメラバッグを持ってくれたハズなのに、自分がつまずいて小銭をばらまき、お金に群がった子どもたちに、カメラバッグを思い切り投げつけるという信じられない行動に。さらに、マリ滞在中にヨシダ氏は、あからさまな差別にも遭い、「もうヤダァァァァ!!!なんで、そういうことするの!!ホンットにやめてようぉぉ…」と、顔面の穴という穴から水をたれ流し、泣きわめいたことも。

 このほか、スーダンで約140匹のゴキブリ部屋に軟禁事件、内戦状態のチャドで兵士に捕まり、ガイドが自分の存在をかばうどころか大泣きして命乞い、ナミビアでの乾燥ウンコ飛ばし、もちろん、初めて服を脱いだ時のエピソードや撮影秘話などもたっぷり書かれている。

 日本人の多くは、アフリカのことをよく知らない。そして、興味も持たない。けれど、ヨシダ氏の目を通して描かれたアフリカは、キラキラと輝いていて、超カッコ良くて、時にはつらい目にも遭うけれど、爆笑の出来事の連続。今まで興味がなかった人にも、この国なら行ってみたいかも! と思わせてくれる。
(文=上浦未来)

●ヨシダナギ
1986年生まれ。フォトグラファー。幼少期からアフリカ人への強烈な憧れを抱き、独学で写真を学ぶ。2009年より単身アフリカに渡り、彼らの写真を撮り始める。アフリカの裸族とともに裸になったことや、その奔放な生き方や写真が評価され、さまざまなメディアで紹介される。現在は“アフリカ人の美しさ”や”アフリカの面白さ”を伝えるべく、講演会やコラム寄稿などの活動を積極的に行っている。写真集に『SURI COLLECTION』(いろは出版)がある。

全国216万人を喰い物にする“悪い奴ら”──貧困ビジネスと闘った900日『潜入 生活保護の闇現場』

<p> 生活保護法は、戦後、路上に溢れた孤児や大黒柱を失った家庭を救済するため、GHQ指導のもとに戦前の生活保護制度といえる救護法を廃止してスタートした国内最大のセーフティネットだが、実態がどういったものか知る人は少ないだろう。</p>

<p>『潜入 生活保護の闇現場』(ミリオン出版)は、生活保護受給者を喰い物にする悪しき「貧困ビジネス」と闘った著者・長田龍亮の900日のルポだ。長田は、ひょんなことから貧困ビジネスを展開していた「ユニティー出発(たびだち、以下ユニティー)」の施設で暮らすことになる。</p>

42歳非モテ男と、18歳フィリピーナの壮絶すぎる国際結婚物語『愛しのアイリーン』

<p> 国際結婚というと、皆さんがすぐに思い浮かべるのは千昌夫とジェーン・シェパード夫人、梅宮辰夫とクラウディア夫人、川崎麻世とカイヤ夫人、後藤久美子とジャン・アレジ等の華々しい結婚ではないでしょうか。えっ、どれも古いって?</p>

<p> 今回ご紹介する『愛しのアイリーン』は、1995~96年まで「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に連載されていた新井英樹先生による作品で、国際結婚がテーマです。しかし、国際結婚といっても、いま挙げたような華やかな事例とはちょっと違い、フィリピン人女性とのトンデモ国際結婚がテーマとなっています。</p>

<p> 80~90年代まで、日本人男性がフィリピンに行って嫁探しをし、フィリピン人女性は出稼ぎ感覚で日本に嫁ぐ……そういったスタイルの国際結婚が社会現象になっていました。「ジャパゆきさん」という言葉がはやったり、フィリピン人女優のルビー・モレノが活躍したりしました。『愛しのアイリーン』は、そんな社会情勢に強く影響を受けています。</p>

増加する“ストーカー殺人”加害者の心の深淵をのぞく『ストーカー加害者:私から、逃げてください』

<p> 先月、東京・小金井市で女子大生シンガーソングライターがファンを名乗る男に襲われる痛ましい事件が発生した。男は、SNSで女子大生に対して脅迫めいた発言を続けていたと報じられている。2010年代に入り、こうしたネットを介したストーカー事件が後を絶たない。そういった中で、無視され続けてきたストーカー加害者のパーソナリティを知る必要があるという声が上がるようになった。その声の主は、ストーカー殺人の被害者遺族だった。</p>

<p> 『ストーカー加害者 私から、逃げてください』(河出書房新社)は、著者でドキュメンタリー・ディレクターとして活躍する田淵俊彦が複数のストーカー加害者とされる人に行ったインタビューを元にしたルポだ。</p>

瀧本哲史が考える、最強の「マッチメイク」読書術!『読書は格闘技』

<p> 本屋に行けば「ブックガイド本」というジャンルの書籍が並び、雑誌「サイゾー」でも「本特集」は人気企画のひとつ。いったい、どんな本を読めばいいのかという指針を求めている人は少なくないようだ。しかし、ブックガイド本を購読するくらいならば、そこに紹介されている本から手に入れるほうが早いのではないだろうか? いったいなぜ人はまず「ブックガイド本」を選んでしまうのだろうか?</p>

<p>『武器としての決断思考』(星海社新書)、『僕は君たちに武器を配りたい』(講談社)などで知られる瀧本哲史の新著『読書は格闘技』(集英社)は、「組織論」「グローバリゼーション」「教養小説」「児童文学」など、12のテーマごとに読むべき本を紹介するブックガイド本である。本書の中で、瀧本は「読書は格闘技」であり「書籍を読むとは、単に受動的に読むのではなく、著者の語っていることに対して、「本当にそうなのか」と疑い、反証する中で自分の考えを作っていくという知的プロセス」と持論を展開する。瀧本は、いったいどのような形で「格闘」を繰り広げているのだろうか? いくつかの例を見てみよう。</p>

うっとうしいけど、憎めない!? 時代に翻弄される中国人の姿を描く“倦中本”『激ヤバ国家 中国の正体!』

81jOcqnak1L.jpg
『激ヤバ国家 中国の正体! 』(宝島社)

 いまやお昼の情報番組から週刊誌まで、中国ネタは欠かすことのできないおなじみコンテンツとなっている。

 しかし、そこに登場する中国人たちの行動といえば、白昼の路上で突然裸になったり、横転したトラックの積み荷をわれ先にと奪い合ったりと、われわれ日本人からすれば“とっぴ”と言わざるを得ない。彼らは、日本人と顔形が似ているからこそ、われわれの常識にそぐわない行動をすると、余計に奇妙奇天烈に映る部分もあるだろう。

続きを読む

納豆は日本人だけのソウルフードではなかった!? 辺境作家・高野秀行が追った納豆ルポ『謎のアジア納豆』

<p> 納豆。それは、日本人だけが食べる超庶民派ソウルフード、のはずであった。ところが、実はミャンマーやタイ、ネパール、中国、ブータン、ラオスでも、古くから食べられていた――!</p>

<p> そんな世界を股にかけた衝撃の納豆ルポ『謎のアジア納豆 そして帰ってきた<日本納豆>』(新潮社)が発売された。著者は、辺境作家のレジェンド・高野秀行氏。早稲田大学在学中の『幻獣ムベンベを追え』(PHP研究所)でデビューした彼も、まもなく50歳を迎える。にもかかわらず、まったくといっていいほど、好奇心と行動力は衰えず、まさに生きる伝説である。これまでに、コンゴ奥地の幻獣ムベンベ探し、ゴールデン・トライアングルでアヘンを栽培する村に潜入、無政府状態のソマリア国内に存在する独立国家ソマリランドを取材したりと、好奇心の赴くまま、奥へ奥へと突き進み、取材を繰り返してきた。</p>

「世の中は甘いものだと思いなさい」蛭子能収の荒唐無稽な人生哲学『僕はこうして生きてきた NO GAMBALE NO LIFE』

bokulife
『僕はこうして生きてきた ―NO GAMBLE,NO LIFE. 』(コスモの本)

 今や、テレビでは見ない日はないほどブレイクした蛭子能収。番組ではニタニタとした笑顔を振りまく一方で、ネットを検索すればブラックすぎる“マジキチ伝説”がゴロゴロと出てくる、デタラメな人物。本職がマンガ家であることを忘れられてしまっているようにすら思える。

 『僕はこうして生きてきた NO GAMBALE NO LIFE』(コスモの本)は、そんな蛭子本人が幼少から現在までの半生を語る。

続きを読む

「21世紀はホームレスの世紀」現代社会に警鐘を鳴らす圧倒的ルポ『釜ヶ崎から: 貧困と野宿の日本』

kamagasaki
『釜ヶ崎から: 貧困と野宿の日本』(筑摩書房)

 2000年代に入ってから、中学生や高校生などの若者たちによるホームレス殺人事件が頻発した。そのほとんどが、行き当たりばったりな理由だったことに恐怖を感じた人もいるだろう。そんな物騒な事件を久しく聞かなくなったが、一方で“ネットカフェ難民”や“マック難民”など、野宿者の若年化が社会問題となっている。

『釜ヶ崎から: 貧困と野宿の日本』(筑摩書房)は、その野宿者に迫った約360ページにわたるルポである。著者の生田武志は、野宿者が多くいる大阪・釜ヶ崎で実際に生活していたという人物。昼間は住民と同じようにキツい日雇い労働に従事し、夜はボランティアとして野宿者支援を30年間続けてきた。

続きを読む

憲法も、人魚姫も、明治維新も童貞のおかげ!? 世界を動かした「童貞」たち『童貞の世界史』

<p>「童貞」であること。それに対してどこか「不完全な人間」というイメージを抱く人は少なくないだろう。「まだ女も知らないくせに」と揶揄され、「童貞のまま30歳を超えると魔法使いになる」とバカにされる童貞たち。「童貞を捨てる」という言葉に象徴されるように、現在の日本社会では、童貞とはできるだけ早く通過しなければならない人生のステージとして受け止められているようだ。</p>

サブコンテンツ

このページの先頭へ